左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

同年代の大塚アナウンサー(めざましTV)が急性リンパ性白血病で…(+映画『チェルノブイリ・ハート』を鵜呑みにしない)

 大塚アナウンサーはツレと高校が同期(都立両国)です。その大塚氏が入院したといいます。ツイッターで「福島の野菜を食べたから」「東京にも放射能の影響」など、放射能を原因とする書き込みがあるというので、ちょっと「大塚アナウンサー 福島」で検索して見ました。
 2chにいくつかスレッドが立てられ、そのような意見もたくさんありました。
 白血病の原因はほとんど不明ですが、放射線被曝の影響も原因の1つにあることは確かです。
 しかし、広島・長崎の被爆者の追跡調査でも2年後くらいから出てきて、5−10年後がピークでした。
 大塚氏の場合は福一の事故の影響はほぼ考えられないでしょう。
 世の中には可能性が0でないことをいいことに何でも放射能と結びつけて危険を煽る人たちがいます。
 一方で合計で100 mSv以内の被曝なら人体への影響は出ないという放射線科の医師がいます。
 「影響が出ない」のではなく、「低線量でも影響が出る可能性がある」のだから余分な被曝は受けない方がいいというのが、現在までにわかっていることからの正しい立場だと思います。


 ついでですが、チェルノブイリ事故で先天性欠損症が多く見られたということがいわれています。とくに映画『チェルノブイリ・ハート』においてです。これについては、次の事を留意する必要があるでしょう。
 
 “二〇〇三年に公開されたドキュメンタリー映画チェルノブイリ・ハート』では、チェルノブイリ地域で数多く見られる先天性欠損症を、原発事故の放射能によるものだとしています。
 多くの専門家は、この映画は事実を正確に伝えたものではないと考えています。というのは、ほかの同じような(たとえば広島や長崎のような)被曝者には、同じような問題がまったく見られないからです。
 たとえば、映画で取り上げている疾患は、この地域に以前から数多く見られる症例なのです。原因は、おそらく大量の飲酒と喫煙でしょう。それが、チェルノブイリ原発事故以後この地域の医療体制が強化されて、初めて外の世界に報告されたということなのです。
 この映画は、科学的な研究を目的としたものではありませんから、製作者たちは、こうした症例について考えうる別の原因を検証する必要があるとは考えなかったのです。”
 リチャード・ムラー(二階堂訳)『今この世界を生きているあなたのためのサイエンスⅠ』楽工社2010.9 p.144