左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

松田卓也さんの相対性理論についての文章を推薦

 先日、EM検討の会で松田卓也さん(神戸大名誉教授)と会った。会終了後の飲み会も一緒した。
 最近、「相対性理論は間違っている」という主張をしている某グループとそれはおかしいという人らとのやりとりをだいぶ読んだ(検索で)。それがきっかけで松田さんの文章を読んだ。


カーナビと巡航ミサイルと相対論について
神戸大学理学部地球惑星科学科 松田卓也
http://www.edu.kobe-u.ac.jp/fsci-astro/members/matsuda/psudo/0207CarNavi.html


【要約】:
相対性理論は間違っているといった疑似科学的言説が横行している。相対性理論の基本原理である光速度一定の原理は、GPS衛星が働くための基本的な原理である。GPS衛星は身近なところではカーナビや、巡航ミサイルの位置決めにも利用されている。光速度一定が成り立たなければ、カーナビは働かないのである。GPS衛星には原子時計が搭載されている。一般相対論によれば、高空を飛ぶ人工衛星の時計は地上の時計より遅れることが予言されるが、GPS衛星の時計はその遅れに対する補正もなされている。要するに、特殊相対論、一般相対論は最新技術に応用されており、もはや初歩的な意味で間違っているというような時代ではないのである。


【本文】から:
世の多くの疑似科学的議論はこの手続きを経ないものである。たとえば、アマチュアであれば自費出版にしたりプレプリントにしたり、最近なら自分のウエブに論文を掲載したりする。多少とも権威のある人、出版社にコネのある人は、日本語の通俗書として自分の意見を述べることが多い。しかし、もし相対論が間違っているとすれば、これはノーベル賞級の大発見であり、世界の科学者の認知を受けなければならない。日本国内で、それも一般読者だけを相手に議論しても意味が無い。だから通俗書による反相対論はそれだけでうさんくさいと思わなければならない。


光速度不変という現象は、我々の常識からは非常に理解しがたいことではあるが、実験的に確立した事実なのである。長さ、重さ、時間を測定すること、つまり度量衡は現代科学技術の根幹である。長さの基準1mは、昔は金属でできたメートル原器で計った。しかし最近は、光速度が一定であることを利用して、原子時計を用いて光がある時間内に走る距離を1mと定義しているのである。そうなると、光の速さを測定することはもはや意味が無くなる。