学部生時代に講義を聴いたことがある教育学者の城丸章夫さんの本を読んでいる。
『星とさくらと天皇と』新日本新書 1990 だ。
そこで小中学校にソメイヨシノが好んで多く植えられてきたのは日露戦争後とある。学校は天皇の教えを教える神聖な場所なので花の咲く木や実のなる木は原則として植えなかった。
なぜ増えたか?軍部が武道とサクラの普及宣伝に乗り出したからだ。パッと咲いてパッと散るので軍人の精神、並びに日本人の精神を示すとされた。兵営、陸軍墓地、各県招魂社(後の護国神社)には盛んに植えられた。靖国神社もサクラの名所にされた。
軍の狙いは2つ。1つはサクラの名所にして一般の国民が親しみの情をこれらの施設に抱かせること、もう1つは徴兵された兵士が死を恐れないで戦うような精神風土をつくること。
小学校の教師達は「パッと咲いてパッと散るのが日本人だ」と一生懸命に教えた。