左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

本日の分科会でしゃべったこと:理科教育課程をめぐって(左巻健男)

○この1年間で起こったこ
 小学校は、2011(H23)年度に新学習指導要領の教育課程を全面実施します。今回の新学習指導要領では内容が大幅に増えています。文部科学省は、とくに理数について前倒し実施を求めました。つまり理科は、改訂では現行と比べて新たに学習する内容がたくさん付加されるので、改訂の全面実施まで、現行の検定教科書にプラスして、付加された内容の補助資料が配付されて、その補助資料も使って授業をすることになっています。また授業時数も移行措置の時には増やしています。小学校の新理科教科書は、教科書検定が終わり、現在採択決定の最中です。
 補助資料の内容で、まだまだ本当の基礎・基本ではない内容が散見されます。いったい、それを学んでどう科学的にゆたかに自然を捉えられるのか」という疑問が生じる内容があります(たとえば、5年の「電流の発熱」の太さと発熱、6年「電気の利用」の発電・蓄電など)。
 中学校も、小学校に1年遅れて全面実施になるのですが、2009年度からは補助資料を配布し、新学習指導要領で付加された内容を学んでいます。中学校の場合、従前通りなら2010年度、2011年度の2年間が移行措置の時期なのですが、今回は2009年度から移行措置実施開始となり、1年早めに新学習指導要領の内容にしていくことになります。中学校の新教科書は現在教科書検定中です。
 小学校・中学校において新規に入った内容や新教育課程の理科教育観、学習観などの問題が、前倒し実施によって露呈してきています。また、高等学校では理科と数学は前倒し実施で中学校と同じく2012年度から新教育課程を開始します。
・臨時予算で理科教材はどの学校も充実したのか?
・「生活科」の学習は、3年からの理科教育に活きているか?
・小学校で「条件制御」など「手続きの断片」をメインにした教育課程でよいのか?
・「理科教育の充実」が言われるが、今後本当に充実していくと思えるか?
・理科が不得意な教員に有意義な研修体制は確立しているのか?
・学習量が増えても、ほとんどの子どもがついていけて楽しくわかる理科教育を進められるようになっているか?
・高等学校の教育課程は大きく変わるが、不得意・嫌いが多い状況は変わるのか?

(以下略。)


 明日の夜は紀伊勝浦で宿泊し、明後日朝に休暇村那智勝浦に行き、熊野古道ハイキング−那智の滝のツアーに参加。24日はホエールウォッチングして東京に夜戻ります。