左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

 『古事記』にでてくる「倭建命」(やまとたけるのみこと)はすごい!

 『古事記』にでてくる「倭建命」(やまとたけるのみこと 『日本書紀』では主に「日本武尊」)はすごい!


 大塚ひかり『愛とまぐはひの古事記』から次の2つを。
1.実兄(大碓命 おほうすのみこ)を虐殺
2.美少女に扮してクマソタケル(熊襲建)兄弟を殺害
 その後、出雲の国でそこの権力者の出雲建と一緒に川で水浴びをし、相手に友と錯覚させる演技をし、打ち殺しているのもすごいが…。

【実兄(大碓命 おほうすのみこ)を虐殺】
 倭建命は、少年時代の名は小碓命
 兄は父天皇景行天皇)の妃になるはずの美人姉妹を犯し、父に別の女をあてがった。父はそれを知ってその女たちを相手にしなかった。兄は気がとがめたのか父の前に姿を見せなくなった。
 天皇は弟に「朝夕の食事に参るようにお前がねぎらって教えさとすように」と言った。しかし5日たっても姿を見せない。
 天皇が「まだ話をしていないのか?」と弟に聞くと、「もうねぎらってやりました」と答えた。
 「朝、トイレに入るのを待ち伏せして、つかみ潰して、手足を引き抜いて、薦(こも)に包んで捨てました」
 
【美少女に扮してクマソタケル(熊襲建)兄弟を殺害】
 そのため小碓命は父に恐れられ、九州のクマソタケル(熊襲建)兄弟の討伐を命じられる。
 このとき彼は、少女のように髪を結い、叔母の着物を着て、完璧な美少女の姿で、新築祝いの宴に女たちの中に紛れ込んだ。
 少女姿の小碓命を見て、クマソタケル兄弟は「これはすごい美少女だ」と絶賛。兄弟は小碓命をもてあそんだ。
 兄弟がべろんべろんになったころ、隠し持っていた剣で、まず兄の胸を貫いた。弟がおののいて逃げると、背中をつかみ、剣を尻から刺し通した。
 そのとき熊襲建に倭建御子(やまとたけるみこ)の名前を与えられる。
 言い終わるや熟した瓜でも切るように、すぱっと切り殺した。

 大塚ひかりは言う。「自分の性的魅力で、相手をたらしこんでおいて殺すという『女の力を兼ね備えた英雄』。甘く危険なホモの香りが漂っている」

 前に、大塚ひかり『本当はひどかった昔の日本: 古典文学で知るしたたかな日本人』がおもしろかったので、昨日は彼女の『愛とまぐはひの古事記』を読んだ。昨日は高木仁三郎の反原発本、藤井青銅『日本伝統の正体』なども読んだ。どちらも再読。再読を含めて1日に何冊か読んでいる。

 『本当はひどかった昔の日本: は「育児放棄から人身売買、マタハラに介護地獄…現代の悲惨な話は、全部過去の日本に存在した!」という内容。

 さて、『古事記』はおもしろい!
 「昔の日本はよかった!」という話がよくあるので、伝統で立ち返る波は、日本がつくられた神話の書である『古事記』だよなあと時々見ている。
 
 大塚ひかりは言う。「古事記』は日本初の歴史記録文学だが、国が生まれる様子とか、百三十歳を超える天皇の没年とか、明らかに大ウソと分かる記述が満載だ。そうやって事実のふりをしてウソを語る歴史物語のほうが、ウソのふりして事実を語る『源氏物語』よりも、そのときの私の心身(注:不調が続いた)にはラクだった」
 『愛とまぐはひの古事記』の「BOOK」データベース→「『愛とまぐはひの古事記』最古の記録文学古事記』曰く。この国は「まぐはひ」によって生まれた。神人は感情を微塵もつつまず、激しく怒り、泣き叫び、哄笑する。生命の源である「性」がすべての中心にある。現代に疲れた人々が癒しを求めるならば、この「高貴な野獣」のような神と人の、エロスと糞尿譚に満ちた破天荒な物語に触れるとよい。不思議な清浄感、解放感とともに、生きる力が湧いてくる。」

2022年、左巻健男が出した本、これから出る本

死ぬまでの暇つぶしに本を書いたり、旅をしたり…。
本の仕事は結構やり甲斐があり、できあがると達成感!
(でも結構大変だよ!)
 
*8月末、講談社編集さん2人と打ち合わせ。
「いまどんな本の仕事を抱えているんですか?」と聞かれて答えられなかった(^^;)。そこでまとめてみた。
 ★:これから原稿執筆や監修の本
【今年の左巻健男本既刊】
監修『知れば世の中が見えてくる!元素の教科書』ナツメ社09/20
監修『マインクラフトで楽しく学べる! 鉱物・宝石大図鑑』マイクラ職人組合著宝島社09/15
編著『1日1ページで小学生から頭がよくなる!身近な科学のふしぎ366』きずな出版07
監修『マインクラフトで楽しく学べる!生き物のひみつ大図鑑』マイクラ職人組合著宝島社06
監修『見つけて学ぶサイエンス 科学まちがい図鑑』西東社02
単著『一度読んだら絶対に忘れない化学の教科書』SBクリエイティブ01
【原稿は終わっている本】
単著『学び直し中学理科』(仮題)ワニブックスPLUS新書
共編著『ヘアケアサイエンス』(仮題)化学同人
【今年のこれから刊の左巻健男本】
★編著『みんなの科学リテラシー検定』秀和システム11/21
監修『世界を知る新しい教科書 生物学大図鑑』メアリ・アージェント=カトワラ 著河出書房新社10/27
★単著『知らなきゃ怖いバイオ科学』(仮題 『健康系ニセ科学』)きずな出版10/26
単著『化学で世界はすべて読み解ける - 身近な疑問からはじめる化学入門』SB新書10/10
 
【今年か来年のこれから刊の左巻健男本】
★監修『5文字で星座と神話』すとうけんたろう著講談社
★単著『政治に入りこむカルト、オカルト・ニセ科学』(仮題 平凡社新書
★単著『日本史サイエンス』(仮題 幻冬舎
★共編著『キャンプのサイエンス』(仮題 化学同人
★編著『身近な危険』(仮題 日本実業出版社

左巻健男の国内おすすめ旅

左巻健男の国内おすすめ旅】
 ぼくは旅が好きだ。忙中閑あり。一生懸命に仕事に取り組んでいると、時に考えるのは次にどんな旅をしようかということだ。旅があるからハードな仕事にも耐えられる。気に入ったところには何度も旅している。
 期間が長かったのは、旧東海道と旧中仙道を歩き通した旅だ。旧東海道は16 日間。旧中仙道はもっとゆっくり歩こうと思い 22 日間。
 
  思い起こせばいろいろなところを旅した。
 ぼくが自然系で何度か行っているところをあげてみよう。
 1 回でも行ったことがあるところを入れると、この何倍かになるだろう。外国も、いろいろなところへ行った。
 以下は、ぼくのおすすめだ。
【九州・沖縄】雲仙岳阿蘇奄美大島屋久島・沖縄やんばる・西表島
 
【中国・四国】大山・隠岐・龍河洞・秋芳洞秋吉台三段峡・ 鳴門の渦潮
 
【近畿】 琵琶湖・鴨川・深泥池・哲学の道・高尾・六甲山・有馬温泉熊野古道大峰道(大峰奥駆け道)
 
 
【関東】 奥日光・戦場ヶ原・尾瀬ヶ原至仏山・燧岳・那須・茶臼岳 ・妙義山長瀞・城ヶ崎自然研究路・養老渓谷・清澄山・玉川上水30 kmを歩く・高尾山・川乗山・伊豆大島
 
 
【北海道】知床・網走などで流氷・礼文島利尻島富良野の東大演習林・大雪山系寿都積丹半島
 
by『理科の探検』誌2014夏号

子犬にEM菌(正確には住居用のEMW)を吹き付けた結果…の話>このノートからEM菌が関わっているかを考えたい。

Yahoo!知恵袋提供の「知恵ノート」は2017年8月31日をもって終了しています。そこに公開されていたものをここに再録しておきます。

 なお、原文は元のママですが強調を赤字や太字にしたのは左巻健男です。

http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n134475 (今はありません)
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 人間の介護施設でも使用しているEM菌ですが、私は、獣医さんの奥様に薦められ、当犬舎の運動場や建物の消臭や、コリー(ラフ)達の毛の手入れの為に2006年から2007年頃に頻繁に使っていました。

 ところが、2007年の2月に生まれた子犬6頭の母犬のリズの乳首にEM菌のサイトで薦めているような方法でEM菌(正確には住居用のEMW)を手入れの為に 吹き付けていたのですが、それを舐めた新生児は 消化器官がやられて6頭が次々に死亡、病院での治療は全く効かず、白い便を出し、全く栄養が吸収できず、最後の子犬は生後15日過ぎまで苦しみながら生き伸びましたが、栄養失調で眼球の水分まで失われていました。

 その4か月後の6月に健康優良児で生まれたジュリアの子犬2頭が目が開いてすぐの生後14日に呼吸に奇妙な音が混じり始めました
 その2日前だったか子犬の傍で霧吹きでEM菌をマットに吹きつけて、便の処理をしていました。その時までは、この胎にはEM菌は使用していませんでした。

 病院で診てもらい、酸素吸入なども行いましたが、 奇妙な呼吸に気付いた翌日には母乳を飲めなくなり、 呼吸困難でもがき苦しみ、母乳を飲めなくなってから7時間ほどで2頭とも死亡しました。

 この2胎8頭全滅の原因を獣医さんはなんらかの未知のウィルスのせいではないかと言いましたが、私は友人ブリーダーのアドバイスでEM菌を疑い、 犬舎中にビルコンを撒き、バーナーで土を焼いて消毒し、EM菌を全て排除しました。

 そして、 2頭のメスの次回の発情の際に、あえて全滅した2胎の時と同じ父母犬の組合せの交配を反復しました。原因不明のまま、子犬を死なせ続けることはできないので、あえて死亡覚悟の繁殖を行ったのです。

 父母犬を同じにしただけでなく、2007年2月生と6月生の2胎の胎児達が全滅したのと同じ部屋で、2007年11月生のリズの胎の新生児6頭と2007年12月生のジュリアの胎の新生児たち7頭の飼育を行いました。

 子犬たちの部屋の消毒はエタノールだけにしたのですが、リズの胎の子犬もジュリアの胎の子犬も1頭も死なず、元気に育ちました。その時に生まれた子犬で犬舎に残したのがラプターです。今、5歳ですが、1度も患ったことがありません。

 この死亡覚悟の実験的繁殖の事を、獣医さんに報告しましたが、医療の素人である私の言い分を本気にしていないのでしょう、 まだ奥様はEM菌を御自宅の方で使用しています。

 健康な成犬には大丈夫なのかもしれませんが、EM菌のサイトで、推奨していたように、ペットや家畜に使用した場合、実際には、抵抗力のない子犬で死亡例は多かったのではないかと想像しています。誰もその因果関係に気づいていないだけなのではないかと思います。

 怖いのは当犬舎のある愛媛県では抵抗力の無い寝たきり老人の施設でも使われていることです。EM菌による2胎8頭の新生児死亡のこともあって、私は 「健康に良い」とか「安全」という謳い文句は、鵜呑みにしないようにしています。

 2007年当時はEM菌の危険性について具体例が書かれているサイトはほとんど見つからかったのですが、 今は、ベーチェット病の人が飲用して危篤のような状態になったとか、膠原病の人が医師に大丈夫と言われて飲用して大変なことになったと書かれた掲示板やブログも存在します。

 福島原発の除染の為にEM菌を自分だけでなく抵抗力の弱い子供に飲用させるなどという空恐ろしいことを行っている人たちもいるそうなので、長らく放置し忘れていたYahooのパスワードを再発行してもらって、Yahoo知恵袋に、この記事を書きました。この記事が、1人でも多くの人の目に触れて、 恐ろしいEM菌を使用する人が減ってくれるよう願っています。(引用以上)
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*通称EM菌は、(株)EM研究機構の登録商標「EM」の微生物群のこと。

株式会社(発行した株式で資金調達を行い、その資金で得られた利益を株主に還元する会社)のEM研究機構は株主比嘉照夫氏。社長はその子息の比嘉新氏。

EMは乳酸菌、酵母光合成細菌など5科10属80余種の微生物をタンク培養した液状のもの。

ただしEM研究機構はその組成のゲノム分析結果を公表していない。私費で分析依頼しての結果だと光合成細菌が含まれていない、雑菌が含まれているなどが複数ある。本ブログでもその分析結果の一例を掲載。またEM製品の中には黒いカビのようなものが見いだされて販売中止になったものがある。

デンマークで見学した中学理科の授業「石油のクラッキング」の話

 私は、デンマークに行ったとき、中学校で理科授業を見たことがあります。非常に印象的な経験でした。

 デンマークでは、中学校一年、二年、三年がありますが、希望者には四年というのもあります。これは自分が希望して中学の勉強が足りないと思うと四年目の一年を過ごした後で、その先に行くというための四年があります。ほとんどの人は四年にならず先に進みますが、四年に行く人もいるわけです。私が見学したときは女子四人ぐらいのクラスで、授業の内容は「石油のクラッキング」でした。

 私は化学の知識があるので、先生が黒板に書かれた化学式でAl2O3を見て、一緒に見学に来ていた在住の日本人に「これは活性アルミナ触媒と言って化学反応を速めるものだ」と説明をしました。授業は、デンマーク語だったので、私の想像になりますが、私たちの光景を見た先生が生徒に、「この元素記号や式は、世界共通だから、見学している日本人にも理解できるんだよ」と説明していたと思います。

 そのクラッキングの授業ですが、プリントに炭素原子の「C」が横に並んで書かれ、そこに枝があって水素原子「H」がついている。おそらく、原油の中の炭素の数が多いものを代表して表している。触媒を使って熱することで、並んでいる炭素を切断し、炭素数が小さいものにするというのがクラッキングです。そうすると使いやすいものがいっぱいできるわけです。今でもどの国でも原油クラッキングを行っていると思います。クラッキングの方法にはいくつかありますが、一番多く行われているのが接触分解法という触媒を使った方法です。

 先生が学生に手渡したプリントに書いてあることを少し説明すると、すぐに「じゃあ実験をやろう」と、きっとデンマーク語で言ったんだと思います。授業は、理科室でやってたんで、彼女たちの机の棚の下のところを開けると、いろいろ道具が、ガラス器具の道具とかが入ってて、それを机の上にあげました。それが蒸留装置なんです。

 枝が付いたフラスコとかに冷却管をつけて、集めるための蒸発皿をおいていました。フラスコには、パラフィンとアルミナ触媒を入れて、フラスコの枝のところにゴム栓に通した温度計の球がくるようにして栓をしました。フラスコを熱してやるとゴボゴボと沸騰してくるんです。冷却管で冷やされた気体が、液体になって流れ落ちる温度を確認しながら、蒸発皿に温度範囲で一つ一つ取り分けていきます。四つくらいとったものに火をつけると、最初に取ったものは煤の少ない、輝く炎で、次第に煤が多い炎になっていく。これは初め出たものは沸点が低い、炭素数が少ないもので、分子全体の中で炭素の割合が少ないから煤が少ない。そして炭素の数が多くなってくると煤が多くなってくる。その燃え方の炎を見てわかるという実験をやってました。

 その学校は、デンマークのずっとコペンハーゲンから離れた学校でしたが、途中には海上風力発電があり、 農地にも風力発電所があり、風力発電を盛んにやっている国です。そして、油田も開発され、その油田から取った原油を大切に使うとなると、クラッキングを中学生に教えてるわけです。学んでいる内容は高度なものでした。

 エネルギーの問題は、自分たちの文明を支えてる根幹になります。それを「中学校で実験も含めて理科の時間に教えていることはすごいな」と思った経験談でした。 

ドリンク剤、にんにく注射で元気になる? by左巻健男『病気になるサプリ 危険な健康食品 』(幻冬舎新書)

【ドリンク剤、にんにく注射で元気になる?】
by左巻健男『病気になるサプリ 危険な健康食品 』(幻冬舎新書)
※こういうもので一時的に元気になった錯覚になり、益々疲労を蓄積という悪循環が怖い。
 ドリンク剤には3種類あります。「医薬品」「医薬部外品」「清涼飲料水」です。
 医薬品とは、文字通り、病院で医師が処方してくれる薬や、薬局・薬店で市販されている風邪薬や頭痛薬などのことです。配合されている有効成分の効果が認められており、病気の治療や予防に使われる薬を指します。
 医薬部外品は、1999年の4月より、従来医薬品であったもののうち、成分や効能・効果が適合するものが部外品へと移行しました。これにより、コンビニやスーパー等での販売が自由になりました。効能・効果や用法・用量は医薬品と同じです。動物性の生薬は使用できないなど、配合できる成分・量に医薬品より制限があります。
 清涼飲料水は、食品の一種です。効能・効果や用法・用量は表現できません。ただし、栄養機能食品として認可されれば、ビタミン、ミネラル類についての効果を表現することは可能です。
 医薬品、医薬部外品であるドリンク剤は、薬事法の規制を受けます。清涼飲料であるドリンク剤は、通常の食品と同じで食品衛生法の規制を受けます。
 しかし、実際のところ、ドリンク剤は効くのでしょうか。元気がでるかもしれないと、効能をにおわせる含有成分は、医薬品や医薬部外品ではビタミン類や生薬エキスなどであり、清涼飲料であるドリンク剤ではビタミン類や必須アミノ酸類などです。
 医薬品と清涼飲料の両方のドリンク剤に共通するビタミン類についていえば、厚生労働省が毎年おこなっている国民栄養調査では、日本人の栄養素摂取は、平均的にはカルシウムをのぞいて不足の状態にはありません。補給を必要とするのは食生活が乱れた人ということになりますが、食生活を乱れたままにして、ドリンク剤に頼るというのは、根本的におかしいでしょう。
 生薬エキスとして含まれるジオウ(地黄)、クコシ(杓紀子)、ケイヒ(桂皮)、トウキ(当帰)などは、ネズミを用いた動物試験の結果などがいくらかあっても、ヒトでの効能は明確ではありません。このような生薬エキスを必要とするほどの疲労困億の状態なら、病院へ行くべきでしょう。また、飲みすぎれば過剰症があらわれる成分も含有されています。
 ドリンク剤を飲むと疲れが一時的に消えたような錯覚に陥るのは含まれている成分の糖質、エタノール、カフェインによるものです。エタノールを二%程度含のでいるものが多く、用量を守らず飲んでいると酔っばらうこともあります。
 いわゆるにんにく注射というのがあります。疲労回復に効くといいます。にんにく注射を行っている医院によって成分は違うようですが、だいたいビタミンB1を中心にビタミンB6、B12、カフェイン、ブドウ糖などのようです。他にビタミンCを入れたりします。ビタミンB1は、打った後、しばらく本人ににんにくを食べたときのような臭いがするのでにんにく注射といいますが、にんにくの有効成分が入っているわけではありません。
 水溶性のビタミンなので過剰症の心配は少なそうですが、カフェインやブドウ糖で効いているように感じるのでしょう。カフェインが交感神経を刺激し、糖質が血糖値を上げることで元気になった錯覚を起こします。そんな錯覚を続けていると、疲労はかえってひどくなるでしょう。
 中心のビタミンB1ですが、ふつうの人は欠乏の状態にありません。しかし、精製された食品や糖質の多い食品、アルコールなどの摂取が多い人では、不足しがちなビタミンといわれていますから、生活が乱れて欠乏状態の人がいるかもしれません。
 経口摂取では安全性が高そうですが、注射では、熱感、ちくちくした感じ、かゆみ、痛み、じんましん、衰弱、吐き気、落ち着きのなさ、喉の詰まり感、血管性水腫、呼吸困難、チアノーゼ、肺水腫、胃腸の出血、一時的な血管拡張と低血圧、血管破裂、死亡などを引きおこす可能性があります。筋肉内注射をした部位で、圧痛や硬化が起こる可能性があります 。また、非経口投与は、低リスクのアナフィラキシーをおこす可能性があります。

2022年の左巻健男の本は計18冊!

【2022年 左巻健男の本】計18冊!

1.『カルト・オカルト 忍びよるトンデモの正体』
左巻 健男/鈴木 エイト/藤倉 善郎【編】
あけび書房(2022/12発売)

2.『地球のふしぎ366 - 1日1ページで小学生から頭がよくなる!』
左巻 健男【編著】
きずな出版(2022/12発売)

3.『科学オモテウラ大事典』
左巻 健男【編著】
東洋館出版社(2022/12発売)

4.『科学の超きほん』
左巻 健男【監修】
朝日新聞出版(2022/11発売)

5.『面白くて眠れなくなる元素』PHP文庫 (新版)
左巻 健男【著】
PHP研究所(2022/10発売)

6.『地球のひみつクイズ図鑑 - マインクラフトで教養が身につく!』
左巻 健男【監修】/マイクラ職人組合【著】
宝島社(2022/09発売)

7.『科学って何のためにあるの? - 科学の基本的な5つの分野がわかる図鑑』
DK社【編】/左巻 健男【監訳】/上原 昌子【訳】
東京書籍(2022/08発売)

8.『動物のふしぎ366 - 1日1ページで小学生から頭がよくなる!』
左巻 健男【編著】
きずな出版(2022/08発売)

9.『面白くて眠れなくなるウンチ学』
左巻 健男【著】
PHPエディターズ・グループ(2022/08発売)

10.宇宙のふしぎ366 - 1日1ページで小学生から頭がよくなる!
左巻 健男【編著】
きずな出版(2022/08発売)

11.『陰謀論ニセ科学-あなたもだまされているー 』ワニブックスPLUS新書
左巻 健男【著】
ワニブックス(2022/04発売)ワニブックスPLUS新書

12.『世界が驚く日本のすごい科学と技術 - 日本人なら知っておきたい』
左巻 健男【編著】
笠間書院(2022/04発売)

13.『こんなに変わった理科教科書』
左巻 健男【著】
筑摩書房(2022/04発売)ちくま新書

14.『怖くて眠れなくなる元素』
左巻 健男【著】
PHPエディターズ・グループ(2022/03発売)

15~17.『おしえて!科学セット』
アンナ・クレイボーン/左巻健男
化学同人(2022/02発売)(全3冊セット)

18.『図説カンブリアンモンスター図鑑 - カンブリア爆発の不思議
  な生き物たち (第2版)』
千崎 達也【文・絵】/左巻 健男【監修】
秀和システム(2022/02発売)

左巻健男『一度読んだら絶対忘れない化学の教科書』(SBクリエィティブ)の【訂正】

今年初め(2023年1月3日)に出た、左巻健男『一度読んだら絶対忘れない化学の教科書』(SBクリエィティブ)3刷の実物が来た。

*高校化学レベルを学び直すときの基本的な見方考え方を示したいと思った。
  高校化学教員18年+大学で基礎化学の講義経験をもとに執筆!
 ぜひ書店で原物を見て欲しい。


Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/4815617473/ref=nosim?tag=book27sci-22

 

※いくつか【訂正】がある。
2刷で
*87p下から5行目1974→1774
3刷で
*21p 周期表 2族の7周期 Re→Ra に。
*128p 水のように密度が固体>液体→水のように密度が固体<液体 

 

理科たんカフェ「大人の科学実験:燃焼実験を極める」 2月25日(土)16:00~17:40 ナリカ(御徒町)

理科たんカフェ「大人の科学実験:燃焼実験を極める」
2月25日(土)16:00~17:40 ナリカ(御徒町
講師:左巻健男(RikaTan編集長)

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※こちらからお申し込みください。
https://peatix.com/event/3474590
リアル参加、オンライン参加、懇親会共に、申込みできるようになっています。

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・簡単に炎色反応
・硫黄の燃焼(青い炎)
・炭素の燃焼
・スチールウールの燃焼
・水でナトリウムが燃えだす
・物質の燃焼と酸素の消費
・紙コップでアルコール爆発
・ダイヤモンドの燃焼
 など。
*水素の燃焼・爆発は今回はふくめないで別途考えたい。
左巻健男が中高理科・化学でやっていた実験から。
 直接参加 1500円 オンライン 1000円
 有志は18:00から軽く飲食の会
 *共にPeatix(ピーティックス)を使いたいと思います。
 申し込み者には後ほどアーカイブ配信を期間限定で行います。 当日リアルの時間帯に参加できなくてもそれで見られます。

理科たんカフェ 「大人の科学実験:ドライアイス実験を極める 」 12月10日(土) 16時~18時 | オンライン | 講師:左巻健男(RikaTan編集長)

理科たんカフェ 「大人の科学実験:ドライアイス実験を極める 」
12月10日(土) 16時~18時 | オンライン |
講師:左巻健男(RikaTan編集長)
 直接参加は締切。
オンライン参加¥1000です。
「PEATIXにログインの上お申し込みをお願いします」
今、そのための準備物を考えていました。
以下の準備物でどんな実験かイメージできる人もいると思います。
*12月10日(土) ドライアイス
4人1組 5班
以下のように
ドライアイス5kgを1kgずつ5枚に切断してもらう
ドライアイス5kgを2枚に切断してもらう
☆ぞうきん各班1枚…計5枚…ドライアイスの下に引く
☆各自に手袋(軍手)
☆木槌or金槌 計5本 ドライアイスを砕く
ジップロックL 7,8枚(左巻健男持参)
*ビニルチューブ(左巻健男持参)
☆ペンチ5つ(ビニルチューブを挟む) 万力があれば1つ(なくてもよい)
☆水槽(空いた大きめの物)(中にドライアイスを入れて二酸化炭素雰囲気にしてシャボン玉を吹く)水槽がなければアクリル板などで角形か丸形筒形のある程度の高さのものをつくってもよい 丸形筒形なら直径5,60cm程度☆スタンド1台 試験官を挟めるものをつける
☆太めの試験管1本 スタンドに取り付ける
*ブタンのボンベ1本(カセットコンロ用orガスライター補充用)(左巻健男持参)
マグネシウムリボン10cm程度を数本
☆100ccビーカー1
☆実験用ミニコンロ1
☆試験管1
沸騰石少々
☆試験管1に合うゴム栓1 穴を開けてガラスL字管を差し込む L字管は5,6cmあたりで90度に3cmほど L字管の先にゴム管30cm程度+ガラス管5cm
ドライアイスマグネシウムの反応演示用…集気びん1
ドライアイスマグネシウムの反応演示用…実験机の上に引く板(実験机を保護) 板の上でドライアイスマグネシウムを反応
ドライアイスにくぼみをつけるための道具ノミ(ナイフでもいいかな)
マグネシウム粉 (ドライアイスのくぼみに入れる量) くぼみは直径7.8cmかな。円錐形に深さ数cm
ドライアイスマグネシウムの反応演示を囲む囲い(左巻健男持参 天ぷらガード用のアルミのものを考えている)

左巻健男『面白くて眠れなくなる理科』(PHP文庫版)「文庫版あとがき」-第6刷になった!

左巻健男『面白くて眠れなくなる理科』(PHP文庫版)

文庫版あとがき

 本書は、小学校理科で学ぶようなテーマを、もう少し高いレベルでやさしく面白く展開できないか、という気持ちで執筆しました。
 小学生は理科が大好きです。それなのに、小学校の先生方や保護者の方々は理科苦手かもしれません。子どもの理科離れではなく、大人の理科離れ…。その背景には、知的好奇心あふれる子どもたちの質問に自信をもって答えられないということがあるかもしれません。

 ぼくは、時々小学校によばれて小学生に理科授業をしています。先日も45分授業を2時間連続で「ドライアイスで遊ぼう!」という授業をしてきました。
 1925年、アメリカのニューヨークのドライアイス・コーポレーションという会社が、ドライアイスの大量生産を始めました。日本では、その3年後に、ドライアイスをつくる機械を導入し、つくり始めました。二酸化炭素ガスを冷やして固めたドライアイスの温度は、マイナス79℃という低温です。下手に素手で触っていると凍傷になり、皮膚が壊死を起こし始めます。そうすると、未だ健全なところを守るために患部を切断しないといけなくなるなどを具体的にイメージゆたかに話をします。
「これからドライアイスの実験をするけど、凍傷に注意だよ。」といいながら、各班にドライアイスのブロックを配布して、まず最初にすることはドライアイスの観察。子どもたちは恐る恐るながめています。
「では、一人ひとりに素手で手のひらにドライアイスを押しつけてみよう!」というと、悲鳴があがります。模範を示すと子どもたちがやり始めます。
 ドライアイスのブロックにステンレス製のスプーンを置いたり、10円玉を垂直に押し込んだりしたときの動き、音を楽しみます。そうなる理由は熱の移動やドライアイスの昇華によるものだということを、説明したり皆で考えたりします。
 砕いたドライアイスをファスナー付きポリ袋に入れて密閉し、机の上を移動させては机の面で温めます。ぱんぱんにふくらんだ袋が音を立てて破裂します。大きな体積変化を実感します。
 こんな実験をしながら、低温の世界や状態変化を学んでいきます。
 きっと、学ぶということは、それまでに知らなかった新しい世界を知ることなのです。学んだからこそ疑問が生じるのです。それらの疑問にいつもちゃんと答えられなくても、一緒に考えてみるという姿勢だけでもいいのです。よい疑問を持ち続けているだけでも素晴らしいのです。どこかでその疑問の答が見つかることもあります。答が見つからなくても、あるいは疑問を忘れてしまっても、疑問をもつ習慣は絶対に人生に役立つと思うのです。

 ぼくのメインの専門は、小学校・中学校・高等学校の理科教育ですが、学校の理科で、「学んでよかった」「目からウロコが落ちることを学べた」「よい疑問を持ち続けることができた」という実感を持つ人はどの程度いるでしょうか。ぼくはそんな理科教育になるといいなと思いながら、研究してきたつもりです。
 学校を英語でschoolといいますがもともとはどんな意味だったのでしょうか。実はスコレ(σχολη)というギリシャ語が語源です。ギリシャ語のスコレは、「余暇,余った時間」という意味です。
 古代ギリシャでは,貴族階級の者は奴隷に労働させていましたから,彼らにはたっぷりと時間がありました。生活の中で身のまわりや夜空の星などに不思議な現象があると、誰かにそれを伝えようとしました。そうすると、その話をもとに議論が始まります。貴族階級の者にとって楽しい知的な時間が共有できたのです。この余裕の時間こそがスコレだったのです。スコレはやがて,このような会話をする場所、つまり学校のことを表す意味にもなりました。
 本書のテーマを小学校理科から選んだとき、本書のような内容も小学校の理科授業で学ぶといいのにという願いを込めたつもりです。

 2016年7月    左巻健男
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面白くて眠れなくなる理科 (PHP文庫)   左巻 健男 https://www.amazon.co.jp/.../ref=cm_sw_r_tw_dp... @amazonJPより

*第6刷が送られてきた。
題材を主に小学理科からとったが、それぞれの小話は軽く読めて面白いと思う。
とくに小学生や小学校教員に読んで貰いたいな。

RikaTan委員の追加募集(若干名)2022/10/12締切

 RikaTan委員は、RikaTanallというMLで情報交流・意見交換などをしています。
 もともと『RikaTan(理科の探検)』誌の刊行の応援の委員でしたが、今は雑誌を休刊にした(惜しまれながらも事情で売れているうちに休刊に)ので、次のことをしています。

*「理科たんカフェ」などのイベントの開催
 10月22日(土)に御徒町末広町駅近くの会場で藤倉善郎(ほぼ日刊カルト新聞)が講師で「カルトと政治」のイベントを行います。(RikaTan委員の参加、オンラインもあり)
*委員有志による共同執筆で本を刊行
 最近(2021~)の実績は、
 ・1日1ページで小学生から頭がよくなる! 宇宙のふしぎ366 (きずな出版) 2022/07/21
 ・1日1ページで小学生から頭がよくなる! 動物のふしぎ366 (きずな出版) 2022/07/08
 ・世界が驚く日本のすごい科学と技術 2022/05/31
 ・図解 身近にあふれる「自然災害」が3時間でわかる本 2021/09/28
 ・図解 身近にあふれる「感染症」が3時間でわかる本 2021/08/18
 ・1日1ページで小学生から頭がよくなる! 科学のふしぎ366 (きずな出版) 2021/04/26
 現在進行中は、科学のオモテウラ事典、地球のふしぎ366、ヘアケアの科学。
 近いうちに、身近な危険の科学が始まります。

 

※委員一覧 

www.rikatan.com※MLはゆるゆると進行中ですが、もしRikaTan委員になりたいという人がいましたら、応募して下さい。

 応募者は以下を samakikaku@rika.org へ、件名を RikaTan委員応募 として、10月12日(水)までにメールをお願いします。

※応募のメール内容
 
 ふりがな:
 名前:
 登録メールアドレス:
 〒:
 住所:
 連絡可能電話:
 所属・肩書き(委員一覧に掲載):

 

ペンネーム希望者はその旨お書き下さい。MLおよび表に出すのはペンネームにします。その場合は公開してもよい所属・肩書きもお書き下さい。
※個人情報はSAMA企画にて厳格に保存し、RikaTan委員関係にしか使いません。

左巻健男:名古屋で講座「みんなをつくる元素の話」1回目10月13日・2回目11月10日・3回目12月8日(第2木曜 13:00~14:30)

左巻健男:名古屋でカルチャーセンターの講師10月13日~】
栄中日文化センター(名古屋)で「みんなをつくる元素の話」講座の講師。
*教室で受講する以外にもオンラインでの受講も可能。
*1回目10月13日・2回目11月10日・3回目12月8日(第2木曜 13:00~14:30)
 
 

マンションの管理組合等営業をかけられているところは観よう→「NMRパイプテクターの分解 https://www.youtube.com/watch?v=LxB6I1p-JJ8」

NMRパイプテクターの分解
https://www.youtube.com/watch?v=LxB6I1p-JJ8
by水商売ウォッチングYouTube出張版

 

日本システム企画株式会社のNMRパイプテクターの中身が非常にお粗末で、数千円レベルのものとわかる。

 

*これもわかりやすい。

ゆっくり解説「NMRパイプテクターを分解してみた」
https://www.youtube.com/watch?v=HEkh9PYTX_U

 

こういうものの製造販売に科学的に検討を加えた論説を『RikaTan(理科の探検)』誌に載せたら、以下が来たことを思いだした。

NMRパイプテクターの会社(日本システム企画株式会社)熊野社長からSAMA企画へ文書
 - 左巻健男&理科の探検’s blog 
https://samakita.hatenablog.com/entry/2021/11/27/123302

 

*近著でも取り上げた。

左巻健男陰謀論ニセ科学 - あなたもだまされている -』(ワニブックスPLUS新書 2022)
https://www.amazon.co.jp/%E9%99%B0%E8%AC%80%E8%AB%96%E3%81%A8%E3%83%8B%E3%82%BB%E7%A7%91%E5%AD%A6-%E3%81%82%E3%81%AA%E3%81%9F%E3%82%82%E3%81%A0%E3%81%BE%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B-%E3%83%AF%E3%83%8B%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9PLUS%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%B7%A6%E5%B7%BB-%E5%81%A5%E7%94%B7/dp/4847066731

【はじめに】と【おわりに】:左巻健男『世界が驚く日本のすごい科学と技術: 日本人なら知っておきたい』(笠間書院)

左巻健男『世界が驚く日本のすごい科学と技術: 日本人なら知っておきたい』(笠間書院 2020年4月)

アマゾン

https://www.amazon.co.jp/dp/4305709600/ref=cm_sw_r_tw_dp_D3624XK49RSPJK09WY2B

【はじめに】

 本書は、日本で発明された技術を歴史的に位置づけてみようと、左巻健男(『RikaTan(理科の探検)』誌編集長)+RikaTan委員有志」の共同で取り組んだものです。

 本書を書こうと思ったのは、わが国の科学技術創造立国の基盤が弱くなりつつあるのではないかという危機感からです。
 わが国の科学技術史の過去・現在の「光」を知ることは、現在・未来を担う人々を応援することになるのではと思いました。

 科学技術創造立国の基盤を強めるには、まず国民全体の科学リテラシーを上げ、科学技術の応援団になってもらうことです。それは、科学技術にかかわる職業に就かない人も、文学や音楽などと同様、科学技術を文化として楽しむような社会になることです。そのためには小学校・中学校・高等学校の理科教育の質を上げることが必要でしょう。

 わが国のメーカーの国際的な凋落も気になります。

 もうだいぶ前のことになりますが(二〇〇五年)、私は、思い立って東京・日本橋を出発点に京都・三条大橋に向けて旧東海道を歩き始めました。計一六日間の日程でした。
 一三日目、一四日目は三重県亀山あたりを歩きました。シャープ亀山工場の前を通ったとき、「ここが世界的な『液晶のシャープ』の高画質・高品質の『亀山ブランド』液晶テレビの工場なんだ」という感慨をもちました。
 液晶は一八八八年にオーストリアで発見され、その材料が米国に渡って一九六八年にRCA(アメリカ・ラジオ会社)の研究所が液晶ディスプレイを発明しました。液晶ディスプレイを実際に電卓に用い商品を市場に投入したのはシャープであり、以降、液晶テレビの事業化、産業化を先導したのは日本のメーカーでした。一九九〇年代後期に韓国や台湾が参入すると、数年のうちに日本は生産量で追い抜かれてしまい、シャープは、二〇一六年、台湾の鴻海精密工業傘下の企業となってしまいました。
 光触媒の項の導入で紹介したように、藤嶋昭の研究グループが中国の大学に移動してしまったのも、わが国の研究状況について示唆的です。

 それでも、私は、生まれてから現在まで(一九四九年~)の生活を振り返ると、すさまじい技術革新の恩恵を受けてきたことを実感します。
 それは、私にとっては、創立一一〇周年を記念して発明協会が二〇一四年に選定した「戦後日本のイノベーション一〇〇選」と重なります(http://koueki.jiii.or.jp/innovation100/innovation.php)。
 何せ、栃木県小山市の貧しい家の生まれで、小学生時代は竈(ルビ かまど)でご飯を炊くのは私の仕事でした。楽しみは真空管ラジオで連続ドラマを聞くことでした。ところが、とくに一九五〇年代後半、白黒テレビ、電気洗濯機、電気冷蔵庫の家電三製品が「三種の神器」と言われ、家での労働は非常に楽になり、楽しみが増えました。さらに現在は、ずっと便利で豊かになりましたが、支える技術群にはたくさん日本発のものがあります。

 人類の歴史はおよそ七〇〇万年前に登場した初期猿人まで遡れます。木の上での生活を捨て、地上を二本足で歩くようになり、人の体に重要な変化が起こりました。手足がはっきり分かれ、手は歩くことから完全に解放され、いっそう器用になっていき、道具をつくり出すようになりました。木材や石を材料にした道具づくりは今から約一八〇万年に始まったと考えられています。性能のよい脳、集合知を可能にした言葉、道具づくり、火の使用と技術は、人間の諸能力を拡大していきました。
 日本列島に人がやってきたのは、ウルム氷期(第四紀の氷河時代の最後の氷期。ほぼ七万年~一万年前)の時代のおよそ四万年前から三万八千年前のことと考えられています。その時代は旧石器時代と呼ばれています。
 本書は、旧石器時代の次、日本列島に暮らす人が独自の技術と文化をもっていた可能性のある縄文時代のヒスイ孔開け技術からテーマを設定しました。

 各テーマは、技術やシステムの発明と関わる人物を中心にして歴史のなかに位置づけ、いわば日本の科学技術史の「光と陰」の「光」を浮かび上がるようにと考えました。

 本書は、どこを読んでもタメになる、おもしろい解説になるように努力しました。
 ぜひお楽しみください。

           編著者 左巻 健男 

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【おわりに】

 本書は、私の『絶対面白い化学入門 世界史は化学でできている』(ダイヤモンド社 二〇二一)を読まれた笠間書院の編集者山口晶広さんから、日本の科学技術と文化にスポットを当てた本の執筆依頼を貰ったことから始まりました。
 企画書は、次のように趣旨が述べられていました。
漆器から奈良の大仏、LEDまで、日本が世界に誇る文化や技術、発明、日本初の科学技術などを、古代から現代の流れに沿って紹介。日本の科学技術の発展を知ることができるとともに、日本の科学技術力がここ三〇年で大きく衰退している今だからこそ、日本の凄い文化と技術を再考し、将来を担う子どもたちの指針になるような企画です。」

 私は、『中学生にもわかる化学史』(ちくま新書 二〇一九)と『世界史は化学でできている』とを執筆した経験から、物事を歴史的に捉えるということに興味・関心をもっていたところでした。
 そのとき単著を三冊同時並行的に執筆しているときでした。
 そこで、共同執筆をいつも一緒に進めている『RikaTan(理科の探検)』誌委員たちに相談。有志で執筆することにしました。執筆者だけではなく内容や表現へと意見をしてくれる検討委員を募集し、ML(メーリングリスト)を設置して進めることにしました。ML設置の二〇二一年九月三〇日から初校ゲラチェック中の二月初めまででその投稿数は二五〇近くになっています。
 その経過を少し紹介しておきましょう。
 ML上で原稿のやり取りを始めたのは九月になってからでした。
 集団執筆でもっとも大変なのは執筆者ごとに本の趣旨・想定読者の捉え方や筆力が異なることです。まず私の分担原稿を出していきました。執筆者が全体の統一イメージを得るためです。
 その後各執筆者の原稿に対していろいろコメントがついていき、テーマによっては何度も書き直しされました。こうして本が完成に近づいていったのです。

「はじめに」に述べたように、本書は日本の科学技術史の「光」に焦点を当てていますが、実際のわが国の科学技術史には、「陰」の部分も存在します。
 わが国が幕末から明治にかけて、蘭学から始まって西洋の科学技術を大いに取り入れることを「和魂洋才」と呼びました。もともとは平安中期に生まれた「和魂漢才」で、中国渡来の正確鋭利な知識(漢才)も大切だが、日本社会の常識に通じ臨機の処置をとれる人柄(和魂)もまた大切という意味でした。
 しかし、鎌倉後期に蒙古襲来から和魂に「日本神国思想」が与えられ、さらに幕末から明治の「和魂洋才」は和魂を「やまとだましい」と読み、国のため生命を惜しまぬ直情な日本独得の精神とされました(「和魂漢才・和魂洋才」『日本大百科全書小学館)。
 西洋から導入した技術は主に軍事工業にかかわる技術でした。製鉄の反射炉、造兵、造船などの洋式軍事工業がわが国に移植されました。
 また、日本の科学技術史として、最近の左巻健男の著作の『怖くて眠れなくなる元素』(PHP)で取り上げたような、森永ヒ素ミルク中毒事件、水俣病イタイイタイ病四日市ぜんそくなどについても忘れてはならないと思っています。
 その中にはまだ終わっていないと思われる問題もあります。

 それでも本書で展開したような、わが国の科学技術史の光が、現在・未来をも照らしてくれることを願っています。

 最後になりますが、MLにも参加して、本書の完成に向かって適宜編集上の的確なアドバイスをいただいた編集者の山口晶広さんに感謝いたします。
 
   二〇二二年四月 左巻 健男