左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

「志」は今も同じ!−2年前にJSTサイエンスウィンドウ誌(2010初夏号)に紹介された『RikaTan(理科の探検)』誌

 左巻健男は、今より10キロ余も太っていたなあ(汗)。月刊誌時代の話ですが、RikaTanの「志」は、季刊誌になっても同じです。


◎理科好きな大人を増やしたい


「編集部」があるわけではない。理科が大好きな人たちがメーリングリストで意見を出し合い、1冊の雑誌をつくっている。モットーは「観る・知る・遊ぶ・理科と自然の楽しさを実感…」。そんなユニークな理科雑誌『リカタン』 (文一総合出版発行) の編集委員会を訪ねた。


 編集長の左巻健男さんは、中学・高校の教員だった若いころに、理科教育雑誌の編集委員を務めた経験を持つ。その当時から左巻さんの頭の中には、新しい科学雑誌の構想があったという。


 「自然の中に飛び出す、実験をする、ものづくりをするなど、何かを“やる″雑誌。また、科学の基礎的なおもしろさを伝える雑誌をつくりたいと思っていました」


 そんな左巻さんのもとに、理科雑誌の編集長の依頼が来たのが4年前。ネットで「一緒につくりませんか」と呼びかけたところ、瞬く間に100人を超える賛同者が集まった。その顔ぶれは、教師、出版関係者、会社員、主婦と、実に幅広い。


 この人たちが「企画委員」となって、2007年4月、『リカタン』が創刊された。

 
「雑誌の作り方としては変わっていると思いますよ。一番の愛読者を雑誌づくりに参加させているんだから」と、左巻さんは胸を張る。


 まず、左巻さんが特集や連載の案をつくり、160人の企画委員に意見を求める。やりとりは基本的にメーリングリスト。原稿の多くは企画委員が執筆し、編集委員(企画委員と兼任)が検討する。時には書き直しの指示を出すことも。でもみんな納得するそうだ。「僕には独裁的な権限があるから」と左巻さんは豪快に笑う。


 主婦や会社員の連載もあれば、有志が集まって実験や自然探検をした記事もある。「企画委員は雑誌づくりを楽しんでいます。編集委員は僕の書いた原稿を直すのが快感なのかも(笑)」。
“独裁的”と言いながらも、委員たちを信頼し、彼らの意見を前向きに取り入れる謙虚な姿勢がうかがえる。


 「学校で習った基礎的な内容でも、深めればものすごくおもしろいことがあるし、生活にも関係している。今の学校教育で取り上げられない部分を、この雑誌では意識していきたい」と語る左巻さん。大事なのは、「人生に活かす」こと。科学の基礎的な内容の向こうに、知らなかった世界が見えてくる。そんな体験で、人生を充実させてほしい、というのが左巻さんの思い。

 1月号から表紙を刷新。4月号からはカラーページを倍増し、特集も2本立てに。飛躍する『リカタン』が、日本に理科好きな大人を増やしてくれそうだ。