左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

政界を蝕むニセ科学(2019/4/20土@大阪) 市民社会フォーラムの配付資料

次で配布した資料を紹介しておく。

 

政界を蝕むニセ科学

『RikaTan(理科の探検)』編集長・左巻健男さん講演「政界を蝕むニセ科学~EM菌、デトックス、親学発達障害、ナノ銀…~」(2019/4/20土@大阪) 市民社会フォーラム

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政界を蝕むニセ科学(+カルト・オカルト)
~EM菌、デトックス、親学発達障害、ナノ銀…~

サマキタケオ
左巻 健男 東大講師・元法政大学教授・年金・印税生活者
Samakita★@★nifty.com(★を削除し詰める) FB:左巻 健男 ツイッター:@samakikaku

 

ニセ科学「科学っぽい装いをしている」あるいは「科学のように見える」にもかかわらず、とても科学とは呼べないもの。

・オカルト…「秘密、隠されたもの」という意味のラテン語のoccultに由来する語で、「神秘的なこと。超自然的なさま」(広辞苑)を意味する。なお、ニュートンの「万有引力」もライバルのライプニッツらから「オカルト的なもの」と強い批判を浴びた。主流派から見て異端をそう呼んだ。

・カルト…「狂信的な崇拝」(広辞苑)を意味し、過激で異端的な新興宗教集団を指すことが多かったが、現代では広く個人や社会に対して破壊的な行為をする集団を指す用語になっている。

統一教会1954年に韓国・ソウルで結成され58年に日本へ進出した統一教会世界基督教統一神霊協会、2015年に世界平和統一家庭連合に改称)。関連会社を隠れ蓑にして信者に霊感商法を行わせてきた教団は、教祖・文鮮明の送金命令によって75年からの10年間で約二千億円を霊感商法の稼ぎから韓国へ送金。

自民党安倍政権と統一教会直接の関係が最初に浮かび上がったのは2006年のことだ。
 同年5月、統一教会政治団体・天宙平和連合(UPF)が福岡で開催した合同結婚式併催イベント『祖国郷土還元日本大会』に、当時官房長官だった安倍晋三と元法務大臣衆議院憲法審査会会長の保岡興治(2017年引退)が祝電を贈ったことが発覚した。
「わたしは安倍晋三氏と統一教会問題で会話を交わしたことがある。安倍氏は言った。『北朝鮮統一教会の関係はどうなっていますか』わたしは北朝鮮金正日体制と統一教会とが深い関係にあることを伝えた。安倍氏は『そうですよね』とうなずいた。『実は』と彼は統一教会がさかんに接触し、面会を求めてくると語った。『わたしは会わないですよ』と安倍氏は言った。北朝鮮に強硬な立場を取り、しかも有力な総裁候補である安倍氏が、自らの判断であえてこの時期に統一教会系の集会に祝電を打つことはないだろう」(出典:有田芳生の「情報の裏を読む」)
 2012年12月、政権を奪取した安倍晋三は悲願である憲法改正を実現するために長期安定政権を目論んでいた。そのためには、組織票にとどまらず無尽蔵の人員を派遣してくれる統一教会を利用しない手はなかったのだろう。目先の国政選挙や改憲運動を巡る策動のために、安倍は最も関係を持ってはいけない相手からのアプローチを受け入れる。教団サイドと距離を置いていた筈の安倍晋三は、自身の政治的野心と引き換えに悪魔の取引を結んでしまったのだ。(鈴木エイト氏による)

・EM菌…有用微生物群 Effective Microorganisms の英語名の頭文字であり、製造・販売している(株)EM研究機構、(株)EM生活などの商標登録の商品群。知られるようになったのは、比嘉照夫『地球を救う大革命』サンマーク出版1993がベストセラーになったのがきっかけである。国立琉球大学農学部教授が書き、高名な経営コンサルタント船井幸雄氏が応援したことで話題になった。もともと世界救世教という新興宗教が関係した微生物資材(農業用)だが、「神からの贈りもの」から「神様」になり、万能性を持つとされる。

・EM菌議運…2013年12月に「有用微生物利活用推進議連」(EM議連)設立。会長は野田毅自民党税制調査会会長・熊本)、幹事長は平井卓也(香川)、事務局責任担当はNPO法人地球環境共生ネットワーク(U-net)の理事でもある高橋比奈子(岩手、安倍内閣環境大臣政務官)である。設立時の会員数は50名余り。「EMによる国づくりを国政レベルで推進できる議員連盟になること」を目指している。

デトックス「解毒」を意味する。健康系業界では、体内にたまった有毒な物質を排出すること。デトックスと称して、健康食品・サプリメントや健康機器が販売されている。なお、デトックス言説における「毒素」とは何なのか。あるいはそれが、肝臓、腎臓、皮膚など人体において老廃物を排出する器官の働きとは“何が異なっているのか”というきちんとした理論はない状態。
ニセ科学デトックス検査を実施する「食の安全を考える議員連盟」の設立に動く野党系→共産党・紙智子参議院議員Twitterではデトックス検査として毛髪を6グラム調べるツイート。川田龍平(立憲)、大河原雅子(立憲)、阿部知子(立憲)、福島みずほ(社民)、小宮山泰子(国民民主)、紙智子(共産)各議員、この他にデトックス・プロジェクト・ジャパン準備会の山田正彦(元農水大臣)ら。

・親学…安倍晋三氏や下村博文氏(第一次安倍内閣官房副長官、第二次・第三次安倍内閣文部科学大臣)のブレーンである明星大学教授の高橋史朗氏の提唱。2007年4月25日、日本政府(第一次安倍晋三内閣)主催の教育再生会議は「『親学』に関する緊急提言」なるものを提示。

・親学推進議員連盟2012年、81人の国会議員により親学推進議員連盟(家庭教育支援議員連盟)が結成され、その会長に安倍氏、事務局長に下村氏、顧問として民主党(当時)から鳩山由紀夫氏が就任した。その設立総会には高橋氏やTOSS(教育技術の法則化運動:会員数一万人以上を誇る教員組織)代表の向山洋一氏も参加。2012年5月、大阪維新の会市議団が、市議会に「家庭教育支援条例」案を提出した。この条例案には、「伝統的子育てで発達障害を予防できる」とあり、批判を浴びて白紙撤回。

・ナノ銀…古くから銀には除菌・抗菌効果があることが知られる。ナノ銀とは、10ナノメートル(1 ナノメートルは10億分の1メートル)程度からそれ以下の粒子径にした銀のこと。
板橋区ホタル生態環境館の阿部宣男氏→〈自然界の元素がきれいなまん丸の球体だとしたら、ヨウ素131やセシウム134、137はとんがった金平糖のようなもの。このトゲトゲが生物の細胞やDNAを壊すのではないかと、私は思っています。(中略)ナノ銀は金平糖をきれいな球体に変える働きをする〉。

平野貞夫氏…野党共闘のキーマンの1人(小沢一郎側近)。日本再生のためにはナノ銀だと信じ込んでいる人。「放射能浄化Abe-Effect協議会 」なる団体まで設立。共産党の大幹部に「ナノ銀除染の批判者をなんとかしろ」と依頼したという情報(篠原氏)がある。