左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

私たちは食品添加物をどのくらいとっているの?

 ツイッター @samakitakeo で食品添加物の摂取量を少し話題にしたので、2000年に出した友人らと出した『気になる 成分・表示100の知識』東京書籍 に書いた文章を紹介しておきます。
 現在の摂取量は、後で調べて補足としたいと思います。


 私たちは食品添加物をどのくらいとっているの?

 私たちは、いったいどれくらいの量の食品添加物を食べているのでしょうか。一生の問に何百キログラム食べている、と言われたりしますが、本当のところはどの程度なので⊥ようか。


 いちばん簡単な方法は、食品添加物の生産量を総人口で割るものですが、残念ながらほとんどの食品添加物には生産統計がないので、生産量がわかりません。


 それだけではありません。食品添加物は人の口に入っても安全と考えられる化学物質ですから、人が食べる食品に使うだけではありません。家畜の飼料、化粧品、農薬などにも広く利用されています。例えば、食品添加物の「着色料」は、口紅などの化粧品からおもちゃやサインペンの着色、はては釣り堀の水を青く着色するのにまで使われています。私が中学や高校の理科の実験で結晶づくりに使うミョウバンの袋には「食品添加物」と表記されています。これでは、生産量がはっきりしてもその用途のうち食品添加物だけを抜き出すという作業が必要です。


 そこで厚生省は、実際に私たちが食べている食品から、その中に含まれている食品添加物の種類と量を割り出す手法を調査研究しています。


 まず、国民栄養調査の結果から、日本人が一日あたり平均して食べる食品の種類と量を決めます。つぎに全国一〇か所の衛生研究所が手分けして、それらの食品を食料品店などから買い求め、含まれている食品添加物を分析します。これをマーケットバスケット方式といいます。


 そのとき、「サッカリン」「食用タール色素」など天然に存在しない食品添加物をA群、「ビタミン」「アミノ酸」「ミネラル」のような天然の食品に含まれているような食品添加物をB群に分けて別々に検討します。B群のものは、分析しても、もともと食品に含まれているものと区別ができません。


 A群はすべて食品添加物由来で、一日あたり食品添加物六〇品目の摂取総量は一〇八・八ミリグラム(約〇・一グラム)です。いちばん多かったのは麺類の品質保持に用いるプロピレングリコールです。二位が保存料のソルビン酸、三位が乳化剤のプロピレングリコール脂肪酸エステルです。


 天然型の食品添加物であるB群は、一五〇品目あります。一日あたり加工食品からの摂取量は九・二九グラム、生鮮食品からの摂取量は六・八六グラム、合計一六・一三グラムです。生鮮食品からのものは、食品添加物ではなく天然物由来で、加工食品からのものは、食品添加物由来と天然物由来が合わさっています。一位がD−ソルビタール、二位がクエン酸、三位がグルタミン酸ソーダです。(左巻健男