左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

左巻健男著『面白くて眠れなくなる人類進化』PHPの「はじめに」と「おわりに」

 左巻健男著『面白くて眠れなくなる人類進化』PHPを何気なく読み始めたら面白くてwついついかなりを読んでしまった。
 本書を書くに当たって何か月か生命の歴史や人類史を学んで、頭の中で内容構成が発酵したときに執筆開始したことを思い出す。


 愛称“ルーシー"という猿人/ピルトダウン人骨捏造事件/私たちのなかに生きるネアンデルタール人/現代人にそっくりな少年の原人/ヒトと類人猿の分かれ道/五本指は原始両生類から始まった?/恐竜と同時代を生きていた原始哺乳類/“イーダ"の化石/顎を獲得して生物の巨大化が始まった/三葉虫と目の誕生/私たちの祖先はナメクジウオ?/最古の生命の痕跡を発見した日本人…

アマゾン→ 
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 はじめに

 人類進化は、面白い。


 人類進化をテーマにするにあたって、まずは、「私たちはどこから来たのか」という根本的な問いをたてました。その問いに答えようとするとき、どのように話をくり広げたら、さくさく読めて、面白くて、ためになる本になるだろうかと考えました。

 現在の私たちの体には、サルなど霊長類からヒトへの進化にとどまらず、四十億年前から続く、太古の生物の歴史が刻まれています。そんな奇跡のような道のりを、一冊を通じてたどってみたいと思ったのです。

 そこで、本書では次のような方針をとることにしました。


◎Part1から順に、現代から最初の生命の登場へとさかのぼっていこう。
◎Parl1は、最初の人類から現代人まで。Part2は、私たちの祖先が陸上に上がったあたりから最初の人類の手前まで。Part3は、最初の生命の登場からヒレに骨をもった魚まで。
◎各Partのなかでは、古い時代から新しい時代の順序にしよう。
◎節目節目のトピックスを中心に、やさしく(もちろん面白く)語ろう。
◎ゲノム(全遺伝情報)解析などの方法には深入りしないで、あっさりとその成果を説明してしまおう。


 ここで、本書を読むときに基礎になる考えを示しておきたいと思います。私たちの祖先をたどっていったときの道筋を表すと、いくつもの枝分かれがあります。その枝分かれのところには、それぞれの共通の祖先が存在しています。

 たとえば、「約七百万年前に人類はチンパンジーとの共通の祖先から分かれ、進化してきた」というのはその一つの例です。
 ヒトもチンパンジーも、その共通祖先から分かれてから、同じだけの時間をかけて、それぞれ進化してきました。その間に、それぞれが環境の限られた条件に適応l、特殊化の道を歩みました。チンパンジーは森の生活に適応し、一方、ヒトは森の生活を捨て、高度な道具を使うようになりました。
 ですから、「今のチンパンジーが進化したらヒトになるのか」といわれたら、ノーと答えるのです。これは、現在生きているあらゆる生物にあてはまります。

 人類の進化を学ぶことは知的なエンターテインメントでもありますが、地球に生命が誕生し、私たち人類にまで進化してきた軌跡を知ることで〝私たちが今なぜここにいるのか″という問いへのヒントを示してくれます。
 私は人類進化の専門家ではなく、小学校・中学校・高等学校の理科で何をどう教えるかを教育・研究している理科教育の専門家の一人です。
 中学・高校の教員時代、初めて本格的に教えるときに必死に学びながら教えていましたが (基本的に大学教員の今でも同様)、本の執筆も同じです。執筆しながら、新しい知見にワクワク・ドキドキしました!
 読者の皆さんにも、その知的興奮が伝わったら非常に嬉しいです。

 左巻健男

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 おわりに

 私が編集にたずさわった理科教育の著書のなかに
「生まれてきたのは丸もうけ、これまで生きてきたのも丸もうけ、これから生きる分は、なおさら丸もうけ」
 という言葉を入れています。「教師のための精神衛生法」という項目です。
 地球の誕生、そこでの生物の誕生と進化、人類の誕生、自分の誕生といった宇宙史のなかに自分の生を位置づけて、渋谷治美さんの言葉を紹介したものです。落ち込みそうになったとき、思い起こすとよい言葉だと思ったのです。
 そして、この言葉を実感できるような教育を進めていくことが、理科教育の立場に立った生命尊重の教育として大切だと思いました。
 だから、ある日の講義で、私は、前田利夫『いのちの起源への旅 137億年』(新日本出版社)を参考に、中学校・高等学校理科の教員免許をとるのに必修の科目「理科教育法」で、人類の歴史を語っていました。
 前田さんの本にならって祖先をさかのぼって、現代人から旧人、原人、猿人、初期猿人へと人類の起源を探り、霊長類・哺乳類、カンブリア紀大爆発、三十億年間の単細胞時代、生命の起源へと二コマ連続の講義を進めたのでした。
 「私たちはどこから来たのか?」 という問いは、将来、理科教員として理科のどの分野の子どもたちの学びにたずさわろうとも、教員以外の道に進もうとも、一度は立ち止まって考えたい価値をもっていると思ったからです。

 そんなときに、本書を執筆することになりました。

 最後になりましたが、本書が少しでも面白くためになるものになっているとしたら、最初の読者である編集担当の綿ゆりさんのおかげです。その声に従って書き直しをしたり、追加したりして進めました。感謝申し上げます。

 二〇一五年十一月二十日

 左巻健男

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隠岐  大地と生態、人とのつながりを求める旅

※昨年の夏も旅した隠岐。「RikaTan【理科の探検】2014年 夏号 夏だ!リアル理科探検に行こう 自然を 観る 知る 遊ぶ 旅」特集用に書いた文章を紹介しておきます。

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                    隠 岐

 大地と生態、人とのつながりを求める旅

 左巻 健男
 SAMAKI Takeo

◎今でも隠岐諸島を全部回るのは大変

写真1:西ノ島の魔天涯 その天辺から、海から、国賀海岸からハイキングでも楽しんだ

 隠岐についてあまり知らない人、調べたことがない人には日本海に浮かぶ絶海の孤島というイメージがあるかもしれません。しかし、隠岐は孤島ではなく、人が住んでいる島で島前(どうぜん)の3つの島と島後(どうご)と呼ばれる計4つに分かれ、それらをふくめ、なんと大小180 の島からなっています。
 そのうちの島後(隠岐の島町)はとくに大きく、同じ日本海にある佐渡の半分より少し小さい程度です。ふつう隠岐に行くといえば、本州に近いということで島前と呼ばれる3つの島ではなく島後(とくに西郷港)に行くことを意味します。島後には大阪伊丹と出雲との間に路線のある隠岐空港があり、また船便もフェリーや超高速船があります。今年3 月1日からは超高速船「レインボージェット」が就航し、西郷港-松江の七類港間を約70 分で結んでいます。

 この半世紀、隠岐はアクセスが便利になりました。
 半世紀前に隠岐を旅した岡田喜秋はその著『日本の秘境』のなかで、「近頃の日本の観光地は、3 日見ぬ間に変わっていく。」とその変貌ぶりを嘆きながら、「隠岐ノ島は名の通り、はるかな隠岐にあって今でも荒浪とたたかって生きているのが精一杯のように見えた。」と述べていました。1956 年には、バスはわずか1台しかありませんでした。鳥取県境港からわずか500 トンという小さな船で西郷港まで8 時間以上かかったのでした。

 今でも、島前、島後の4つの島を旅しようとすると、半世紀前の不便さほどではないのですが、かなり大変です。島根県教育委員会の小学校理科の講師で島後に伺ったとき、隠岐の全小学校からの参加者がいたのですが、島前から島後に集まるより松江市に集まる方がラクと言っていました。

隠岐の魅力はなんといっても雄大な景色
 隠岐世界ジオパークに認定されています。ジオ=地球ですが、目の前に広がる絶景の地質・地形だけではなく、不思議な生態系、地元独特の文化もふくめて、大地がどうやって生まれたか、人と自然はどうつながっているかを、まるで探検するように学べる場所だからです。

写真2:通天橋

 隠岐の絶景を見るポイントは、隠岐で約600万年前に始まった火山の活動です。
 島前諸島は変わった形をしています。真ん中に高い山があり、その山が海に囲まれ、その外側に島がならんでいます。1 つの円い島だったのですが、大規模な噴火が起こった結果、約500万年前にかけて中央部が大陥没して海が進入、島前カルデラができたのです。
 落ち込まないで残った部分が、島前カルデラの外輪山のように3つの島が残ったのです。さらに侵食も受けて現在の地形になっています。

 この火山活動のときの岩石は、島前・西ノ島の北西岸の国賀海岸の数10キロメートルに渡る雄大な断崖でよく見えます。西ノ島の摩天崖は巨大なナイフで垂直に切断したような高さ257メートルもの国内有数の崖や国賀浜にある天然の洞門の通天橋と同じ岩石でできています。

 知夫里島(ちぶりじま)の「知夫の赤壁(ちぶのせきへき)」と呼ばれる高さ200メートルの断崖にも同じ外輪山の岩石が露出しています。
 噴火して高温のしぶきになった火山砕屑物にふくまれていた鉄が酸化し、赤い色になったものです。ということはこのあたりに火口があったということです。

◎島前の3 つの島を各一泊で回ってみた
 島前の3つの島も旅したいと思っていたところ、島後にある島根県隠岐高等学校から「高校生に講演を」という依頼があり飛びつきました。それからです。飛行機の便、フェリーの便の時刻表を見ながら計画を立てました。島後の知夫里島知夫村)、西ノ島(西ノ島町)、中ノ島(海士町)を1 泊ずつして島内を回ろうと考えました。島前3 島間での移動は隠岐観光の内航船、島前-島後間の移動は隠岐汽船のフェリーや高速船が利用できます。
 各島内は、レンタル自転車、島内観光バス、定期観光船を活用して回りました。車が運転できればレンタカーもよいでしょう。

写真3:知夫赤壁

 ぼくは、最初に着いた知夫里島ではホテルで電動アシスト自転車を借りて島を回りました。放牧されている牛が道路上にもいて、なかなかよけてくれません。

 車だと動けなくなってしまいますが、自転車でも実感できました。知夫里島のリピーターとなっている観光客は、牛しかいない、何にもない、ぼけっとできるのがいいということですが、西海岸にある国指定名勝・天然記念物の知夫赤壁など見どころがあります。

写真4:明屋海岸

 次の西ノ島は、北岸約13 キロメートルにわたる国賀海岸が見どころです。定期観光バスで陸路から、また観光船で海から迫力ある摩天崖を楽しみました。

 さらに自転車でも国賀海岸に行き、通天橋の奇岩を見ながら魔天涯へ向かうハイキングをしました。
 中ノ島でもサイクリング。約100 メートルの断崖の続く明屋海岸で屏風岩などの絶景を楽しみました。

隠岐空港玄武岩の台地にある
 約500万年前以降、火山活動は収まりましたが、島前・島後の所々で、小規模な玄武岩質の火山の活動がありました。隠岐空港のある大地は、約55万年前の玄武岩の溶岩でできています。

 フェリー航路で島後の西郷港に入港する直前の岬に隠岐空港がある台地が見えます。そこに上部の直径は約300 メートルのお椀のような形の巨大なくぼみの崖が見えます。これは、火口の東半分が吹き飛んだ爆裂火口です。手前側は侵食でなくなってしまったと思われます。

隠岐でいちばん古い岩石「隠岐片麻岩」
 隠岐片麻岩の見た目はさまざまで、白黒の縞模様を持つ物や、白一色、薄緑、赤混じりのまだらなどがあるため、簡単に見分けることはできません。

 現地の岩石を見分ける目をもった人に教わると、かなりあちこちにあります。砂利や埋め立てにもよく使われているとのことです。

 元々は砂岩、泥岩や玄武岩など地表近くの岩石が、プレートの沈み込みによって地下深くにもたらされ、そこで熱と圧力を受けてできたものです。ふくまれている鉱物の分析から3億5000万年前~2億5000 万年前の間の地層が元になっていることがわかっています。その当時は、いくつかの小大陸が衝突して合体し、大きなユーラシア大陸ができあがりつつあるところでした。隠岐片麻岩は、ユーラシア大陸がどうやってできたかを知る鍵をふくむ岩石なのです。

◎ユニークな生態系
 隠岐には、暖かい気候を好む植物と氷期の生き残りの植物が同居するなど不思議な植生がみられます。たとえば、島後の久見海岸では、氷河期時代の生き残りの植物であるシロウマアサツキが海岸に自生し、南方系のシャリンバイ、トベラ、大陸性のダルマギクなどと共存しています。海辺に亜高山性のオオイワカガミがみられたりします。

 玉若酢命(たまわかすみこと)神社の境内には樹齢2000 年と推定される「八百杉(やおすぎ)」があります。隠岐にはこのような日本海型の杉の巨木が数多くあります。

 また、隠岐にしかいない生き物、つまり隠岐の固有種があります。オキタンポポ、オキノアザミ、オキシャクナゲ、オキノウサギ、オキサンショウウオなどです。

 オキサンショウウオは絶滅が危惧される希少種です。島後の壇鏡の滝が流れる渓流で見つけることができるかもしれません。

 こうした希少種だけでなく、北方系・南方系・高山性・大陸性のさまざまな植物が共存する生態系はとても興味深いです。

◎トレッキング好きは鷲が峰へ
 島後の鷲ヶ峰は、標高560 メートルの流紋岩質の岩山です。樹齢300 年を超える約800 本の天然林( 自然回帰の森) が存在します。屏風岩を展望できる場所があります。屏風岩は、柱状節理の断崖です。

写真5:トカゲ岩

 鷲ヶ峰近くの岩山の側面には、トカゲの形をした奇岩、トカゲ岩が見られます。全長約26メートルで、大きなトカゲが岩山をよじ登るように張りついています。

◎独自文化のはじまりは黒曜石
 隠岐には黒曜石が産します。隠岐の黒曜石は3万年も前から本州に運ばれていました。島後の久見海岸では、小さな黒曜石を拾うことができます。
 すぐ近くにある八幡黒曜石店の加工場を見学できます。店主の八幡浩二さんは、古代の黒曜石の加工技術に優れていて、黒曜石を加工したお土産を販売しています。

 隠岐の黒曜石は縄文時代には重要な交易品として、本州にも運ばれていたことがわかっています。

 隠岐には古墳・遺跡がたくさんあります。創建が平安時代以前にさかのぼる神社もあります。
 その昔、隠岐は「島流しの場所」になっていました。たとえば後鳥羽上皇後醍醐天皇が流されました。牛突きの行事は、後鳥羽上皇に楽しんで貰おうと島民がはじめたものです。

 隠岐には、歴史的な見どころが多数あります。こうした隠岐の文化・人間生活の背後にある隠岐の地形・地質と生態系のつながりを考えてみたいものです。

写真6:玉若酢命神社の八百杉

さまき たけお
法政大学教職課程センター教授
隠岐では毎日おいしい海の幸が食べられます。自転車で回りながら雄大な自然を楽しんだ後は、隠岐酒造の「隠岐の誉」と海の幸が待っています。次はツレと一緒に回ろうと思います。

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自宅でeラーニングで受講できる教員免許状更新講習

 左巻健男は、初等理科についてeラーニング講師をしています。以下をご覧ください。


☆自宅で受講・自宅で試験・1講習から受講可能☆


教育工学研究協議会 教員免許状更新講習 eラーニング講習
http://sainou.or.jp/e-learning/


良くわかる。初等理科実験支援 6時間
http://sainou.or.jp/e-learning/course/04.html

俺は教員生活で授業以外の仕事はもの凄いスピードで処理していた

教師のための精神衛生法~教師生活で心をやられないようにするために~  

http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/07/08/233323  

 への追記ツイッターまとめ。

*今は、ただ仕事の処理速度をあげてもどうしようもない仕事量がある場合もありそうだ。以下は未だそれで対応できたいい時代だったということかもしれない。

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 教員が超多忙状態から抜けられず辞めたい等というTwをいくつか読んだ。

 中高教諭を26年間やった俺からは20~40年前くらい前の現場と今の現場はだいぶ違うんだろうなと思った。

 俺は新任ですぐ組合に入り、その後分会長や支部青年部長もやって管理職にある意味盾突けたのは大きいかな。管理職を恐れない20歳台教員だったw。
 
 それと当時は少なかった大学院出で理科教育に一寸自信もあったし、理科サークルには幾つか参加して授業力もあげていたので、校内で理科を自由にやれた。

 当時同僚に「理科はいいわねえ、おもしろい実験があって」とか「この学校に毎日喜んで学校に来ているのは左巻さんくらい」といわれた。
 部活(ソフトテニス)ももっていたし生活指導部だったがメインはあくまで授業だと思っていた。

 雑務的なことは徹底的にスピーディに処理した。
 授業メインでいろいろ工夫したので年上の理科の同僚に「左巻さんはいいよなあ、力があるから。自分は教科書を教えるだけで精一杯」と愚痴られた。

 新任の後半に理科教育雑誌の編集委員になった。時々そこに記事を書くようになった。
 公立に8年勤務後、東京大学教育学部附属中・高等学校教諭に異動できたのはそんな業績も認めてくれたからだろう。

 教員生活は徹底的に理科教育をメインに回っていった。
 東大附属から京都工芸繊維大学教授に異動するまでソフトテニスの顧問だったが試合引率でも試合を見ないで理科の本を読んでいた。申し訳なかったが俺が顧問なので部活が存続できた。それを部員によくいっておいた。
 理科の授業以外のことは8割主義とかでやっていた。
 学級は自分が楽しいと思うことで活動。

 仕事は完全を目指さない。
 目指すのは速さだ。見直さない。管理職に見て貰って指摘されたら直せばいいと真っ先に通知表とかをつくって出した。
 例えば通知表所見はもの凄い集中力で3時間程度で記入したかな。

 密かに8割主義で笑って誤魔化すをモットーにしていた。鬱になりやすい心を持っていたので後悔はしないようにした。終わってしまったことはもういい、少し反省して前へ進むしかない。

 俺はそれで中高教諭をやってきたから「学校の仕事を一生懸命しない」といわれた。そう、俺にとっての雑務は本当に短時間で片付けるんだよ。
 「外の仕事ばかりしている」とも。これは本や雑誌、検定教科書を書いたりしていたからか。

 俺は現場にいたとき職員室に遅くまで残っているのは「仕事ができない人」と思っていたよ。
 こんな俺のアドバイスでは今多忙に苦しんでいる人には役立たないかな。俺は授業がよければ(生徒の学ぶ権利を保障する授業)生徒との関係、学級もよくなると思っているんだ。

教師のための精神衛生法~教師生活で心をやられないようにするために~

 左巻健男『理科の基礎・基本 おもしろ授業入門』明治図書2002から。


① 一番恐ろしいこと
 現場は忙しい。忙しさにまぎれて,思考停止の状態をつづけてしまう。そんな危険性に満ちているのだ。これは恐ろしいことだ。だから,“何でも一所懸命”ではなく,ときには上手に手を抜いて,何をやるべきかをよくよく考えねばならない。


② 落ちこみやすい人に
 現今の状況は,まじめな人ほど,落ちこみやすい。悩む,というのはとても人間的なことだ。私たちは,悩みながら大きくなってきたのである。ぼくなど「あんなことをやってしまった,こんなことを言ってしまった」などとほぞをかんで,一人自分の部屋で床をどんどんたたいたりしている。それでいいんだと思う。悩みをばねにして,次にがんばるのである。


 落ちこみやすい人は,白黒をはっきりしないと気がすまない人に多い。「完全」「理想」を基準にして悩んだりする。
 明るく居直らなきゃだめなんだ。世の中には妥協しなければならないこと,しかたがないとあきらめなければならないことがたくさんある。これをズルズルと妥協してしまうというのは問題外だが,自分ができる範囲で,できるレベルでしかやれないということを認識する必要がある。前進するためには,妥協も,あきらめも,時には必要なことがある。


 落ちこみやすい人の予防策の決定打は,“小さな達成感を大切にする”ということだ。
 「完全」「理想」からものを見るのではなく,自分のレベルからものを見るのである。1日一つでいい,小さくて達成感のあることをやるのだ。


 例えば,
 ○プリントをつくる
 ○予備実験をやってみる
 ○今度の授業は,ここのところで勝負してみようかなどとがんばってみる
 ○ちょっと心配している子に声をかけてみるなどなどに,“ヤッター”という気持ちをもつことである。


 世に,ニコニコ健康法なるものがある。楽しくてニコニコするなんてのは当たり前だが,この健康法は,無理してもニコニコするのである。ニコニコすることで,世の中,楽しくなって健康になる,というのである。小さな達成感でニコニコしよう。


③ 「たかがとされど」の考え方
 教育という営みの,ワンパートを受けもつにすぎない理科教育。たかが理科教育である。そのたかが理科教育でメシを食い,生きがいを得たり,悩んだりしている。いったん「たかが」とつきはなしたうえで,「されど」と見直すと,ゆとりをもって理科教育を考えられるだろう。


 森毅さん流に言うなら,ぼくたちは,「たかが学校」で「たかが教師ごとき」をやっていて,「たかが理科」を教えているわけだ。教育委員会や管理職にガタガタ言われようが,そんなことは,自分の人生を自分でつくっていく大事業にくらべれば,たいしたことはないんだ。「たかが理科」ぐらい自分の主体性をもって授業をやりたいんだ ということになろうか。


 ちょっとした失敗をやらかしても,「たかが」と明るく居直りたい。小さな失敗をつみ重ねることが,大きな致命的な失敗をしないですむ最善の方法である。小さな失敗でもやった本人にとっては,「重大事」に思えるものだが,他人はそんなに「重大事」と見ていないものだ。

 

 

④ 頭がボケないために
 千葉康則さんは,『年齢をとらない頭の本』の中で,

 「頭のボケやすい人の職業は,役人,国鉄の職員,学校の先生,警察官,単純反復労働をしている工場勤務の人だという。ここにあげた職業は,みんなワンパターンの労働におちいりやすい。というのも,創造性とか直感力とかいうよりも,真面目さを必要とされるからだ。かんたんにいえば利益追求というような挑戦を必要としないものである」 

  と述べている。


 ふつうの教師生活を送ってしまうと,思考能力はどんどん落ちていくのである。
 それならどうしたらよいか。

 千葉さんは,

「要所要所では,自分の意見をはっきり表明し,拒否する態度をとるべきなのだ。また,指示されたとおりにやるのではなく,つねに自分のやり方,工夫をとり入れるように心がけることだ」「玉砕するか挫折するかの二者択一の選択をするよりも,ゲリラ人間になるはうがいい。周囲に順応しているようにみせながら,実質的に自分の考え方を実現していく人間である。……ふだん社会にでているとき“真面目”な人ほど,会社や家庭をはなれたら“不真面目人間’’になることだ」

  と言う。


 たんなる勤勉,たんなる一所懸命では,頭がぼけるのである。その点,教科書を横目でみながら授業を構想して実践するということは,おもしろくかつ創造的かつ精神衛生上いいことなのだ。


 時の流れに身をまかせ,知らんうちに齢を重ね,ボケ頭しか残らない人生よりも,その場その場を楽しみながら,まず自分が成長できて,ついでに子どものためになり,結果として社会のためになる生き方のほうが,いいんじゃないだろうか。


 どうせ,ぼくたちは理科の教師。仕事は,かなりの部分を「理科の授業」でしめている。この仕事がつまらなかったら,ほかに趣味を見つけるか,部活でもがんばるか……しかない。やはり,「理科の授業」をおもしろがってやっていこう。それには,いろいろ制約がある。でも,その制約を気にしつつ,あるいは克服してやっていくというのも適度の緊張感があっておもしろいんじゃないか。


 最後に,落ちこみそうなとき,思い起こすとよい言葉を。
 地球の誕生,そこでの生物の誕生と進化,人類の誕生,自分の誕生といった宇宙史の中に自分の生を位置づけて,

 「生まれてきたのは丸もうけ,これまで生きてきたのも丸もうけ,これから生きる分は,なおさら丸もうけ」 

  (『唯物論』59号(東京唯物論研究会)所収の渋谷治美「唯物論的人間学の試み」より)と唱えるのである。

6年前、しんぶん赤旗の読書欄「本と人と」に左巻健男登場

6年前、しんぶん赤旗の読書欄「本と人と」に載った。
左巻健男『面白くて眠れなくなる化学』PHP
担当の記者はとてもいい人だった。

*板橋ホタル館問題で松崎区議を応援したことで共産党が遠く離れた存在になってしまった。共産党に反省して貰いたいが…。無理だろうな。

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比嘉照夫氏は田畑に塩を入れるとEM菌の原子転換力で肥料に変わるって…

【EMで塩が肥料に】WEBエコピュア 122回でEM菌比嘉照夫氏は田畑に塩を入れるとEMの原子転換力で肥料に変わるという。
「この結果から言えることは、10a当り2トンも塩をやると、基肥も追肥も不要ということになります。」


具体例として「鎌倉の小泉農園で行っている畝間の塩の施用方法です。この方法なら塩害を起こすことは全くありません。」と紹介。


それで比嘉氏のいうことを忠実に実地している小泉農園で実際はどうだったのか?


小泉農園:2018年6月26日 トマトの通路へ塩追肥
今年のトマトは、元肥に入れた塩が多かったようで、だいぶ塩害を出してしまいました。
10a当たり2tの塩は多過ぎのようです。
アブラムシの繁殖区も多く、ほとんどのミニ、中玉トマトの葉先に枯れが出ています。


EM信者の小泉農園は負け惜しみ。「しかしながら、塩のおかげで味は濃くしっかりとした甘さのトマトになりました。
この失敗をバネに、課題を克服して次につなげたいと思います。」


小泉農園はEM整流結界にも取り組んでいます。
きっと小泉農園は、収量や質が通常栽培の何十倍もあることでしょう。その結果を知りたいです。


小泉農園のEM整流結界ではもちろんEM菌比嘉照夫氏が推薦するEMXGOLDやEMセラミックやリチウム電池も活用しているのかな?


ぼくはEM農法やEM整流結界で収量や質が何倍何十倍にもなるなら農家はなだれをうってEM農法に変えるだろうと思う。しかし、実際はマイナーな存在だ。ぼくが某JAで講演したときに参加者に聞いたらEM菌を知っている人は少なかったよ。


そしてEM研究機構も社員数がばんばん増えて最高時の2百名台を遙かに超えているはずだと思う。
しかし、そこの会社案内は2年間更新無し。
拙ブログで指摘しているがEM菌がここ数年批判側に攻撃的なのはEM菌使用が衰退しているからだと思う。本当にいいものなら批判側をスルーする。

浄霊(手かざし)と奇跡をうたう救世神教という宗教を知った

 DND出口俊一氏(EM研究機構顧問だった)が、DNDサイトで“「天空の庭」(救世神教)礼賛”をしていたので救世神教という宗教を知った。

 浄霊(手かざし)と奇跡をうたう宗教。庭のバラ園はEM活用。

 この前講演に行った三重県津市なんだなあ。

 
  ネット検索で知ったこと。

宗教法人 救世神教 後藤英男(1929~1988)が創始者世界救世教に所属していた後藤英男が、1970年に岡田茂吉の霊的復活を体験して独立、立教した。後藤英男の死去後、後藤孝彦に継承されている。1970年宗教法人。教えの中心は「地上天国」の建設、浄霊の実践、情操と感性の向上、である。(by『新宗教教団・人物事典』弘文堂) 

 

 要するに世界救世教の流れで、ほぼ似たようなもの。手かざしは修行もほとんど無しにやれるから世界救世教そのものも、その流れも似たようなものができているようだ。

世界救世教内部も混乱しているようだし、世界救世教の流れのたくさんの手かざし教団があるようだ。
 
 宗教学者島田裕巳は、手かざしには特別な修行や教義の裏付けが必要ないので、学んだものが好きに活用することができ、分派・分裂が起こりやすいと指摘している。

 

 ぼくは、理科の探検(RikaTan)誌10月号に3pだが米国で手かざし治療師に謳うパワーが無いことを検証した9歳の少女エミリーの話を書く予定だ。
 
 ふと思った。DND出口俊一氏は裁判や体調で、救世神教に浄霊を受けたのだろうか?裁判の時の様子では体調がよくないように見えた。

 いやその奇跡よりも神様EMの万能性にすがったのだろうか?

 救世神教やEMを礼賛するので、つい思い浮かべてしまった。

 ぼくにはこのような宗教を信じたり、EMが神様だと信じることはできない。

 

 なお、救世神教は今は「ミロクコミュニティ救世神教」(略称:MC救世神教)にしている。

7月16日(海の日)に全国的に海や川にEM団子・EM活性液を投げ込むEM菌イベント

 7月16日(海の日)に全国的に海や川にEM団子・EM活性液を投げ込むイベントが行われる。今年は第9回になる。
 このイベントの主催のNPO法人 地球環境共生ネットワークは、EM技術を用いた環境浄化活動を推進することをうたうEM推進団体だ。

 

 「やや日刊カルト新聞」に2014年の神奈川県逗子市での様子が紹介されている。
 http://dailycult.blogspot.com/2014/07/emem.html … 
 この年調査費もふくめて逗子市は200万円を支出。
 イベントで投げ込むのはEM団子・EM活性液。

 

 EM活性液は、EMを糖蜜(サトウキビから 黒砂糖を作るときの搾りカス)で培養した液。EM団子は、EMで作った「ぼかし」(米ヌカ ・油カス・魚カスなどを発酵させたもの)と「EM活性液」を土に混ぜて丸めて団子状にしたもの。

 

 EM団子・EM活性液を大量に投入することは水を汚染する有機物を大量に投入することになり、逆に水質を悪化させる恐れがあることで批判が強い。
 逗子市は2016年からは10年続けて来た助成金支出をやめた。
 しかし、EM地元団体がEM団子・EM活性液投入を継続している。

 

 「海の日 EM団子・EM活性液投入」は昨年(2017 第8回)で、全国307団体、1万2502人が参加し、EM団子36万9149個、EM活性液64万6390リットルを投入した。
 参加団体数は2015年520、2016年409だったから減っているが、参加者数は2015年1万6921人、2016年1万993人だから昨年より増加。

 

 逗子市2014では終了後参加者にEM生活の「イーエムウォーター」(税別200円)が無料配布された。
 やや日刊カルト新聞によると、主催者「参加者の皆さんには、EM菌が入った水(イーエムウォーター)をお配りしています。これを飲むとおならが臭くなくなる!」

 

 なお、イーエムウォーターはEMXGOLDという清涼飲料水(500mL 4,650円)を薄めたもので、EM菌は殺菌されて入っていないので、やや日刊カルト新聞の記事通りなら主催者は嘘つき。公開成分はナトリウムだけでいわば薄い食塩水。

 

 海の日EM団子等投入は全国一斉のイベントだが、全国各地でも行われている。
 例えば東京なら日本橋川。地元の複数のロータリークラブが費用を出していたが、2014年に中止している。EMが水質をよくするという科学的な根拠が弱いという批判が強いからだ。地元団体は投入継続。

 

 EMは、元々世界救世教という新興宗教が関係した微生物資材(農業用)。
 世界救世教は、国内に百万を超える信者を持ち、浄霊という手かざしを各信者が行うこと、自然農法を推進することことが特徴で、EMは神からのプレゼント。
 今は開発者の比嘉照夫氏はEMは神様としている。
 農業用の微生物資材が水質改善に効能、あらゆる病気に効能、住宅に使えば夢の住宅に、さらには放射能をなくす、結界をつくるとまでされて神様扱いに。

 

 政界にはEMの議運まである。2013年12月3日に国会議員超党派による「有用微生物利活用議員連盟」が発足している。
 会長は野田毅衆院議員(自民)、幹事長は平井たくや衆議院議員(自民)、事務局長は高橋比奈子衆院議員(自民)。
 比嘉氏によると、「スタートは50人内外でしたが、その後も新規に加入いただいていますので、近々100人を超える規模になりそうです。」(2014年1月18日 連載 新・夢に生きる)。

 

 比嘉氏らEM側が狙っているのは、様々なEM商品を全部使うEM生活をすることを国民の義務にすることだ。
 国民全体がEMXGOLD(500mL4650円)という清涼飲料水を飲み、様々なEM商品を使えば病気はなくなり、もし病気になったら自己責任なので社会保険制度は不要という主張だ。

 

 以上、7月16日(海の日)に全国的に海や川にEM団子・EM活性液を投げ込むイベントについて。
 お読みいただき有り難うございました。
 EM(通称EM菌)について、左巻健男『暮らしのなかのニセ科学平凡社新書で章を立てて述べています。

理科の探検(RikaTan)誌8月号(特集:とっておきの観察・実験・ものづくり)  全国の書店・ネット書店で発売中!

 特集は、「とっておきの観察・実験・ものづくり」

 家庭でも学校でもやさしく楽しくできる。自由研究にも最適な33テーマ。
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  6/28に読売に新聞広告。
  7/3に新潟日報、京都、山陽に。他に北國(富山)等にも。

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  理科の探検(RikaTan)誌もこの33号の後、10月号(34号)、12月号(35号)、2月号(36号)、4月号(37号)までとなります。その後は休刊か不定期刊に。売れなくなって止めるのではなくぼくが大学を定年になるというのが最も大きな理由。企画・編集が凄く大変なんです。

 

 定年後は理科の探検(RikaTan)誌から自由になって元気なうちに国内外旅行や本の執筆に注力します。体力があるうちはRikaTanもやれてきました。RikaTanを仲間と一緒に編集して出すというのは道楽として最高でしたが、そろそろ自由になります。残りの号は頑張ります!

【カイチュウ博士、藤田絋一郎氏のトンデモぶり】

   ツイッター @samakikakuから:

 ちょっと藤田氏のトンデモぶりを連ツイしたい。
 まずぼくは以前から水と健康について関心を持っているが、まずその面で藤田氏はトンデモであると断言しておく(後でより詳しく彼の「純水」についての認識を突っつく予定)。

 だから独断と偏見があるかもしれないことをお断りしておく。
 ぼくは健康食品にも関心があるが、そこで事件を起こした。プロポリスという健康食品が、薬事法に違反してがんに効くとの宣伝の下に販売された2014年3月の事件だ。

 藤田氏は「副作用なくがん細胞が自滅」、肺がんの影がこれでうすくなったと根拠なくお墨付けを与えた。
 それで神奈川県警から薬事法違反(無許可医薬品販売) の幇助で書類送検
 不起訴処分となったが、その販売会社から4年余りで約1100万円の顧問料を受けとっていた。

 反省したということだが金の為にそんなことまでする人だということがよくわかった。
 そして最近、また名前があがってきた。「おにぎりは発酵食品と同じ」だから「おにぎりを素手でにぎる」ことを薦めていた。

 もちろん手にももともとの常在菌がいる。しかし手は様々なものに触れている。
 その結果、手を感染源とする食中毒は多い。素手でおにぎりでも起こっている。黄色ブドウ球菌セレウス菌などによるものだ。

 実は公的な食中毒件数は氷山の一角の可能性が強い。
 米国の能動的、積極的な疫学調査からの推定数から見ると日本では年間1千万件数あってもおかしくはない。軽く考えてはいけないのだ。

 さて、水と健康だが、いくつか問題があるが、ここでは「純水」についての藤田氏の考えを見ていこう。
 彼は純水は毒だという。「ハングリーウォーター」となって、何でも溶かし込むという。だから半導体洗浄などでは洗浄力が強い超純水を使うという。

 半導体洗浄で超純水を使うのは使う水に含まれるイオン類などで汚染されることを防ぐためだ。
 水の純粋度が高くなると物質の溶解度がどんどん大きくなるわけではない。
 化学便覧に載っている溶解度データは普通の純水で調べたものだ。

 藤田氏は「純水を生のまま飲むと、体が保持している大事なミネラルを溶け出させてしまう危険性があり体内がミネラル不足になる」という。
 純水が口に入ればだ液と混じりすぐに純水ではなくなる。
 彼がいうようにミネラルを溶け出すとしたら消化管の表面で水に接したところからだ。
 口から、食道の内壁表面からミネラルを溶け出すとしても水は純水でなくなる。そして水はすぐに胃に至る。胃には胃酸がある。その後も様々な消化液にまみれる。

 化学の実験の経験者なら純水を飲んだことがある人もいるだろう。ぼくも飲んでみた。その体験を本に書いた人もいる。
 体験を本に書いたのは村田徳治氏。『正しい水の話』。
 「純水が毒である」ということが書かれている水の本はたくさんあるので検証してみた。飲んだのは超純水。
 「冷蔵庫で冷やし、まずコップ1杯飲んでみました。」「無味無臭ですが、冷たいので何の抵抗もなく飲めました。水道水などよりは、はるかにうまく感じました。」「1時間おきぐらいに、ついにコップ3杯の純水を飲んでみました。」「何回も純水を飲んでみましたが、体調に異常をきたすことはありませんでした。」「その後、3人に試飲してもらいましたが、飲んだとたんにトイレにかけこむようなこともありませんでした。」

 水の本には科学的に可笑しなことが多々書いてあることが多い。村田徳治さんの本は例外的だ。
 ぼくが以前『入門ビジュアルエコロジー おいしい水安全な水』(絶版 今は『水の常識 ウソホント77』平凡社新書に)を出したら、「やっと啓蒙書で正しい水の本が出た」と可笑しな水道水攻撃に辟易していた水道水関係者にいわれた。のを思い出す。
 村田徳治さんは「体験もしないで、でたらめなことを活字にする手合いが多くて困ったものです。」という。
 藤田氏は世にあるトンデモ本を真に受けて自分の本に書いたり、言ったりしてしまう程度の人なのだ。

 この連ツイをしようと思ったのは、実際は引き篭もりなのに医師、北京の清華大学教授、中国人民解放軍軍医中佐を詐称している@howtodominateがチビマル、Kaetzchen時代からこのトンデモ言説を言い続けていたからだ。
 可笑しげな人は同じような可笑しげな言説に引っかかる例だ。

 藤田氏の純水と人体への影響をもっとわかりやすく示してくれている。

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 最後に藤田氏の血液型性格判断説を紹介しておこう。
 ナトロムさんのサイトだ。 
2006-06-02 パラサイト式血液型診断~藤田紘一郎
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20060602/p1
[本][トンデモ]パラサイト式血液型診断~藤田紘一郎がトンデモさんリスト入り?

 ナトロムさん「竹内久美子は、自分で「高度なジョーク」と言っているように、ある程度は分かっててやっている。
 しかし、藤田先生は誠実で真面目なのだ。ただ、ちょっとばかりトンデモ話に弱いだけなのだ。」

 

 ※繰り返しになるが、ぼくの評価。

 ぼくは健康食品にも関心があるが、そこで事件を起こした。プロポリスという健康食品が、薬事法に違反してがんに効くとの宣伝の下に販売された2014年3月の事件だ。

 藤田氏は「副作用なくがん細胞が自滅」、肺がんの影がこれでうすくなったと根拠なくお墨付けを与えた。
 それで神奈川県警から薬事法違反(無許可医薬品販売) の幇助で書類送検
 不起訴処分となったが、その販売会社から4年余りで約1100万円の顧問料を受けとっていた。

 反省したということだが金の為にそんなことまでする人だということがよくわかった。

【騙されないで!】脂肪を水に変えるサプリだって! 花粉を水に変えるより凄いwww 実際は下痢で痩せる!

https://ja.wikipedia.org/wiki/そば清  ビールに焼き鳥の串を入れたコップにあるサプリを入れてかき混ぜたら焼き鳥が消え無色になった映像を見た。

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 その静止画。

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 脂肪を水に変えるという。

 「そのサプリは肥満を抑制する機能を持ち、体内の脂肪にのみ反応してそれを分解し水にしてくれるのだとか….」(引用)

 花粉を水に変えるより凄いw。

 それで簡単にダイエットできるって。

 きっと短期にバカを騙して儲けて逃げるんだろうと思った。

 

 本当ならまず口や食道や胃腸が大きく溶けて体が可笑しくなり、結果的に病的に痩せるだろうよ。

 前、摂って寝ているだけで痩せるサプリ(「夜スリムトマ美ちゃん」)が消費者庁により販売元の コマースゲートが景品表示法に基づく措置命令を出されたがそんなレベルではない。

 体が溶けて痩せるんだぜw。

 

 実際は、下剤成分が含まれていて下痢で痩せるのだ。体にダメージを与えて、お金をとられるだけだ。

 

 これをツイッター@samakikakuで紹介したら、落語の「蛇含草」や「そば清」の話のコメントがあった。実は、ぼくはこの話を知らなかった。興味のある人は「落語 蛇含草 そば清」で検索を。

*2つのあらすじがのウィキペディア「そば清」にある。

 人間を溶かすはたらきをもった草を食べてしまった話である。

 

 FB(友達限定)でも、いろんなコメントがついた。

・こんなのに騙される低劣なのがいるだろうなと思えるのが悲しいよ。←自分のコメント。
・騙される方にも責任が、、、
・脂肪というか脂質は細胞膜の主成分。それが水に変わっちゃったら細胞が崩壊して死に至るでしょう。
・脂肪分解で鶏肉が消滅?鶏肉のタンパク質はどうなったんだろう?
NASAが開発だって。どうみても嘘だね。
・完全犯罪に使える。死体が水になる。
・2980円で、百人騙せりゃ丸儲けでトンズラー、つて作戦ですね。
・これ、自分も消えちゃいますよね(笑)
・落語の「蛇含草」か。
ノーベル賞ものの開発だ‼️🤣
・さすがにこれは騙される方が悪い。

 

 ダイエットできれば、覚醒剤にも手を出してしまう人がいるので心配だ。こんなものにも騙されてしまう人がいることだろう。

 

商品名「痩爽」(そうそう)

【名称】
キャンドルブッシュ末含有食品

【原材料名】
難消化性デキストリン、キャンドルブッシュ末、金時ショウガ粉末、ブラックジンジャー抽出物、ギムネマエキス末、サラシア末、ココナッツオイル、自インゲン豆抽出物、甘草末、チオクト酸/セルロースステアリン酸カルシウム、微粒酸化ケイ素、ダイズサポニン、ビタミンC、ビタミンE、ナイアシンパントテン酸Ca、ビタミンB1ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンA、葉酸ビタミンDビタミンB12

 

※キャンドルブッシュは、以前から問題になっていたものだ。

 次は国民生活センター

「キャンドルブッシュを含む健康茶―下剤成分(センノシド)を含むため過剰摂取に注意―」 http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20140123_1.pdf

・医薬品成分であるセンノシドが含まれているため、摂取には注意が必要

 (下剤の作用があるセンノシドという成分が含まれている)
・PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、キャンドルブッシュを含む健康茶に関する危害事例が21件あり(2008年4月1日以降2013年12月13日までの登録分)、その内訳は消化器障害が18件、その他の傷病及び諸症状が3件であり、そのほとんどは下痢・腹痛等を伴う消化器障害の事例

・キャンドルブッシュを含む健康茶には、下剤成分であるセンノシドが含まれており、人によっては激しい下痢を起こす可能性

 

 お茶でさえ問題だがキャンドルブッシュ末でどの程度の量がふくまれているかわからないが摂取による害は大きい可能性がある。

 

【追記6/22】このサプリを教えてくれた1人の大学生が、↑この記事は「パクリだ」というメールなどを何度も寄越しました。

 その大学生「もしこのような鶏肉の筋肉などのタンパク質を分解できる物があったならば、到底一般人には手にすることのできない劇薬だと思います。 こんなものがあ

れば風呂に混ぜるだ けで簡単に殺人やら死体処理ができてしまうと思います」と書いてありました。

   大学生はそれをぼくがパクってFBの友達のコメント「・完全犯罪に使える。死体が水になる。」にしているというのです。→ 大学生「ブログでは完全犯罪の殺人ができてしまう等のコメントがあり それは僕のコメントを真似て書いてるだろと言いたいのです あたかも自分が見つけFB内で話し合った感を出すのはいかがなものですか?」

 それは、理系の某公的機関に勤務する人が書いたものです。

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 大学生「編集済みであるコメントの写真を送って証拠扱いされても無意味だと思います 数個しかないコメントの二つ、同一人物が編集済みであることには違和感を抱きませんか?」

 そんなことは大学生だけではなく、誰でも思うだろうな、ということの想像力がはたらかないのかな?

 その前は、ぼくがFB友達の名前で、大学生の文章を載せていたとでもいうのかな?

 もうよくわからないので放置。よくわからないメールだったが、返事をしたのがまずかったかな。

杉山幸丸『研究者として生きるとはどういうことか』東京化学同人を読んだ。

 杉山幸丸『研究者として生きるとはどういうことか』東京化学同人を読んだ。
   理系の学生で研究者を目指すかどうか悩んでいる人にはお勧め。


 杉山さんは83歳なんだね。
 杉山さんの本は前に読んだ『崖っぷち弱小大学物語』以来か。
 中高理科教員をしながら生物研究でもと思っていたのが本格的に研究者の道へ。

 

 ぼくは15章 定年後の人生 からがもっともおもしろかった。自分に迫ってきている
からかもw。

 

 17章 科学を支える仕事 もいい。そこに「科学の普及者としてのサイエンスライタ
ー」の節がある。

 「かつて社会生物学が日本に導入されたころ、1980年から90年代にかけて、サイエン
スライターのような顔をしながら生物の世界に対する浅い理解で短絡的な話を面白おかしく流布させた作家が何人も登場した。読者にもそれなりの見識と注意が求められる。」
 →この代表はまさに竹内久美子氏だよね。

 そういう竹内久美子氏のようなのをいいとする科コミの人も居る。本当に低劣。
 そういうのに限って核燃料サイクルはエコみたいな嘘を元にした宣伝に加担。お金に
目がくらむと共に実は科学技術を理解していないだけなのかもしれないが。

 

※なお、杉山さんのような生物系の研究者を目指すには、今は杉山さんの時代よりかなり厳しいと思う。

 東大動物の大学院にいて、先輩らを見たら就職先がなく高級ワーキングプア(?)が

ぞろぞろいて、決意して医学部に転入学して医師になった上で好きな専門で活躍している人の本も読んだ。博士号を取った後の就職先は増えないどころか、あっても不正規的なところが多いのに昔より博士課程の人数がかなり増え、博士号取得者がバンバン出ているという実態がある。

「ヒジキ中のヒ素」をどう考えるか?(ヒジキには発がんリスクの無機ヒ素が多い)

 まず、たまにだが、無知な人がいて、「ヒジキに含まれる人は有機ヒ素で無機ヒ素

でないから安全だ」ということがある。

 

 次はそんな無知な人の例である。この「@howtodominate」はぼくの元友人であるが、今では医師、中国の清華大学教授、中国人民解放軍軍医中佐などを詐称している

ツイッターアカウントである。医師を騙ることを止めるようにと本ブログでも彼の

正体を部分的に明かして警鐘を鳴らしている。興味ある人は検索してほしい。

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 この@howtodominateはヒジキのヒ素の化学形態が有機ヒ素だと思い込んでいる。

 しかし、ヒジキのヒ素はほとんどが無機ヒ素だからこそ問題になっているのだ。

 例えば、2004年7月、英国食品規格庁(FSA)は、ヒジキを食べないように

英国民に対して勧告を出した。

    その理由は、FSAの調査で、ヒジキに発がんリスクの指摘されている無機ヒ素

が多くふくまれているとの結果が得られたためである。

 

 日本ではヒジキをよく食べるので、これに対して、厚生労働省が「Q&A」を公表

している。


 「Q:ヒジキを食べることで、健康上のリスク(危険性)は高まりますか。」への
回答を要約すると、次のようだ。

・日本人のヒジキの一日あたりの摂取量は推定約0.9グラム。

・WHOが1988年に定めた無機ヒ素のは1週あたり1キログラム体重あたり15マイクロ
グラム。体重50キログラムの人の場合、1日あたり1人あたり107マイクログラムに
相当。

・FSAが調査した乾燥品を水戻ししたヒジキ中の無機ヒ素濃度は最大で1キログラ
ムあたり22.7ミリグラムでしたが、仮にこのヒジキを摂食するとしても、毎日4.7グ
ラム以上を継続的に摂取しない限り、WHOの基準を超えることはない。

・海藻中に含まれるヒ素によるヒ素中毒の健康被害が起きたとの報告はない。

・ヒジキは食物繊維を豊富に含み、必須ミネラルもふくんでいる。 

 以上から、ヒジキを極端に多く摂取するのではなく、バランスのよい食生活を心が
ければ健康上のリスクが高まることはないと思われる。

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