左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

左巻健男:中学理科教科書『新しい科学』東京書籍の編集委員・執筆者のちょっと振り返り

先日、20年来、中学理科教科書(『新しい科学』東京書籍)の編集委員・執筆者を一緒にやってきたTさんと飲んだ。いま次期教科書作成が始まっているが彼はその中心の1人。


ぼくは約30年で、どうも一番の古手になったがもうメインからは外れている。彼とその20年を懐かしくふり返った。


約30年前に30代で加わった中学理科教科書編集委員・執筆者(高校化学教科書にも携わった)。
最初加わった頃、一緒にやった人らは編集委員に残っていない。
その後加わった20年一緒のTさんや堀哲夫さんが残っている。


ぼくが教科書編集委員・執筆者になった30代のとき、未だ中学理科化学は燃焼などからマクロな化学変化を学習してから最後に原子分子を出すという展開だった。それを分解から入り、原子分子を早期に導入し浅い理解からそれを深めていく展開を提案した。当時の学習指導要領とは全く違っていた。


東京書籍の上部から強い反対もあったし、編集執筆の分科会でも激しい議論があった。
それでも、ぼくの提案のように東京書籍教科書は書かれた。
それは理科教育界にも影響を与えたようだ。その次の学習指導要領は東京書籍のような展開に変更されたのだ。


もともと東書はぼくをマイナーで文部省への批判が旺盛な理科教育界の異端児とみていたようだ。そんなのも1人加えたほうがいいという考えだ。
ぼくは友も敵も多いので、教科書への参加は理科教育界で賛否が分かれよう。
しかし、結果としては、それは功を奏したと思う。激しい議論をしながら教科書をつくるということが当たり前になって、シャープな教科書がつくれたと思う。


理科教育界で学会にもあまり参加せず、「一匹狼」的できたマイナーなぼくも教科書で少しメジャーになったのかも。肩書きも、東京大学教育学部附属中・高等学校教諭から大学教授になった。


東京書籍で教育書だけではなく一般書も書いた。
『100不思議』『100知識』のシリーズや『理科おもしろ実験ものづくり完全マニュアル』等。
いまは『おもしろ理科授業の極意』(仮題)や理科教育法テキストなどに取り組んでいる。
教科書編集委員・執筆者になったのが縁だ。