左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

左巻健男が26年前に書いた文章(未来へ向かって)

 「私たちの前には、人間生存の危機につながるいろいろな問題がある。
  核戦争の危機など、ここにとりあげられなかった問題も多い。


 これらは、自然科学のわくをこえた大きな問題である。私たちは、自然科学(理科)のわくにとらわれず、広い視野にたって、これらの問題を考えていかなければならない。


 その生産のためにうける2次的、3次的影響は無視された。公害にみられるように、害がわかっていなから廃液や排気ガスを無処理でたれ流すといった自然破壊、人間破壊がおこなわれた。もちろん、自然のしくみがよくわかっていないためにひきおこされてしまっている自然破壊(環境破壊)も存在する。


 人類は、科学・技術を利用して、巨大な力を自然に対してふるまえるようになった。この巨大な力を、人類の幸福のため、自然環境の保全のためにコントロールしていかなければならない。自然と人間について、まだわかっていないことを明らかにしていかなければならない。人類にとって、そのようなことを可能とするよりよい社会のあり方はどのようなものか、どうしたらつくりあげていくことができるかを考えていかなくてはならない。


 私たちは、自然のしくみについての知識、科学の基本的なことを身につけよう。
 理科だけでなく、社会科など他の教科と関連させて、学んでいこう。
 今日の科学・技術のあり方をよく考え直し、自然環境を保全しながらの生産をすすめる方向に修
正させていくには、私たちひとりひとりが自覚的に立ちむかうしかないのだから。」


 これは1985年2月発行の『中学理科ポイント解説』(水曜社)という中学生向け学習参考書の最終講に「自然と人間」と題して書いたものの一部です。(OCRでテキスト化。)
 東京大学教育学部附属中・高等学校教諭時代です。
 その本はかなり昔に絶版になっていますが、その後のぼくの中学理科に関する著作に活かしています。