俺は教育実習で「お前の授業は10年早い!」といわれた。
中2の化学変化で、原子を早期に導入し、原子を半わかりでもその考えを使いながらマクロな化学変化を見ていくというもの。研究授業でもそれで気体反応の法則を実験しながら学習。
俺は「現場に出たらぼくの考えが主流になるように頑張ります」と言ったが、マイナーなままで終わるかもしれない。
それでも燃焼などの化学変化をマクロなレベルで学習してから原子へという当時の学習指導要領や教科書の流れに抵抗していた。
30余年前に東京書籍の『新しい科学』教科書の編集委員になったとき、当時の学習指導要領の流れとは違って、分解から原子を導入する流れを提案し、それで展開した。
そうしたらその次の学習指導要領は、東書の流れのように改訂されて今に至る。
教育実習の担当は斎藤さん。千葉県理科教育の重鎮。実習中はよく喧嘩(議論)した。
その後、ぼくは現場に出て実践を『理科教室』誌に書くようになった。斎藤さんに「君は頑張っているね」といわれるようになった。