左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

某現場教員の低線量被曝のICRP「しきい値なし」批難へコメント(某ML)

 ぼくが前から述べているのは、教育界に裏で電力業界が多額のお金を出して「放射線教育」「エネルギー環境教育」などの名で、教員と子どもたちを「原発は多重防護されているから安心」などとし、「放射線は自然放射線を浴びているのだから怖がらないでよい」とするものを推進してきたことです。
 今回、改訂学習指導要領中理編解説で、「…発電の仕組みやそれぞれの特徴…。その際,原子力発電ではウランなどの核燃料からエネルギーを取り出していること,核燃料は放射線を出していることや放射線は自然界にも存在すること,放射線は透過性などをもち,医療や製造業などで利用されていることなどにも触れる。」とあり、ます。ここには放射線の危険の“き”の字もありません。この内容が入って電力業界は、やっとしっかりした放射線教育がされると喜んでいました(電力業界の業界紙「電気新聞」)。


 ×××さんがいう低線量被爆の「しきい値なし直線モデル」はICRPのものですが、ICRPをわが国でも放射線防護の考えとしています。
 ただし原子力業界は、ICRPに対してこれを変えさせよう躍起です。なぜならしきい値があるとしたほうが被曝労働をさせやすいからです。また原子力業界は、一般の人が放射線を怖がるのは、この仮説があって「安全」レベルがないからだと信じています。×××さんはきっと原子力業界の考えを代弁しているのでしょう(無意識のうちか意識的なのかは知りませんが)。


 ×××さんのように原子炉実習とか原発見学で与えられた考えをすぐ述べるのではなくさまざまな文献を読んで自分の考えをブログなりに出せばいいと思います。
 ぼくは自分のブログに折に触れて出しているつもりです。
 この1か月でもだいぶ出しました。ぼくは、もっと厳しい見方(ICRPのモデルより低線量被曝の影響は強いとする考え)があるのを承知でまずはICRPの考えでと思っています。RikaTan誌昨年の12月号の放射能放射線でも放射性薬品化学が専門の山本さん@東北薬科大が、「ICRP勧告に基づく現在の世界的コンセンサスは少量の放射線であっても害があるというのが前提です。…将来、もしも放射線ホルミシス効果が科学的に明らかとなり世界的な定説となれば、ICRP勧告により低線量放射線に対する放射線防護の考え方も大きく変わってくる日がやってくるのかも知れません。それまでは、少量の放射線も危険かも知れないという前提で、リスクとベネフィットを比べて考えるほうが無難でしょう。」としています。