「EM・X GOLD」は効果があると言えるか?という裁判の話(長文):清涼飲料水「EM・X GOLD」を巡るEM研究機構vs中日新聞社の裁判
左巻健男が津市で行った講演を「『怪しい科学』は身近にたくさん」という見出しで中日新聞が記事にした。
その記事について(株)EM研究機構及び代表取締役社長比嘉新氏は、2018年12月に、中日新聞社を名誉毀損で提訴。
記事中には「水質を浄化する効果などを持つとされる「EM菌(有用微生物群)」も科学的に説明できない「ニセ科学」だとし「信者を増やして、その菌が入った飲料水を高額で買わされるだけ」と注意を促した。」があった。
「記事によって名誉を毀損されたので165万円と遅延損害金の支払」「新聞への謝罪広告の掲載」を求めました〔平成30年(ワ)第371号 損害賠償等請求事件〕。
2020年6月、那覇地裁沖縄支部は以下のような判決を下した。
「本件記事は、科学的な効果が検証されていない商品が流通している実情に関して警鐘を鳴らし、一般消費者に財産上の損害が生じないよう注意を促す趣旨の記事」
「①本件飲料水等の効果に科学的裏付けはなく、②原告又は原告の関連業者は、科学的裏付けのない効果を積極的に宣伝等して販売しているものと認められる」などとして、原告の訴えを却下。つまり、EM研究機構らは敗訴した。
EM研究機構らは、「本件飲料水には科学的裏付けがある」「査読論文として公開されている」などとして控訴しました。こうして裁判の場は福岡高裁那覇支部に移りました〔令和2年(ネ)第57号 損害賠償等請求控訴事件〕。
2021年4月22日、判決が言い渡され、EM研究機構敗訴。EM研究機構は上告しなかったので、ここに判決が確定された。中日新聞社完全勝利、つまりEM研究機構完全敗訴!
「少なくとも現時点では科学的に実証されていないものであることが認められ、『(EM研究機構らが)宣伝している本件飲料水の効用は科学的に実証されていないものであること』については真実であると認めることができる」
「『本件飲料水が一般的な清涼飲料水よりも高い値段で販売されていること』は真実であると認めることができる」
より詳しく以下に書いたので、その論説を紹介しておこう。( RikaTan【理科の探検】2022年 1月号 p132-137)
清涼飲料水「EM・X GOLD」を巡るEM研究機構vs中日新聞社の裁判
左巻 健男 SAMAKI Takeo
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~ 裁判の概要 ~
私の市民向けの講演「ニセ科学の見破り方」が「『怪しい科学』は身近にたくさん」という見出しで中日新聞の記事になった。その記事について(株)EM研究機構及び代表取締役社長比嘉新氏は、2018年12月に、中日新聞社を名誉毀損で提訴。
那覇地裁沖縄支部は、2020年6月に判決。「本件記事は、科学的な効果が検証されていない商品が流通している実情に関して警鐘を鳴らし、一般消費者に財産上の損害が生じないよう注意を促す趣旨の記事」として名誉毀損に当たらないとした。
EM研究機構らは高裁に控訴。控訴理由は、「本件飲料水(おもに清涼飲料水「EM・X GOLD」)には科学的裏付けがある」「査読論文として公開されている」など。裁判の場は福岡高裁那覇支部に移った。〔令和2年(ネ)第57号 損害賠償等請求控訴事件〕
このなかで、清涼飲料水「EM・X GOLD」に免役力アップなどの効果があることを示した査読論文の検討もされた。
2021年4月22日に判決。またもやEM研究機構敗訴だった。
EM研究機構は最高裁へ上告しなかったので判決が確定した。
判決は、「少なくとも現時点では科学的に実証されていないものであることが認められ、『(EM研究機構らが)宣伝している本件飲料水の効用は科学的に実証されていないものであること』については真実であると認めることができる」とした。
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●裁判の発端になった私の講演についての記事
2018年6月16日、私は、三重県津市の会場で三重県保険医協会(三重県の「医科・歯科の保険医の生活と権利を守るとともに、国民医療の充実と向上を図ること」を目的とした団体)から依頼されて講演しました。
その講演についての記事が、次の日(17日)の中日新聞に掲載されました(次ページ)。
短いが、講演の内容や様子がよく伝わってくる記事だと思います。
なお、この記事には記者の思い違いがあります。「その菌が入った飲料水」は、正しくは「菌の発酵生成物から抽出した成分が入った飲料水」です。生きた菌は含まれていません。
ただし、生きた菌が入ったもの(農業用の微生物土壌改良材EM1号などの活性液など)を飲んでいるEM信者もいます。私は、どんな菌が入り込んでいるかわからないので、衛生上、飲むことに反対です。
p133
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「怪しい科学」は身近にたくさん
津で左巻教授講演
左巻健男・法政大教授(69)の講演会「身近にあふれる怪しい科学、ニセ科学の見破り方」が17日、津市の津都ホテルであり、約百人が日常に溶け込んだ“ニセ科学”を学んだ。
県保険医協会が45回目の定期総会を記念し閧催した。左巻教授は、事業者の責任で食品の体への効果を表示できる機能性表示食品制度を挙げ「科学的に効果がちゃんと検証されていない商品が出回っている」と指摘。サプリメントの多くも効果は実証されていないとし、「実は体にとって毒かもしれない。普通の食事で栄養を取ったほうが良い」と話した。
水質を浄化する効果などを持つとされる「EM菌(有用微生物群)」も科学的に説明できない「ニセ科学」だとし「信者を増やして、その菌が入った飲料水を高額で買わされるだけ」と注意を促した。
津市の山口かつ子さん(72)は「サプリメントを飲んでいるからセンセイの話にはドキッとした。バランスの取れた食事で栄養を取るように変えていきたい」と話した。(渡辺雄紀)
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●EM・X GOLDは機能性表示食品でもない
2015年4月から新たに規定された機能性表示食品制度があります。これまで、何らかの効果をうたえたのは、国の審査が必要な「特定保健用食品(トクホ)」と国の規格基準に適合した「栄養機能食品」だけでした。
機能性表示食品は、国の定めるルールに基づき、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を、販売前に消費者庁長官に届け出ることで、機能性を表示することができます。国が安全性や効果を保証したものではないため、消費者の誤認や健康被害の発生を心配する声があります。
今のところ、清涼飲料水EM・X GOLDは、特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品のどれでもありません。そのため、医薬品と食品を厳しく区分し、食品で医薬品のような効能をうたうことを厳しく規制している薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)や商品やサービスの品質、内容、価格などを偽って表示を行うことを厳しく規制している景表法(不当景品類及び不当表示防止法 )などによって、効能をうたうことができません。
●EM・X(=萬寿のしずく)とEM・X GOLD
もともとEM菌の清涼飲料水は(有)熱帯資源植物研究所(現在は株式会社)が1994年から製造を開始したものでした。沖縄で伝統的に食べられている活力果実・青パパイヤと、玄米、コンブ、モズクと米ぬかをEMで発酵処理してから、EMは加熱殺菌し、EMが産生する物質を抽出・精製した液体です。
比嘉照夫氏は、EM・Xについて、万能性を主張していました。
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・抗酸化力が極めて強い
・ガンはもとよりエイズなど多くの難病・ガンはもとよりエイズなど多くの難病の劇的な治癒例が多数出てきている
・チェルノブイリ原発事故のとき、白血病、・チェルノブイリ原発事故のとき、白血病、甲状腺異常に著効が認められた
・工業用でも、自動車に使うと走行距離・工業用でも、自動車に使うと走行距離が大幅に延び、車がさびつかなくなり、が大幅に延び、車がさびつかなくなり、静電気が著しく少なくなり、汚れずピカピカピカになり、オイルの交換も不要で、排気ガスも極端にクリーンになる、電化製気ガスも極端にクリーンになる、電化製品に使うと、大幅な節電効果が期待でき、電磁波対策にも顕著な効果確認
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p134
など、あらゆる分野での応用が期待されているとしていました。
ところが2008年3月、熱帯資源植物研究所とのEM・Xの商標契約切れに伴い、このEM・Xは、EM・Xという名前では販売できなくなりました。現在は、同じ原料と製法で「萬寿のしずく」として販売されています。
EM研究機構は、EM・Xの商標を使って、EM・X GOLDの製造を開始。原料は、EM・Xと大きく異なり、糖蜜、酵母エキス、サンゴカルシウム、粗製海水塩化マグネシウムになりました。
比嘉氏は、EM・X GOLDは、オーリングテスト(Oリングテスト)や波動測定の結果からこれまでのEM・Xの5倍以上、加熱(80℃以上)すると10倍くらいの効果になると述べています(新・夢に生きる 第8回)。オーリングテスト(38ページ参照)や波動測定(40ページ参照)というニセ科学でしかEM・Xよりよいことをうたえていません。
●地裁でEM研究機構敗訴の判決
2018年12月にEM研究機構は中日新聞社を提訴。原告の(株)EM研究機構及び代表取締役比嘉新氏は「記事によって名誉を毀損されたので165万円と遅延損害金の支払」「新聞への謝罪広告の掲載」を求めたのです。〔平成30年(ワ)第371号 損害賠償等請求事件〕
なお、その訴状では、「左巻教授は、長年にわたりEMやEM関係者に対し誹謗中傷を続けている人物」と私への言及もされています。
那覇地裁沖縄支部は、2020年6月に判決。
「本件記事は、科学的な効果が検証されていない商品が流通している実情に関して警鐘を鳴らし、一般消費者に財産上の損害が生じないよう注意を促す趣旨の記事」「①本件飲料水等の効果に科学的裏付けはなく、②原告又は原告の関連業者は、科学的裏付けのない効果を積極的に宣伝等して販売しているものと認められる」
などとしてEM研究機構らは敗訴したのです
●EM研究機構らは控訴し、証拠に査読論文などを出したがEM研究機構敗訴の判決
EM研究機構らは、「本件飲料水には科学的裏付けがある」「査読論文として公開されている」などとして控訴しました。裁判の場は福岡高裁那覇支部に移りました。〔令和2年(ネ)第57号 損害賠償等請求控訴事件〕
2021年4月22日判決言渡。EM研究機構敗訴の判決でした。EM研究機構は上告はしなかったので判決が確定しました。
判決は、「少なくとも現時点では科学的に実証されていないものであることが認められ、『(EM研究機構らが)宣伝している本件飲料水の効用は科学的に実証されていないものであること』については真実であると認めることができる」「『本件飲料水が一般的な清涼飲料水よりも高い値段で販売されていること』は真実であると認めることができる」としました。
●EM側が控訴審に証拠として出してきた論文『診療と新薬』2015;52(10):1032-1038
タイトルの日本語訳:「有効微生物群培養抽出物(ECEM)を含む健康飲料『EM・X GOLD』による免疫機能の改善」です。
注1)次のURLから論文PDFをダウンロードできる。→
https://www.shinryo-to-shinyaku.com/db/pdf/sin_0052_10_1032.pdf
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目的:有効微生物群培養エキス(ECEM)を含む健康飲料、EM・X GOLDの摂取がヒト免疫機能に与える効果を調べること。
方法:試験参加者38名を2群(試験物質摂取群とプラセボ〔偽薬〕摂取群)に分け、12週間摂取後に免疫力や抗酸化力などを評価した。
①SIV(免役力スコア):7つの免疫パラメータを点数化して格付け。合わせてTリンパ球算出。
②SEIV(免役力アンケート)
③抗酸化力
結果:①で有効性確認:Tリンパ球年齢とCD8+ CD28+ T細胞数で有意な改善。プラセボ摂取群では有意に悪化、試験物プラセボ摂取群では有意に悪化、試験物質摂取群では維持。②③は差なし質摂取群では維持。②③は差なし
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●論文で抗酸化力や免役力の自己評価で差なし
私は、まず比嘉照夫氏が「EM・X GOLDはそれまでのEM・Xと比べて効能が5倍以上」と述べているのに、「抗酸化力に差が出ない(前述の論文③)」「免役力の自己評価であるSEIVでも差が出ない(同じく②)」という結果に注目します。
●論文の結果を都合よく解釈
SIV(免疫力スコア)はMedlineで検索した限りでは、海外の論文で使ったものは見当たりません。科学的根拠が不明なために、多くの研究者が使用していないからでしょう。
またこの試験結果を見ると、わずかな変化があるのは、NK細胞を除いて、すべてプラセボ群で、試験物質群に変化はありません(論文の表4)。それを試験物質が抑えたという都合のよい解釈をしているが、2群の振り分けの問題、プラセボが本当に無効無害だったのか、単なる偶然の結果ではないかなどの可能性があってもまったく議論していません。
SIEV(自己評価)と抗酸化力には2群の差がないことを「より長期間の摂取が必要、より詳細な試験が必要」と述べています。これは試験全体の信頼性が弱いことを認めていることを表していると考えられます。
●論文は利益相反関係で、信頼度が低い
論文はEM関係者が執筆者にいる利益相反(当事者の一方の利益が、他方の不利益になる行為のこと)関係にあります。客観的なものではないと捉えられます。
筆頭著者の所属JACTA(日本臨床試験協会)は、商品を売るために効果的なパッケージや広告を提案し、そのエビデンスを揃えることを目的に臨床試験の計画を立て、結果を出す臨床試験機関。食品業界などから仕事を引き受け、臨床試験を行い、論文にまとめたりすることを仕事にしている機関です。査読論文として雑誌掲載もします。多くの論文を『診療と新薬』に掲載。つまり、この論文は、EM研究機構からの仕事依頼の結果のようです。
●確定判決の内容のポイント
論文について、判決の内容を見てみましょう。
次は、判決が、この論文でEM・X GOLDの効用が科学的に実証されていない、とする理由です。
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・試験の結果、有意に改善は7つのうちの1つCD8+ CD28+ T細胞数とこれを規準に算出されるTリンパ球年齢であり、SIVの総合評価自体の点数やSEIVによる評価の比較では有意差は確認されていない。
・そもそもSIVが免疫機能の評価方法として適切なものといえるかは議論があり得る。SIVを前提にしてもCD8+ CD28+ T細胞数は、他の6つと同じ重みづけで考慮すべきなので免疫機能が高まっていることを根拠づけることはできない。
・試験の治験者が38名に留まることに加え、CD8+ CD28+ T細胞数の平均値が試験開始時に2群に相当な差が生じていることなどからすれば、試験結果の適正さを左右する治験者のランダム化が十分であったのかについても疑問が残る。
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p135
●論文が掲載された学術雑誌のインパクトファクターや論文の被引用件数
判決は、次のように述べて、結論として、「少なくとも現時点では科学的に実証されていないものであることが認められ」としました。
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・論文掲載雑誌はインパクトファクターないしオルタナティブインパクトファクターが算出されていないか、高いとはいえない雑誌である。
・共同執筆者以外の第三者による実質的な引用はされていない。
・第三者の査読を受けている点を考慮しても、他の研究者による検討や批判によって十分に検証されているとは言い難く、その実験結果の正確性や論文の内容の信頼性が十分に担保されているものと評価することもできない。
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●裁判によってEM研究機構のレベルが低いこととEM・X GOLDの効果に根拠がないことが判明
裁判所は科学の内容を判断する場ではありません。
今回は、EM側が「ちゃんと効果を示した査読論文がある」と出してきたことで、論文内容まで検討されました。それだけEM側は、この論文に自信があったのでしょう。
JACTAに依頼してつくった論文のレベルが、自分たちでは判断できなかったことで、EM研究機構のレベルも鮮明になってしまいました。
そして、「抗酸化力が高い」とうたっていたことが、この試験で否定されてしまっていました。
しかし、この結果があっても比嘉照夫氏はそれを言い続けています。
●「失うのはお金だけではない」"怪しい水商品"の3つの特徴
私は、千葉真一氏がワクチンを拒否したまま新型コロナウイルスに感染し亡くなったことを導入にした記事を執筆→プレジデントオンライン「 『失うのはお金だけではない』千葉真一さんもハマっていた"怪しい水商品"の3つの特徴 命にもかかわる"ニセ科学"の怖さ」
注2)https://president.jp/articles/-/49763
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水ビジネス商品には、アルカリイオン 水ビジネス商品には、アルカリイオン水、π(パイ)ウォーター、磁化水、電気石による水(創生水)、波動水、酸素水、水素水、シリカ水、宝石水、電子水、微生物の発酵生成物から成分を抽出した水などがあります。
次のような特徴があると考えています。
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・「水を飲む選択肢」以外に、十分な根拠のある効果効能をもったものがない
・中身のほとんど大部分は水道水や地下水なので、ほかの健康食品・サプリと比べるとずっと副作用が少ない (だから問題になりにくい)
・原価は非常に低いが販売価格を高額にしやすいしやすい
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清涼飲料水EM・X GOLDも、この3つの特徴がよくあてはまるのではないでしょうか。
私は、この記事を、次のようにまとめました。
「一番怖いのは、千葉真一さんのようにあるニセ科学にハマる人は、ほかのニセ科学にもハマりやすいということがいえることです。本当にきちんと多方面から考えなくてはいけない大きな病気になったときに、選択を間違えやすくなります。」
プロフィール さまき たけお
東京大学非常勤講師・元法政大学教授・『RikaTan(理科の探検)』誌 編集長・科学啓蒙文筆家。専門の理科教育&科学コミュニケーションの立場から科学啓蒙の一環としてニセ科学に警鐘を鳴らしている。
p136
『古事記』にでてくる「倭建命」(やまとたけるのみこと)はすごい!
『古事記』にでてくる「倭建命」(やまとたけるのみこと 『日本書紀』では主に「日本武尊」)はすごい!
大塚ひかり『愛とまぐはひの古事記』から次の2つを。
1.実兄(大碓命 おほうすのみこ)を虐殺
2.美少女に扮してクマソタケル(熊襲建)兄弟を殺害
その後、出雲の国でそこの権力者の出雲建と一緒に川で水浴びをし、相手に友と錯覚させる演技をし、打ち殺しているのもすごいが…。
【実兄(大碓命 おほうすのみこ)を虐殺】
倭建命は、少年時代の名は小碓命。
兄は父天皇(景行天皇)の妃になるはずの美人姉妹を犯し、父に別の女をあてがった。父はそれを知ってその女たちを相手にしなかった。兄は気がとがめたのか父の前に姿を見せなくなった。
天皇は弟に「朝夕の食事に参るようにお前がねぎらって教えさとすように」と言った。しかし5日たっても姿を見せない。
天皇が「まだ話をしていないのか?」と弟に聞くと、「もうねぎらってやりました」と答えた。
「朝、トイレに入るのを待ち伏せして、つかみ潰して、手足を引き抜いて、薦(こも)に包んで捨てました」
【美少女に扮してクマソタケル(熊襲建)兄弟を殺害】
そのため小碓命は父に恐れられ、九州のクマソタケル(熊襲建)兄弟の討伐を命じられる。
このとき彼は、少女のように髪を結い、叔母の着物を着て、完璧な美少女の姿で、新築祝いの宴に女たちの中に紛れ込んだ。
少女姿の小碓命を見て、クマソタケル兄弟は「これはすごい美少女だ」と絶賛。兄弟は小碓命をもてあそんだ。
兄弟がべろんべろんになったころ、隠し持っていた剣で、まず兄の胸を貫いた。弟がおののいて逃げると、背中をつかみ、剣を尻から刺し通した。
そのとき熊襲建に倭建御子(やまとたけるみこ)の名前を与えられる。
言い終わるや熟した瓜でも切るように、すぱっと切り殺した。
大塚ひかりは言う。「自分の性的魅力で、相手をたらしこんでおいて殺すという『女の力を兼ね備えた英雄』。甘く危険なホモの香りが漂っている」
↓
前に、大塚ひかり『本当はひどかった昔の日本: 古典文学で知るしたたかな日本人』がおもしろかったので、昨日は彼女の『愛とまぐはひの古事記』を読んだ。昨日は高木仁三郎の反原発本、藤井青銅『日本伝統の正体』なども読んだ。どちらも再読。再読を含めて1日に何冊か読んでいる。
『本当はひどかった昔の日本: は「育児放棄から人身売買、マタハラに介護地獄…現代の悲惨な話は、全部過去の日本に存在した!」という内容。
さて、『古事記』はおもしろい!
「昔の日本はよかった!」という話がよくあるので、伝統で立ち返る波は、日本がつくられた神話の書である『古事記』だよなあと時々見ている。
大塚ひかりは言う。「『古事記』は日本初の歴史記録文学だが、国が生まれる様子とか、百三十歳を超える天皇の没年とか、明らかに大ウソと分かる記述が満載だ。そうやって事実のふりをしてウソを語る歴史物語のほうが、ウソのふりして事実を語る『源氏物語』よりも、そのときの私の心身(注:不調が続いた)にはラクだった」
『愛とまぐはひの古事記』の「BOOK」データベース→「『愛とまぐはひの古事記』最古の記録文学『古事記』曰く。この国は「まぐはひ」によって生まれた。神人は感情を微塵もつつまず、激しく怒り、泣き叫び、哄笑する。生命の源である「性」がすべての中心にある。現代に疲れた人々が癒しを求めるならば、この「高貴な野獣」のような神と人の、エロスと糞尿譚に満ちた破天荒な物語に触れるとよい。不思議な清浄感、解放感とともに、生きる力が湧いてくる。」
2022年、左巻健男が出した本、これから出る本
左巻健男の国内おすすめ旅
子犬にEM菌(正確には住居用のEMW)を吹き付けた結果…の話>このノートからEM菌が関わっているかを考えたい。
*Yahoo!知恵袋提供の「知恵ノート」は2017年8月31日をもって終了しています。そこに公開されていたものをここに再録しておきます。
なお、原文は元のママですが強調を赤字や太字にしたのは左巻健男です。
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n134475 (今はありません)
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人間の介護施設でも使用しているEM菌ですが、私は、獣医さんの奥様に薦められ、当犬舎の運動場や建物の消臭や、コリー(ラフ)達の毛の手入れの為に2006年から2007年頃に頻繁に使っていました。
ところが、2007年の2月に生まれた子犬6頭の母犬のリズの乳首にEM菌のサイトで薦めているような方法でEM菌(正確には住居用のEMW)を手入れの為に 吹き付けていたのですが、それを舐めた新生児は 消化器官がやられて6頭が次々に死亡、病院での治療は全く効かず、白い便を出し、全く栄養が吸収できず、最後の子犬は生後15日過ぎまで苦しみながら生き伸びましたが、栄養失調で眼球の水分まで失われていました。
その4か月後の6月に健康優良児で生まれたジュリアの子犬2頭が目が開いてすぐの生後14日に呼吸に奇妙な音が混じり始めました。
その2日前だったか子犬の傍で霧吹きでEM菌をマットに吹きつけて、便の処理をしていました。その時までは、この胎にはEM菌は使用していませんでした。
病院で診てもらい、酸素吸入なども行いましたが、 奇妙な呼吸に気付いた翌日には母乳を飲めなくなり、 呼吸困難でもがき苦しみ、母乳を飲めなくなってから7時間ほどで2頭とも死亡しました。
この2胎8頭全滅の原因を獣医さんはなんらかの未知のウィルスのせいではないかと言いましたが、私は友人ブリーダーのアドバイスでEM菌を疑い、 犬舎中にビルコンを撒き、バーナーで土を焼いて消毒し、EM菌を全て排除しました。
そして、 2頭のメスの次回の発情の際に、あえて全滅した2胎の時と同じ父母犬の組合せの交配を反復しました。原因不明のまま、子犬を死なせ続けることはできないので、あえて死亡覚悟の繁殖を行ったのです。
父母犬を同じにしただけでなく、2007年2月生と6月生の2胎の胎児達が全滅したのと同じ部屋で、2007年11月生のリズの胎の新生児6頭と2007年12月生のジュリアの胎の新生児たち7頭の飼育を行いました。
子犬たちの部屋の消毒はエタノールだけにしたのですが、リズの胎の子犬もジュリアの胎の子犬も1頭も死なず、元気に育ちました。その時に生まれた子犬で犬舎に残したのがラプターです。今、5歳ですが、1度も患ったことがありません。
この死亡覚悟の実験的繁殖の事を、獣医さんに報告しましたが、医療の素人である私の言い分を本気にしていないのでしょう、 まだ奥様はEM菌を御自宅の方で使用しています。
健康な成犬には大丈夫なのかもしれませんが、EM菌のサイトで、推奨していたように、ペットや家畜に使用した場合、実際には、抵抗力のない子犬で死亡例は多かったのではないかと想像しています。誰もその因果関係に気づいていないだけなのではないかと思います。
怖いのは当犬舎のある愛媛県では抵抗力の無い寝たきり老人の施設でも使われていることです。EM菌による2胎8頭の新生児死亡のこともあって、私は 「健康に良い」とか「安全」という謳い文句は、鵜呑みにしないようにしています。
2007年当時はEM菌の危険性について具体例が書かれているサイトはほとんど見つからかったのですが、 今は、ベーチェット病の人が飲用して危篤のような状態になったとか、膠原病の人が医師に大丈夫と言われて飲用して大変なことになったと書かれた掲示板やブログも存在します。
福島原発の除染の為にEM菌を自分だけでなく抵抗力の弱い子供に飲用させるなどという空恐ろしいことを行っている人たちもいるそうなので、長らく放置し忘れていたYahooのパスワードを再発行してもらって、Yahoo知恵袋に、この記事を書きました。この記事が、1人でも多くの人の目に触れて、 恐ろしいEM菌を使用する人が減ってくれるよう願っています。(引用以上)
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*通称EM菌は、(株)EM研究機構の登録商標「EM」の微生物群のこと。
株式会社(発行した株式で資金調達を行い、その資金で得られた利益を株主に還元する会社)のEM研究機構は株主比嘉照夫氏。社長はその子息の比嘉新氏。
EMは乳酸菌、酵母、光合成細菌など5科10属80余種の微生物をタンク培養した液状のもの。
ただしEM研究機構はその組成のゲノム分析結果を公表していない。私費で分析依頼しての結果だと光合成細菌が含まれていない、雑菌が含まれているなどが複数ある。本ブログでもその分析結果の一例を掲載。またEM製品の中には黒いカビのようなものが見いだされて販売中止になったものがある。
デンマークで見学した中学理科の授業「石油のクラッキング」の話
私は、デンマークに行ったとき、中学校で理科授業を見たことがあります。非常に印象的な経験でした。
デンマークでは、中学校一年、二年、三年がありますが、希望者には四年というのもあります。これは自分が希望して中学の勉強が足りないと思うと四年目の一年を過ごした後で、その先に行くというための四年があります。ほとんどの人は四年にならず先に進みますが、四年に行く人もいるわけです。私が見学したときは女子四人ぐらいのクラスで、授業の内容は「石油のクラッキング」でした。
私は化学の知識があるので、先生が黒板に書かれた化学式でAl2O3を見て、一緒に見学に来ていた在住の日本人に「これは活性アルミナ触媒と言って化学反応を速めるものだ」と説明をしました。授業は、デンマーク語だったので、私の想像になりますが、私たちの光景を見た先生が生徒に、「この元素記号や式は、世界共通だから、見学している日本人にも理解できるんだよ」と説明していたと思います。
そのクラッキングの授業ですが、プリントに炭素原子の「C」が横に並んで書かれ、そこに枝があって水素原子「H」がついている。おそらく、原油の中の炭素の数が多いものを代表して表している。触媒を使って熱することで、並んでいる炭素を切断し、炭素数が小さいものにするというのがクラッキングです。そうすると使いやすいものがいっぱいできるわけです。今でもどの国でも原油のクラッキングを行っていると思います。クラッキングの方法にはいくつかありますが、一番多く行われているのが接触分解法という触媒を使った方法です。
先生が学生に手渡したプリントに書いてあることを少し説明すると、すぐに「じゃあ実験をやろう」と、きっとデンマーク語で言ったんだと思います。授業は、理科室でやってたんで、彼女たちの机の棚の下のところを開けると、いろいろ道具が、ガラス器具の道具とかが入ってて、それを机の上にあげました。それが蒸留装置なんです。
枝が付いたフラスコとかに冷却管をつけて、集めるための蒸発皿をおいていました。フラスコには、パラフィンとアルミナ触媒を入れて、フラスコの枝のところにゴム栓に通した温度計の球がくるようにして栓をしました。フラスコを熱してやるとゴボゴボと沸騰してくるんです。冷却管で冷やされた気体が、液体になって流れ落ちる温度を確認しながら、蒸発皿に温度範囲で一つ一つ取り分けていきます。四つくらいとったものに火をつけると、最初に取ったものは煤の少ない、輝く炎で、次第に煤が多い炎になっていく。これは初め出たものは沸点が低い、炭素数が少ないもので、分子全体の中で炭素の割合が少ないから煤が少ない。そして炭素の数が多くなってくると煤が多くなってくる。その燃え方の炎を見てわかるという実験をやってました。
その学校は、デンマークのずっとコペンハーゲンから離れた学校でしたが、途中には海上風力発電があり、 農地にも風力発電所があり、風力発電を盛んにやっている国です。そして、油田も開発され、その油田から取った原油を大切に使うとなると、クラッキングを中学生に教えてるわけです。学んでいる内容は高度なものでした。
エネルギーの問題は、自分たちの文明を支えてる根幹になります。それを「中学校で実験も含めて理科の時間に教えていることはすごいな」と思った経験談でした。
ドリンク剤、にんにく注射で元気になる? by左巻健男『病気になるサプリ 危険な健康食品 』(幻冬舎新書)
2022年の左巻健男の本は計18冊!
【2022年 左巻健男の本】計18冊!
1.『カルト・オカルト 忍びよるトンデモの正体』
左巻 健男/鈴木 エイト/藤倉 善郎【編】
あけび書房(2022/12発売)
2.『地球のふしぎ366 - 1日1ページで小学生から頭がよくなる!』
左巻 健男【編著】
きずな出版(2022/12発売)
3.『科学オモテウラ大事典』
左巻 健男【編著】
東洋館出版社(2022/12発売)
4.『科学の超きほん』
左巻 健男【監修】
朝日新聞出版(2022/11発売)
5.『面白くて眠れなくなる元素』PHP文庫 (新版)
左巻 健男【著】
PHP研究所(2022/10発売)
6.『地球のひみつクイズ図鑑 - マインクラフトで教養が身につく!』
左巻 健男【監修】/マイクラ職人組合【著】
宝島社(2022/09発売)
7.『科学って何のためにあるの? - 科学の基本的な5つの分野がわかる図鑑』
DK社【編】/左巻 健男【監訳】/上原 昌子【訳】
東京書籍(2022/08発売)
8.『動物のふしぎ366 - 1日1ページで小学生から頭がよくなる!』
左巻 健男【編著】
きずな出版(2022/08発売)
9.『面白くて眠れなくなるウンチ学』
左巻 健男【著】
PHPエディターズ・グループ(2022/08発売)
10.宇宙のふしぎ366 - 1日1ページで小学生から頭がよくなる!
左巻 健男【編著】
きずな出版(2022/08発売)
11.『陰謀論とニセ科学-あなたもだまされているー 』ワニブックスPLUS新書
左巻 健男【著】
ワニブックス(2022/04発売)ワニブックスPLUS新書
12.『世界が驚く日本のすごい科学と技術 - 日本人なら知っておきたい』
左巻 健男【編著】
笠間書院(2022/04発売)
13.『こんなに変わった理科教科書』
左巻 健男【著】
筑摩書房(2022/04発売)ちくま新書
14.『怖くて眠れなくなる元素』
左巻 健男【著】
PHPエディターズ・グループ(2022/03発売)
15~17.『おしえて!科学セット』
アンナ・クレイボーン/左巻健男
化学同人(2022/02発売)(全3冊セット)
18.『図説カンブリアンモンスター図鑑 - カンブリア爆発の不思議
な生き物たち (第2版)』
千崎 達也【文・絵】/左巻 健男【監修】
秀和システム(2022/02発売)
左巻健男『一度読んだら絶対忘れない化学の教科書』(SBクリエィティブ)の【訂正】
今年初め(2023年1月3日)に出た、左巻健男『一度読んだら絶対忘れない化学の教科書』(SBクリエィティブ)3刷の実物が来た。
↓
*高校化学レベルを学び直すときの基本的な見方考え方を示したいと思った。
高校化学教員18年+大学で基礎化学の講義経験をもとに執筆!
ぜひ書店で原物を見て欲しい。
*Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/4815617473/ref=nosim?tag=book27sci-22
※いくつか【訂正】がある。
2刷で
*87p下から5行目1974→1774
3刷で
*21p 周期表 2族の7周期 Re→Ra に。
*128p 水のように密度が固体>液体→水のように密度が固体<液体
理科たんカフェ「大人の科学実験:燃焼実験を極める」 2月25日(土)16:00~17:40 ナリカ(御徒町)
理科たんカフェ「大人の科学実験:燃焼実験を極める」
2月25日(土)16:00~17:40 ナリカ(御徒町)
講師:左巻健男(RikaTan編集長)
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※こちらからお申し込みください。
https://peatix.com/event/3474590
リアル参加、オンライン参加、懇親会共に、申込みできるようになっています。
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・簡単に炎色反応
・硫黄の燃焼(青い炎)
・炭素の燃焼
・スチールウールの燃焼
・水でナトリウムが燃えだす
・物質の燃焼と酸素の消費
・紙コップでアルコール爆発
・ダイヤモンドの燃焼
など。
*水素の燃焼・爆発は今回はふくめないで別途考えたい。
*左巻健男が中高理科・化学でやっていた実験から。
直接参加 1500円 オンライン 1000円
有志は18:00から軽く飲食の会
*共にPeatix(ピーティックス)を使いたいと思います。
申し込み者には後ほどアーカイブ配信を期間限定で行います。 当日リアルの時間帯に参加できなくてもそれで見られます。
理科たんカフェ 「大人の科学実験:ドライアイス実験を極める 」 12月10日(土) 16時~18時 | オンライン | 講師:左巻健男(RikaTan編集長)
左巻健男『面白くて眠れなくなる理科』(PHP文庫版)「文庫版あとがき」-第6刷になった!
文庫版あとがき
本書は、小学校理科で学ぶようなテーマを、もう少し高いレベルでやさしく面白く展開できないか、という気持ちで執筆しました。
小学生は理科が大好きです。それなのに、小学校の先生方や保護者の方々は理科苦手かもしれません。子どもの理科離れではなく、大人の理科離れ…。その背景には、知的好奇心あふれる子どもたちの質問に自信をもって答えられないということがあるかもしれません。
ぼくは、時々小学校によばれて小学生に理科授業をしています。先日も45分授業を2時間連続で「ドライアイスで遊ぼう!」という授業をしてきました。
1925年、アメリカのニューヨークのドライアイス・コーポレーションという会社が、ドライアイスの大量生産を始めました。日本では、その3年後に、ドライアイスをつくる機械を導入し、つくり始めました。二酸化炭素ガスを冷やして固めたドライアイスの温度は、マイナス79℃という低温です。下手に素手で触っていると凍傷になり、皮膚が壊死を起こし始めます。そうすると、未だ健全なところを守るために患部を切断しないといけなくなるなどを具体的にイメージゆたかに話をします。
「これからドライアイスの実験をするけど、凍傷に注意だよ。」といいながら、各班にドライアイスのブロックを配布して、まず最初にすることはドライアイスの観察。子どもたちは恐る恐るながめています。
「では、一人ひとりに素手で手のひらにドライアイスを押しつけてみよう!」というと、悲鳴があがります。模範を示すと子どもたちがやり始めます。
ドライアイスのブロックにステンレス製のスプーンを置いたり、10円玉を垂直に押し込んだりしたときの動き、音を楽しみます。そうなる理由は熱の移動やドライアイスの昇華によるものだということを、説明したり皆で考えたりします。
砕いたドライアイスをファスナー付きポリ袋に入れて密閉し、机の上を移動させては机の面で温めます。ぱんぱんにふくらんだ袋が音を立てて破裂します。大きな体積変化を実感します。
こんな実験をしながら、低温の世界や状態変化を学んでいきます。
きっと、学ぶということは、それまでに知らなかった新しい世界を知ることなのです。学んだからこそ疑問が生じるのです。それらの疑問にいつもちゃんと答えられなくても、一緒に考えてみるという姿勢だけでもいいのです。よい疑問を持ち続けているだけでも素晴らしいのです。どこかでその疑問の答が見つかることもあります。答が見つからなくても、あるいは疑問を忘れてしまっても、疑問をもつ習慣は絶対に人生に役立つと思うのです。
ぼくのメインの専門は、小学校・中学校・高等学校の理科教育ですが、学校の理科で、「学んでよかった」「目からウロコが落ちることを学べた」「よい疑問を持ち続けることができた」という実感を持つ人はどの程度いるでしょうか。ぼくはそんな理科教育になるといいなと思いながら、研究してきたつもりです。
学校を英語でschoolといいますがもともとはどんな意味だったのでしょうか。実はスコレ(σχολη)というギリシャ語が語源です。ギリシャ語のスコレは、「余暇,余った時間」という意味です。
古代ギリシャでは,貴族階級の者は奴隷に労働させていましたから,彼らにはたっぷりと時間がありました。生活の中で身のまわりや夜空の星などに不思議な現象があると、誰かにそれを伝えようとしました。そうすると、その話をもとに議論が始まります。貴族階級の者にとって楽しい知的な時間が共有できたのです。この余裕の時間こそがスコレだったのです。スコレはやがて,このような会話をする場所、つまり学校のことを表す意味にもなりました。
本書のテーマを小学校理科から選んだとき、本書のような内容も小学校の理科授業で学ぶといいのにという願いを込めたつもりです。
2016年7月 左巻健男
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面白くて眠れなくなる理科 (PHP文庫) 左巻 健男 https://www.amazon.co.jp/.../ref=cm_sw_r_tw_dp... @amazonJPより
*第6刷が送られてきた。
題材を主に小学理科からとったが、それぞれの小話は軽く読めて面白いと思う。
とくに小学生や小学校教員に読んで貰いたいな。
RikaTan委員の追加募集(若干名)2022/10/12締切
RikaTan委員は、RikaTanallというMLで情報交流・意見交換などをしています。
もともと『RikaTan(理科の探検)』誌の刊行の応援の委員でしたが、今は雑誌を休刊にした(惜しまれながらも事情で売れているうちに休刊に)ので、次のことをしています。
*「理科たんカフェ」などのイベントの開催
10月22日(土)に御徒町・末広町駅近くの会場で藤倉善郎(ほぼ日刊カルト新聞)が講師で「カルトと政治」のイベントを行います。(RikaTan委員の参加、オンラインもあり)
*委員有志による共同執筆で本を刊行
最近(2021~)の実績は、
・1日1ページで小学生から頭がよくなる! 宇宙のふしぎ366 (きずな出版) 2022/07/21
・1日1ページで小学生から頭がよくなる! 動物のふしぎ366 (きずな出版) 2022/07/08
・世界が驚く日本のすごい科学と技術 2022/05/31
・図解 身近にあふれる「自然災害」が3時間でわかる本 2021/09/28
・図解 身近にあふれる「感染症」が3時間でわかる本 2021/08/18
・1日1ページで小学生から頭がよくなる! 科学のふしぎ366 (きずな出版) 2021/04/26
現在進行中は、科学のオモテウラ事典、地球のふしぎ366、ヘアケアの科学。
近いうちに、身近な危険の科学が始まります。
※委員一覧
www.rikatan.com※MLはゆるゆると進行中ですが、もしRikaTan委員になりたいという人がいましたら、応募して下さい。
応募者は以下を samakikaku@rika.org へ、件名を RikaTan委員応募 として、10月12日(水)までにメールをお願いします。
※応募のメール内容
ふりがな:
名前:
登録メールアドレス:
〒:
住所:
連絡可能電話:
所属・肩書き(委員一覧に掲載):
※ペンネーム希望者はその旨お書き下さい。MLおよび表に出すのはペンネームにします。その場合は公開してもよい所属・肩書きもお書き下さい。
※個人情報はSAMA企画にて厳格に保存し、RikaTan委員関係にしか使いません。
左巻健男:名古屋で講座「みんなをつくる元素の話」1回目10月13日・2回目11月10日・3回目12月8日(第2木曜 13:00~14:30)
