左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

『月刊保団連』2017年2月号 特集:「ニセ医学」に出会ったら (医師向け雑誌)

『月刊保団連』2017年2月号が送られてきた。

特集:「ニセ医学」に出会ったら。

疑似科学の現状と科学性評定の試み−サプリメント問題を中心に 石川幹人
・医療現場におけるニセ医学の傾向と対策 酒井健
・ニセ医学を見抜くセンスのために 左巻健男
・医療者が「ニセ医学」と対峙する際に取るべき態度とは−だまされても、患者の自己責任? 増谷彩
代替療法とリスクコミュニケーションの困難性−科学的に論破しても解決しない理由 平野直子
(以上特集 各6p)


石川「科学性の評定に関する知識が役立つ」/
酒井「批判するだけでなく患者の訴えを傾聴し、良質な医療を提供することが対策」/
左巻「ニセ科学で特に問題なのは、健康系・医学系」 /
増谷「患者の選択を最初から「自己責任」で済ませてよいのだろうか」/
平野「対抗文化的なライフスタイルが「自然」であることを善とする見方で意味づけられている現状がある」
(以上一言要約)


・医療現場におけるニセ医学の傾向と対策 酒井健
に「EM」という項がある。


…土壌改良…水質浄化にも有用だとして、効果が検証されないまま、EMを混ぜた団子を川や海に投げ込むイベント…
 ほかに、放射能の無害化、自動車の燃費向上、電子機器の性能向上など、ほぼ万能の効果が主張されている。…


 医学の分野においても…比嘉氏によると「EMをベースにつくられたEMXゴールドは、C型やB型肝炎のウイルスを完全に消滅し得る事例が、多数、確認され、エイズはもとより、ヘルペス、インフルエンザ等々のウイルスに対して万能的な力を発揮しています」と…


 しかし、EMが各種ウイルスに効果があるとする臨床試験はもちろんのこと、症例報告すらほとんどない。比嘉氏の主張はエビデンスに基づいたものではない。…
 様々な難病治療にEMが効果を上げたりとする本を書いたり、「EM健康セミナー」を開催したりする医師もいる。…(引用以上)


 EM代理店の売り上げの大部分はEMXゴールドという名の清涼飲料水という話がある。表だっては効能を言えない清涼飲料水に過ぎないが比嘉氏が本や講演で宣伝している。500mLが4600円とかする。


 公表されている成分はナトリウムくらいだ。原料を見ると原料費はかなり安いだろう。比嘉氏はこういう清涼飲料水を家族中で飲んだり、千度以上で焼き込んでもEMが生きて波動を出す製品などを使うEM生活を薦めている。


 比嘉氏はEMXゴールドのボトルを回りにぶら下げたりすると内部が「結界」になるともいう。もはや科学ではない。そういうものを薦める医師がいることに驚く。酒井氏は「(EMが)現代医学に懐疑的な人たちの受け皿になっている一面があるように思われる」と述べている。