左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

小林麻央さんが通っていたクリニックがニュースで話題になったので…

小林麻央さんがやった気功療法の事実を出してほしい
http://samakita.hatenablog.com/entry/20170703


↑に以下を追記したい。


 小林麻央さんが通っていたクリニックに業務停止命令が下った。

───────────────────────────
 2017年6月22日に逝去した小林麻央さん(享年34)。その壮絶な死から約1週間後の6月28日、驚きのニュースが飛び込んできた。他人のさい帯血を投与する医療を無届けで行ったとして、全国11のクリニックに業務停止命令が下った。そのうちの1施設が、麻央さんの昨年から何度も通っていたクリニックだったのだ。
 11カ所の民間クリニックではがん治療などの目的で、妊婦さんのへその緒の中にある血液、いわゆるさい帯血を投与していた。14年11月に施行された再生医療法ではさい帯血など他人の幹細胞を使った医療を行う場合、専門委員会に計画書を提出し、安全性などの審査を受ける必要がある。しかしクリニックは届け出を出しておらず、厚生労働省から再生医療を一時停止せよという命令を受けた。
───────────────────────────

 NATROMさんの『「ニセ医学」に騙されないために』に、「クリニックで幹細胞療法が可能?」がある。
「…しかしながら、現時点での民間のクリニックにおける幹細胞療法の多くは悪徳である」
「あるクリニックでは、250万円で「臍帯血幹細胞の移植治療」を提供している」
「このクリニックで行っているのは、臨床試験ではなくビジネスである」
「悪いのは幹細胞療法ではなく、口先で「難病の患者さんを助けるため」と言いつつ、実際には金儲けのために幹細胞療法を行うクリニックである。こういうことは、がんに対する免疫療法でも行われている」


 小林麻央さんはどんな治療を受けるためにクリニックに通っていたのか?
 それは、「水素温熱免疫療法」だ。臍帯血の投与を受けていたかどうかはわからない。どちらも保険のきかない高額の自由診療であり、医学的な効果はまったくの未知数だ(とくに水素温熱免疫療法)
 流行の「水素」、それにインチキ治療に多い「免疫療法」!


 小林麻央さんは他にもさまざまな民間療法を試していた。
「食事の代わりにオーガニックの野菜や果物のみを使ったジュースを飲む「ジュースクレンズ」」「酵素を加えたヒノキのおがくずや米ぬかに体を埋める「酵素風呂」」などだ。


 小林麻央さんは最初に気功療法をやって治療時期を逸していたかもしれない。
 それに加えて、標準治療ではなく、このような民間療法にはまって死期を早めたかもしれない。


 このようなことを知って、次を思い起こした。


 ポール・オフィット著・ナカイサヤカ訳『代替医療の光と闇 魔法を信じるかい?』(地人書館 2015)は、「第八章 がん治療」の最初に、


“死者と死に行く人の身体を貪る食屍鬼(しょくしき)のうち、インチキがん治療師は最もふらちで無慈悲である
 − モリス・フィッシュペイン (前米国医師会雑誌編集長)”


 という言葉をあげている。
 食屍鬼とは、墓をあさって人間の死体を食べたり、小さな子どもを食べたり、旅行者を砂漠の奥まで誘い込み、彼らを殺して食べたりもする砂漠にすむという伝承上の悪魔だ。
 金儲けのためになら何でもありという世界にインチキがん治療師はすんでいる。