倉嶋厚『倉嶋厚の人生気象学』東京堂出版2012に、
「まず、その窓を開けたまえ −ある方からのお便りに返信−」
23〜28pという小文が収録されています。
心の病に悩んでいる人から「アドバイスを」というメールに返事をしたものです。
倉嶋さんは「軽鬱状態」にあり、毎日少しずつ返事を書いて約3カ月がかりで書き終えたということです。
以下倉嶋さんの本からです。
朝日新聞医療グループ編『うつを生きる』2007から、鬱病になりやすい人の「認知のゆがみ」を紹介。自分に当てはまるといいます。
・1つの失敗や嫌なことだけを理由に「一事が万事」と考える
・自分に関係のないことまで自分の責任と考える
・はっきり根拠のないまま結論を急ぎ、否定的に考える
・物事をすべて白か黒かで考える
・〜すべきだ、〜しなければならない、と考える
・欠点や失敗を過大に、長所や成功を過小に評価
・客観的事実ではなく、自分の感じ方で状況を判断する
少年時代から鬱病をくり返してきました。ふり返ると通り抜けられたのは、性格や認識のゆがみを完全に克服した後に物事を行うのではなく、自分の欠点にとらわれず、こだわらず、棚上げして当面のなすべき事に没頭し踏んばったからです。
そんなときに、自分に言い聞かせるために、こんな詩をつくりました。
まず、その窓を開けたまえ、
泣きながらでもいいから。
お前がうぬぼれるほど、
世間はお前を注目していないし、
お前が恐れるほど、
世間はお前を見放していない。
(倉嶋厚)
H9年7月に妻を亡くし重い鬱病にかかり、その年の暮れに自殺を何回か試み、周囲の人が気づいて5カ月の入院生活後に復帰しました。
百点満点で立ち直ろうとして鬱に戻ってしまったことを何回か経験しまし。「人生70点主義者」になりました。一番重要なことだけやってやり残しは気にしない。「あきらめる」は、本来は「明(あきら)める」で事態、道理を明らかに見て納得することです。
「心配事は縦に並べろ」という亡父の言葉。横に並べるとあれもこれも気になってしまいます。時間順、重要順に並べるといいのです。
また「鬱の時は大事なことは決定するな」。時々物事の決定が面倒になり「えーい、やめちまえ」となりがち(その最たるものが自殺)です。
* 倉嶋厚さんは薄謝にもかかわらずRikaTan誌 http://rikatan.com/ でエッセイを連載してくれました。森本雅樹さんもです。世の中金の為だけではなく意気に感じてくれる人がいるのが嬉しいです。
なお、ぼくはRikaTan誌に無料で書いています。