左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

2016/3/9マルチ商法ナチュラリープラスに業務停止命令

 ある原稿に取り上げようと思ったのですが使わなかったのでここに紹介しておきます。


 消費者庁は、2016年3月9日に、特定商取引法に違反するとしてマルチ商法ナチュラリープラスに対し、3月10日から12月9日まで9か月間、新規勧誘や契約の申込みを受けることを停止する処分を命じました。ナチュラリープラスは、2015年の売り上げは216億円で、マルチ業界7位の大手です。


 新聞やネットニュースでも報じられた、この業務停止命令には、マルチ商法の問題点がよく現れています。
 マルチ商法には、厳しい規制がされています。例えば、次のような規制がなされています。

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・契約の締結時には、必ず書面の交付義務
・広告への一定事項(商品の金額や、販売者の氏名、役務に対しての支払額など)の表示義務
・不適切な勧誘行為(事実の隠蔽や、不実の告知など)の禁止
クーリングオフ(20日間)の義務化
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 これらの規制内である「マルチ商法」であれば、それは合法なビジネスの形態です。
 もし、法的な規制から逸脱するような事をしてしまえば、それは悪徳商法となりますし、違法となります。
 マルチ商法ナチュラリープラスで問題になったのは、消費者庁サイトのPDFによると、勧誘目的等不明示、不実告知、重要事項不告示、公衆の出入りしない場所での勧誘及び迷惑勧誘でした。

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【勧誘目的等不明示】…同社の勧誘者は、新規の会員を勧誘する際に、勧誘目的等を告げないまま、セミナーや勧誘者の自宅に誘い出しました。

【不実告知】(事実ではないことを告げる)…「販売の健康商品(スーパー・ルテイン)や水素を含むという清涼飲料水(イズミオ)を1か月飲み続けるとどんな病気でも良くなる」、「知人を2人紹介すれば、ポイントに応じて月に20〜50万円くらいの報酬が得られる」などと虚偽の説明をしました。健康食品や清涼飲料水の効果効能を述べたり、それをオーバーに表現したり、絶対に儲かるなど収入の保証をしてしまうのはアウトです。

【重要事項不告示】…契約の締結には、特定負担として会員登録料が必要なのに、それを告げていませんでした。

【公衆の出入りしない場所での勧誘及び迷惑勧誘】…同社の勧誘者の自宅などに連れて行って勧誘を行ったり、「買いません。要りません。飲みません。」等と契約を締結しない意思表示をしている者に、くり返し勧誘を続けたり、狭い部屋で複数の者がくり返し勧誘を行う等、相手に迷惑を覚えさせるような強引な勧誘など迷惑行為をしました。
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 消費者庁による業務停止命令の別紙には、この件について5つの事例が示されています。
ここでは、事例1を紹介しておきましょう。

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 平成27年7月、同社の勧誘者のZとYは、友人の消費者AをインターネットのSNSを利用して、「ご飯、一緒に食べませんか。」と誘った。飲食店での昼食の席で、ZとYは、「いい話があるから、これからセミナーに一緒に行ってみない。」、「これから夢を実現できるかもしれないセミナーに行ってみよう。」とAをセミナーに誘い、食事の後、AはZらとともに同社のサロンを訪れた。しかし、ZとYからは、サロンに到着するまで同社のことや商品についての説明はなく同社のサロンを訪れた時、Aは初めて同社名を知った。


 サロンで行われたセミナーでは」講師のXが同社が販売する本件商品について説明し、「これを飲んだら、体に良いです。」と言った。具体的な効能の説明は、「薬事法に引っかかる。」などと言って、口頭ではなかったが、映像を通して、「イズミオは目に良い、心筋梗塞とか動脈硬化が治る。」とか「予防ができる、体のサビを取る、美肌効果がある。jなどと説明をした。Xは、自分のことについても「なぜこのように若々しく見えるかというと、イズミオを飲んでいるからシミとかシワにはならないんですよ。」と説明した。


 セミナー終了後、Z及びY並びにその上位会員のWは、Aをサロン内のテーブル席へ案内した。そこで、Wは「目が悪いんだったら、初めはスーパー・ルテインから始めたらいいんじゃない。」、「飲み続けると、視力が良くなるかもしれないよ。」などと、Yは「がんにも効く。」などとAに告げて、Aはスーパー・ルテインの購入と会員登録の申込みをした。
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