左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

札幌のガス大爆発の化学

札幌の大爆発で死者が出なかった科学的根拠 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55021 … @JBpressさんから


 元高校化学教員で高校化学教科書の著者経験もあるぼくからするとかなりずれている。山猫だぶ @fluor_doubletさんも述べていたが物質量の差からなら水素酸素の爆発はどうなるのか?削除したほうがよい。

 

 福一の水素爆発もそうだが「爆発限界」が一般に理解されていない。水素は空気と4~75%の混合割合で火が点くと爆発。この割合が爆発限界。福一の場合は高温水蒸気が燃料被覆管のジルコニウムと反応して発生した水素が原子炉→圧力容器→建屋へと広がった。建屋で爆発限界を超えた所に火が点いた。

 

 ジメチルエーテルの爆発限界(%)3.4〜17。水素の下限4%も他の可燃性気体と比べて低いがさらに低い。屋上など野外なら拡散して爆発限界になりにくいので火があっても爆発しにくい。屋内だと容易に爆発限界になる。

    ジメチルエーテルの爆発限界下限3.4%は6畳間で200mL缶19本で達する。下限未満なら火をつけても爆発しない。

 

 爆発は、その起こるプロセスで大きく物理的爆発と化学的爆発に分けることができる。体積の増大(=圧力の上昇)の原因が、気体や液体の熱膨張や状態変化などの物理的な原因の場合を物理的爆発、物質の分解や燃焼のような化学変化が原因の場合を化学的爆発とする。

 

 化学的爆発の代表は、気体の発生を伴う一種の燃焼が、一度始まったら少なくても燃える物がある限り、その燃焼速度がどこまでも際限なく大きくなっていくような爆発である。プロパンガスや都市ガス(主成分はメタン)が漏れて、たまったところに引火したときのガス爆発がそうである。

 

 今回のジメチルエーテルも化学的爆発。一か所でおこった燃焼がまわりに非常に速く伝わり、急激に燃焼して突然高い温度になると、燃焼によってできた気体と近くの空気が急激に膨張し、まわりの空気を押し動かしてドカンと爆音を発し、同時にものを吹き飛ばしたりする。