左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

常温核融合スキャンダルを振り返る

 「水からの伝言」、EM菌、ナノ銀除染が、生体内の元素転換(原子転換)や常温核融合を気軽にいうので、ちょっと。


 「北大の常温核融合ネタについて調べてみたよ」というブログ記事。
 http://blackshadow.seesaa.net/article/100635085.html


 このブログ記事では、「国際常温核融合学会…身内の集まり。…常温核融合はニュース価値が無いと私は考えている。本気で外部の検証に耐えるものができたなら、もっとでかい学会に出てくるはずだから、…改めて検証すればいい。」と述べているが同感。


 10月に文庫版になり、その巻末の解説を書いたサム・キーン『スプーンと元素周期表早川書房にある常温核融合スキャンダルの話を紹介しておこう。


 ボンズとフライシュマン、「彼らの名声は地に堕ちて腐臭を放っている。」「今では…名前からは、いかに不当であろうとも、ぺてん、騙り、詐欺師といった言葉しか思い浮かばない。」


 1989年ユタ大学を本拠としていた2人はパラジウム重水素という組み合わせで常温核融合が起こったと記者会見。2人はたちまち有名人になり、ほどなく開かれたアメリカ化学会で総立ちで迎えられた。


 それでも懐疑的な一部科学者の科学的感受性を逆撫で。
 2人はピアレビューなし、ブッシュ(父)大統領に2500万ドルの研究費を直接求めた。2人は装置と手順への質問に答えなかった。


 疑念を深めた科学者らは追試を開始。数週間後には何百人という科学者が研究会を開催。実験誤差の見過ごし、欠陥のある測定技法…をこれでもかと指摘。


 しかし科学界は常温核融合スキャンダルとしても、信じたいという2人の支持者は残る。この時点で常温核融合は病的なものに変質した。
 信奉者たちのコミュニティは内部批判はほとんど出ず、実験や説は額面通り受けとられる。変人がはびこる。(要約文責:左巻健男


※このような「途方もない主張」には、「途方もない証拠」が必要。
 しかし、そのような途方もない証拠無しに気楽に適当に浅学な人らがニセ科学の商売などのために言っている事態がある。