江守正多さん@国立環境研究所の「朝まで生テレビ!」の「温暖化 vs 寒冷化」討論(09/10/26)
という記事は大変おもしろい。江守さんは、いわゆる「懐疑」には「健全な懐疑」と「不健全な懐疑」がある、という。
ぼくもそう思う。書店に並んでいる懐疑論の多くは、金儲け・売名のための「不健全な懐疑」
論なのではないかと思える。
江守さんの記事:
http://eco.nikkei.co.jp/column/emori_seita/article.aspx?id=MMECza000022102009&page=1
http://eco.nikkei.co.jp/column/emori_seita/article.aspx?id=MMECza000022102009&page=2
朝生で江守さんは、丸山さんが本に出して懐疑論の根拠にしている「太陽活動と気温の変化
の対応を表すグラフ」について原典にあたってみた。それは当然の科学的な態度だ。その結果は、
丸山さんの主張は全く成り立っていないということだ。
「太陽活動は、60年ごろから70年ごろに向けていったん下がり、それから上がって、90年ごろから00年ごろに向けてまた下がっています。それにもかかわらず、その間、気温は長期的にはずっと上昇傾向を示しています。この期間のデータを見せられたら、太陽活動が強いほど気温が高いという説明にすぐに納得する人はあまりいないでしょう。」
そのグラフは、江守さんの記事を見て欲しい。
朝生で江守さんは、もちろん丸山さんに質問。
「丸山さんは、根本さんのグラフの前後のデータがこのようになっていることを当然知っているはずですが、それにもかかわらず根本さんのグラフを引用し続けるのはなぜでしょうか。僕は番組中で丸山さんに聞いてみましたが、答えは得られませんでした。」
丸山さんの大きな主張が崩壊している。
丸山茂徳さんは、そうなら科学者としては懺悔し、本を回収すべきではないか。恥ずかしい
存在という自覚はないのか。
まあ、ぼくの友人たちには彼に指導を受けたり、関係した研究者が何人かいる。その友人たち
の1人は、「丸山さんの本などは見ないようにしている」と微笑していた。日頃の言動をよく
知っているのだろう。
同じようなレベルの地球温暖化懐疑論者は他にもいるように思う。
この前、ある環境科学者と話をしたら、某東大教授のものに怒っていた。
「ちゃんとした研究をしていないのに、おかしな懐疑論の本を金儲けかなにか知らないが出
している。私は、あんな教授がいる限り、東大には寄附など絶対にしない。」
まあ、きっとその某東大教授は、大企業の活動を支援するために(御用学者っていう言葉が
あったな)、研究していない内容でも本にしているのだろう。「東大教授」という肩書きは、
そういうときには使えるだろう。
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【追資料】
http://www.metoffice.gov.uk/news/releases/archive/2012/1981-2010-averages
2012.08.29 イギリス気象庁、30年の長期気候平均値の最新値(1981〜2010年)を発表
イギリス気象庁は1981〜2010年の長期気候データの平均値を発表した。それによると、同30年のイギリスの年平均気温は8.84℃、年平均降水量は1154mm、年平均日照時間は1373時間である。特に年平均気温は、前回の30年(1971〜2000年)平均からは0.25℃、前々回の30年(1961〜1990年)の平均からは0.52℃高くなり、地球全体で観測されている温暖化傾向と一致する結果となっている。氷点下と積雪の平均日数も、前2回の30年平均値よりも少なくなっており、温暖化傾向を示している。降水量は1971〜2000年に比べて年間2%、1961〜1990年に比べると5%増えたが、日照時間もそれぞれ18時間、35時間と、増えている。
この30年平均値は、イギリス各地の平年値等、気候を評価するときの基準値となるもので、10年ごとに発表されている。今後、イギリスの月・季節・年ごとの気象概況では、この1981〜2010年を基準期間として用いることになる。【イギリス気象庁】