左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

DND(+EM研究機構顧問だった)出口俊一氏との裁判 の控訴審判決(左巻健男完全勝利確定)

 DND出口俊一氏との裁判は、東京高裁での控訴審判決で左巻健男が完全勝利し、その後出口氏は最高裁に上告したが棄却された。よって、左巻健男の完全勝利が確定した。

 

 その判決で、出口俊一氏はジャーナリストの行動基準を守らないで、

 EM菌比嘉教授の見解を信じる者として,比嘉教授の見解に沿った見解を一方的に伝えているものといえる

 とされた。

 また、

 出口俊一氏は,EMの効果を証明するために記事を書いているといわざるを得ない。

 とされた。

 さらに、

 松永教授らの見解がどのようなものかを真摯に聴き取って記事にするためではなく,松永教授らの見解が誤っているとの前提の下,これを糺すためであったと言わざるを得ない。 

 とされた。

 つまり、出口俊一氏は、ジャーナリストの立場から記事を書いているのではなく、EM菌擁護とEM菌推進のために記事を書いているということだ。

 

控訴審判決から裁判所の判断を一部紹介】

読みやすくするために控訴人→出口俊一氏にした。

また行替え、強調点の太字化や赤字化などもした。

 

*前記のとおり,EMの成分の詳細が不明であり,放射能の除去に資する効用については,放射能の専門家には認められておらず,比嘉教授がうたうその余のEMの効果についても,科学的な根拠及び機序の存在について第三者による検証を十分に経ているとはいえない状況の下,出口俊一氏は,控訴人サイト上に編集長としてEMを擁護する記事をたびたび掲載している。すなわち,朝日新聞記者行動基準(甲44(1枚目))が,「独立と公正」の項目で記者の基本姿勢として,「特定の個人や勢力のために取材・報道をしてはならず,独立性や中立性に疑問を持たれるような行動をとらない。」と定めているところ,出口俊一氏は,ジャーナリストとして,上記行動基準に則らず,比嘉教授の見解を信じる者として,比嘉教授の見解に沿った見解を一方的に伝えているものといえる。

*出口俊一氏人は,原審での本人尋問において,松永論文について,EM潰しの悪しき攻撃が始まったとの印象を持ったと供述し(調書7頁),飯島准教授が,学会でEMを悪徳商法などと批判して,学会でEMの効果はないと発表し,EMを批判するグループは徹底的にいろんな場所でEMの効果はない,問題が大きいと繰り返し言っていると供述し(調書11頁),片瀬が,研究会でEMの効果がないという嘘を発表したと供述しており(調書13頁),しかも,前記1の認定事実(5)ないし(7)のとおり,出口俊一氏は,EMの効用について否定的な見解を持つ松永教授らに対し,面会を求めたり,勤務先に電話をかけるなどしているのであるから,出口俊一氏は,EMの効果を証明するために記事を書いているといわざるを得ない。

*出口俊一氏は,出口俊一氏のDNDサイト上に編集長としてEMを擁護する記事をたびたび掲載しており,そのような立場にある者は,表現の自由との関係で,ある程度の批判や否定的な意見を受けることは,当然に覚悟すべき立場にあるといえる。

出口俊一氏のこれらの供述から,出口俊一氏が松永教授らに対して面会を求めたのは,ジャーナリストとして,取材対象者である松永教授らと直接面会して,松永教授らの見解がどのようなものかを真摯に聴き取って記事にするためではなく,松永教授らの見解が誤っているとの前提の下,これを糺すためであったと言わざるを得ない。したがって,出口俊一氏の上記主張も当を得たものとはいえない。

 

【判決全文】

平成29年2月23日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 ○○○○
平成28年(ネ)第4573号 損害賠償等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所 平成27年(ワ)第8495号)
(口頭弁論終結日 平成28年12月20日

      控   訴   人   出 口 俊 一
      被   控   訴  人  左 巻 健 男

        主  文
     1 本件控訴を棄却する。
     2 控訴費用は控訴人の負担とする。

          事 実 及 び 理 由

 

第1 控訴の趣旨

 

1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,控訴人に対し,1100万円及びこれに対する平成26年12月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被控訴人は,控訴人に対し,原判決別紙1の2,同1の3,同2の2及び同2の3記載の被控訴人が管理するツイッタ一に掲載している各記事を削除せよ。
4 被控訴人は,控訴人に対し,原判決別紙3謝罪広告目録記載の内容の謝罪広告を,原判決別紙4の掲載要領により,披控訴人が管理するウェブサイト(ホームページのアドレスが「http://d.hatena.ne.jp/samakita/」であるもの。)上に掲載せよ。
5 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。

 

第2 事案の概要等

 

1 事案の概要
 本件は,控訴人が,被控訴人がウェブサイト又はツイッター上に掲載した記事が控訴人の名誉感情を侵害し,又は名誉を毀損するものであるとして,被控訴人に対し,①不法行為に基づく損害賠償として1100万円(慰謝料1000万円及び弁護士費用100万円の合計額)及びこれに対する最後に記事が掲載された日(不法行為の最終日)である平成26年12月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,②人格権に基づき,原判決別紙1の2,同1の3,同2の2及び同2の3記載のツイッタ一に掲載されている各記事の削除を,③民法723条に基づく名誉を回復するのに適当な処分として謝罪広告の掲載を,それぞれ求める事案である。
 原審は,控訴人の請求をいずれも棄却した。これに対し,控訴人が本件控訴をした。

2 前提事実は,次のとおり付加訂正するほかは,原判決の「事実及び理由」第2の1に記載のとおりであるから,これを引用する。
(1)原判決3頁2行目の「原告プログ」を「控訴人サイト」と改め,以下,原判決中「原告プログ」を「控訴人サイト」と読み替える。
(2)原判決3貢2行目の「運営している。」の次に,以下のとおり加える。
 「控訴人サイトでは,学者及び識者ら30余名が連載記事を掲載している。(甲26(2頁),弁論の全趣旨)」
(3)原判決3貢13行目の「被告ブログ」を「被控訴人ブログ」と改め,以下,原判決中「被告ブログ」を「被控訴人プログ」と読み替える。
(4)原判決3頁21行目の「被告ツイッター」を「被控訴ツイッター」と改め,以下,原判決中「被告ツイッター」を「被控訴ツイッター」と読み替える。

3 争点は,原判決の「事実及び理由」第2の2に記載のとおりであるから,これを引用する。
4 争点に関する当事者の主張は,次のとおり付加訂正するほかは,原判決の「事実及び理由」第2の3に記載のと通りであるから,これを引用する。
(1)原判決5頁1行目末尾の次に,以下のとおり加える。
 「控訴人は,ジャーナリストとして事実についての情報を発信し続けている者であり,EMはその取材対象の一つである。控訴人は,EMの研究者ではなく,EMについて独自の科学的見解を持っているわけではない。
 控訴人は,ジャーナリストとして,EMが役立てられている災害現場等に足を運んで取材を行い,国内外でEMの効用が実証されている事実並びに多数の学術機関及び研究機関において,EMの研究が進められ,数多くの国でEMが現実に使用されているという事実に接してきた。控訴人は,このような取材によって得られた事実を自身のブログにメールマガジン(以下「メルマガ」という。)として掲載し続けてきたが,EMの効果を科学的に証明するためではない。ノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智教授(以下「大村教授」という。)は,著書において,EMについて,「一農学者によって,化学肥料を使う以前の農業の中にあった人類の智恵が歴史から抜け出し,再び役立とうとしているのである。」と述べており,マサチューセッツ工科大学の正木一郎教授(以下「正木教授」という。)は,国際会議の開会式で,EMの力を示す様々な実例について述べた上で,世界が抱える地球規模の環境問題は,比嘉博士の理論によれば,微生物の効果的な応用によって解決することができると述べている。被控訴人による「真正のおばか」,「嘲笑するしかない超低レベル」等の表現は,批判的意見の範疇を超え,加害の意思をもって,EMに関する肯定的な事実を報道する控訴人の人格そのものを否定するものである。上記表現の記載された平成25年12月記事は,被控訴人ナログに掲載されることにより,世界中の誰もがいつでも閲覧することができる状態となり,被控訴人ツイッタ一に掲載されることにより,多数のフォロワーが閲覧し,リツイートされることにより,際限なく拡散されたものであり,極めて悪質である。」
(2)原判決6頁6行目から7行目にかけての「原告主張摘示事実」を「控訴人主張摘示事実」と改め,以下,原判決中「原告主張摘示事実」を「控訴人主張摘示事実」と読み替える。
(3)原判決6頁7行目から8行目にかけての「被告は,このような事実を摘示したことにより,」を,以下のとおり改める。
 「平成26年10月記事の掲載された被控訴人プログには,「彼がEM批判者の自宅に押しかけたり,所属大学に圧力をかけたりしたのを知り,そこまでやるのは何かあるよね,と,比嘉照夫氏の本やウェブの記事を一生懸命読んでみた。」,「何せ『ヤクザそのもの』という行為をやるわけだから」及び「出口俊一氏は,大学客員教授金沢工業大学客員教授の肩書きを使って,EM批判者らに圧力をかけたりしたことを大学は知っているのだろうか」と記載されており,披控訴人は,控訴人主張摘示事実により,」
(4)原判決8頁2行目の「原告は,」から3行目ないし4行目の「内容ではなかった。また」までを,以下のとおり改める。
 「具体的には,控訴人は,松永教授に確認取材をしたいと考え,函館に到着した後,松永教授に対し,電話で,一緒に食事でもしながらお話できないか。」と外に誘ったが,松永教授は,体調が思わしくなく外出が無理とのことであった。そこで,控訴人は,松永教授の自宅を訪問することにしたが,松永教授は,自宅を訪ねた控訴人を快く迎えてくれた。控訴人は10分程度で引き上げるつもりであったが,松永教授から引き留められて面談時間が25分余りとなった。また,控訴人が,DNDのメルマガで,朝日新聞青森版のEM批判記事を問題にしたところ,片瀬は,控訴人に対し,「事実が違うのは出口氏の方だ」との記事をプログに記載した。
 控訴人は,上記ブログには事実と遣う箇所が散見されたため,片瀬に対し,メールで面会を求めたに過ぎない。さらに,飯島准教授は,学会で行った展示において,EMを悪質商法とし,EMをオウム真理教になぞらえる等の誹謗中傷行為を行っていた。このため,控訴人は,平成26年3月31日,飯島准教授の在籍確認と上記展示についての事実確認のため,神田外語大学の広報課に電話をしたが,わずか2,3分の通話であり,激しく抗議するような内容ではなかった。ところが,その直後から飯島准教授は,ツイッター上で,控訴人から恫喝を受けたとの書込みを繰り返すようになった。そこで,控訴人は,同年12月16日,事実確認のため,神田外語大学の広報課を訪ねたところ,広報担当者は,控訴人が電話で恫喝したなどと飯島准教授に伝えた事実はないと明確に述べた。このようた,松永教授らに対する取材は,通常の取材方法及び態様の範疇に収まるものであり,ヤクザと称されるような不適切なものではなかった。被控訴人は控訴人の取材方法を批判するに際して,「ヤクザそのもの」などという言葉を用いる必要性がないにもかかわらず,あえて「ヤクザそのもの」という言葉を用いて,控訴人のジャーナリストとしての信用を貶めたものである。なお,取材対象者と直接面会することはジャーナリストとして,基本中の基本である。例えば,朝日新聞記者行動基準(甲44)は,「取材方法」の項目において,「出来事の現場を踏み,当事者に直接会って取材することを基本とする。特に,記事で批判の討象とする可能性がある当事者に対しては,極力,直接会って取材する。」と定めている。なお,」
(5)原判決8貢9行目の「さらに,」を,以下のとおり改める。
 「そして,被控訴人は,平成25年11月30日から同年12月1日にかけて日本科学者会議東京支部主催で開催された第17回東京科学シンポジウムにおいて,「ニセ科学問題」という分科会を設置,企画した責任者であった。上記分科会のあり方に疑問を抱いた控訴人が,日本科学者会議事務局に対し,そのような運営方法が学会の運営として望ましいものかどうかを確認して欲しい旨のメールを送ったことを契機として,被控訴人は,控訴人に対し「攻撃的な姿勢を見せるようになった。また,被控訴人が編集長を務める雑誌「理科の探検」に掲載されていた松永教授の論文が,国立研究開発法人科学技術振興機構が運営するサイトにも掲載されていたが,上記機構は,松永教授の論文を削除した。被控訴人は,控訴人の言動により松永教授の論文が削除されたものと考えていた。このように,」
(6)原判決8頁17行目から18行目にかけての「大きな精神的苦痛を受けた。これを慰藉するに足りる金額は1000万円を下らない。」を,以下のとおり改める。
 「著しい精神的打撃を受け,1年半以上.パソコンに向かって原稿を書くことが困難となった。上場企業である株式会社桧家ホールディングスの社外取締役でもある控訴人は,同社の経営陣に対する事情説明及び弁明を余儀なくされ,金沢工業大学准教授であった控訴人は,その職を辞任せざるを得なくなった。被控訴人による控訴人へのあまりにも酷い誹語中傷を目の当たりにした控訴人の妻は体調を崩すに至った。控訴人が受けたこのような精神的苦痛を慰藉するに足りる金額は1000万円を下らない。」

 

3 当裁判所の判断

 

1 当裁判所は,控訴人の請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は,次のとおり付加訂正するほかは,原判決の「事実及び理由」第3に記載のとおりであるから,これを引用する。
(1)原判決9頁9行目の「客員教授を努めたことがあった」を「客員教授を勤めたことがあった」と改める。
(2)原判決15頁9行目から10行目にかけての「ある」とはいえない。」の次に,以下のとおり加える。
 「大村教授の著書(甲38(6枚目))には,EMについて触れた部分があるものの,微生物を利用するEM技術の発想が,農業において有意義であることを述べたにとどまるものである。確かに,証拠(甲39の2・3)によれば,正木教授は,EMの効果について,比嘉教授の見解に賛同を示していることが認められるものの,EMの効果として挙げている実例について,自ら科学的に検証しているわけではない。」
(3)原判決15頁22行目末尾の次に,以下のとおり加える。
 「これに対し,控訴人は,EMの研究者ではなく,EMについて独自の科学的見解を持っているわけではなく,ジャーナリストとして事実についての情報を発信し続けている者で即,EMはその取材対象の一つである旨主張する。しかし,前記のとおり,EMの成分の詳細が不明であり,放射能の除去に資する効用については,放射能の専門家には認められておらず,比嘉教授がうたうその余のEMの効果についても,科学的な根拠及び機序の存在について第三者による検証を十分に経ているとはいえない状況の下,控訴人は,控訴人サイト上に編集長としてEMを擁護する記事をたびたび掲載している。すなわち,朝日新聞記者行動基準(甲44(1枚目))が,「独立と公正」の項目で記者の基本姿勢として,「特定の個人や勢力のために取材・報道をしてはならず,独立性や中立性に疑問を持たれるような行動をとらない。」と定めているところ,控訴人は,ジャーナリストとして,上記行動基準に則らず,比嘉教授の見解を信じる者として,比嘉教授の見解に沿った見解を一方的に伝えているものといえる。
 また,控訴人は,ジャーナリストとして,EMが役立てられている災害現場等に足を運んで取材を行い,国内外でEM甲効用が実証されている事実並びに多数の学術機関及び研究機関において,EMの研究が進められ,数多くの国でEMが現実に使用されているという事実に接してきており,このような取材によって得られた事実を控訴人のブログにメルマガとして掲載し続けてきたが,EMの効果を科学的に証明するためではないとも主張する。しかし,控訴人は,原審での本人尋問において,松永論文について,EM潰しの悪しき攻撃が始まったとの印象を持ったと供述し(調書7頁),飯島准教授が,学会でEMを悪徳商法などと批判して,学会でEMの効果はないと発表し,EMを批判するグループは徹底的にいろんな場所でEMの効果はない,問題が大きいと繰り返し言っていると供述し(調書11頁),片瀬が,研究会でEMの効果がないという嘘を発表したと供述しており(調書13頁),しかも,前記1の認定事実(5)ないし(7)のとおり,控訴人は,EMの効用について否定的な見解を持つ松永教授らに対し,面会を求めたり,勤務先に電話をかけるなどしているのであるから,控訴人は,EMの効果を証明するために記事を書いているといわざるを得ない。」
(4)原判決16頁13行目末尾の次に,以下のとおり加える。
 「さらに,控訴人は,控訴人サイト上に編集長としてEMを擁護する記事をたびたび掲載しており,そのような立場にある者は,表現の自由との関係で,ある程度の批判や否定的な意見を受けることは,当然に覚悟すべき立場にあるといえる。」
(5)原判決19頁10行目の「認められる。」の次に,以下のとおり加える。
 「控訴人は,松永教授の自宅を訪問した際,快く取材に応じてもらったと主張し,上記主張に沿う証拠として,そのときの音声データ(甲40の1)を提出し,飯島准教授の勤務する神田外語大学に電話をしたとき,恫喝した事実はないと主張して,上記主張に沿う証拠として,そのときの音声データ(甲43の1)を提出する。しかし,科学的事象について,自己の見解と異なる見解を持つ者に対し,直接面会するという取材方法が問題となる中であって,控訴人の取材のときの態度や物腰が問題となるのではないのであるから,控訴人の上記主張は当を得たものとはいえない。また,控訴人は,取材対象者と直接面会することはジャーナリストとして,基本中の基本である旨主張し,朝日新聞記者行動基準(甲44(1枚目))を証拠として提出する。確かに,社会的事実については,情報を持っている者と面会し,真偽を確認することは意義のあることといえる。しかし,科学的見解については,その見解を有する者と直接面会しても,その見解を科学的に検証したことにはならないのであって,証拠(甲40の1・2)によれば,控訴人は,松永教授と面会したとき,科学者としての知見に基づきEMの効用について否定的な見解を述べる松永教授に対し,明確な科学的根拠を示さずに反駁していることが認められる。さらに,控訴人は,原審での本人尋問において,松永教授について,間違っていると思っても,確認作業は欠かせない,相手がはっきり事実と違うことを言っていても,これはどうなんでしょうかと訪問して聞くのがジャーナリストの取材姿勢である旨供述し(調書8頁),飯島准教授について,EMを批判するグループは,徹底的にいろんな場所でEMの効果がないと繰り返して言っているので,きちっと事実関係を確認する必要があると思って広報に連絡した旨供述し(調書11頁),片瀬について,控訴人の批判記事を書いたので,一方的に人を批判するときは本人に確認を取る必要があることを話そうと思って面談を申し込んだ旨供述する〔調書13頁)。控訴人のこれらの供述から,控訴人が松永教授らに対して面会を求めたのは,ジャーナリストとして,取材対象者である松永教授らと直接面会して,松永教授らの見解がどのようなものかを真摯に聴き取って記事にするためではなく,松永教授らの見解が誤っているとの前提の下,これを糺すためであったと言わざるを得ない。したがって,控訴人の上記主張も当を得たものとはいえない。」
(6)原判決20頁18行目から19行目にかけての「その表現ぶりが辛辣なものではあるが,」を,以下のとおり改める。
 「「ヤクザそのもの」という言葉は,辛辣なものではあるが,前後の文脈から,控訴人が暴力団関係者であると指摘しているのではなく,控訴人が松永教授らに面会を求めるなどしたことが,ジャーナリストとして強引な取材方法であることを表現したにとどまることは明らかであり,」

 

2 結論

 

 以上によれば,控訴人の請求は,その余の点について判断するまでもなく,いずれも理由がないからこれらを棄却すべきであるところ,上記判断と同旨の原判決は相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとする。
 よって,主文のとおり判決する。

   東京高等裁判所第10民事部

裁判長裁判官   大   段   亨
裁判官   小   林   元   二
裁判官   松   本   真

OCRで文字認識したので一部誤認識が混ざっている可能性がある。