バラナシで若い女性の遺体が焼かれているとき、それを見に来た人々の中に「ウシ」が混じっていた。ぼくの隣でウシはうっとりとした顔をしていた。空気に混じる臭い分子が原因だろう。衝撃的だったのはやはり野犬の食べっぷりだった。
ポトシ銀山でコカの葉を購入して食べたかどうかは本に書かなかった。
■インド・バラナシ
私はよくインドを旅してきた。バラナシ(ワラーナシー)というヒンズー教の聖地を訪れると、ガンジス河の火葬場(マニカルニカー・ガート)で薪の火で遺体が焼かれる様子をじっと見る。この前見たのは若い女性の遺体だった。二時間半程度で焼かれて気体と煙と灰になる。灰は河に流される。焼け残りを野犬がねらっている。インドのヒンズー教徒にとって火葬されて灰をガンジス河に流してもらうことが理想なのだ。
遺体は焼かれるとその六〇 %程度をしめる水は水蒸気になって飛び去る。タンパク質や脂肪のほとんどは二酸化炭素と水(水蒸気)になってやはり飛び去る。煙には二酸化炭素と水までならない分解生成物がふくまれているだろう。灰には崩れた骨や体内のミネラル分の炭酸塩などがふくまれているだろう。こうして空中や水中にばらまかれた原子たちは、どこかでまた別のモノの構成原子になっていく。例えば、木の葉の一部、魚の体の一部、ゴキブリの体の一部、他の人間の一部として。それらの新しい場所も原子たちの仮の宿である。原子たちはほとんど永遠に、なくなることなく地球のなかでぐるぐる巡回している。私たちの体をつくっている原子たちは、宇宙で生まれ、いろいろな変化をくぐって今ここにいる。
■南米・ポトシ銀山
私は、二〇一三年の南米旅行の際にポトシ鉱山を訪れた。ざるの上に山盛りのコカの葉売人がやってきた。銀山で働くインディオは昼食を取らずに働き続けるが、入坑するときに頬一杯にコカの葉を詰め込んで、そのエキスを飲むことで空腹感を忘れ、疲労感や眠気をなくし、八時間働き続けたという。これは今も続いていることだ。
ヘルメットなどをつけて坑道にも入ってみた。入り口からすぐの坑道をしばらく歩いた。ポトシ観光の目玉だ。しかし、観光客に開放されている坑道からは当時の悲惨な労働はイメージできなかった。BY世界史は化学でできている一次原稿
◎左巻健男のおすすめ旅(2014記)
もっとも回数が多いのは、もちろん自宅や勤務先のまわりの小さな旅だ。野田市の清水公園周辺、江戸川堤を上流へ(関宿城博物館あたりまで)、都立小金井公園・多摩湖自転車道を多摩湖・狭山湖へ。京都勤務時代は、京都各地を歩いたりサイクリングしたり。
期間が長かったのは、旧東海道と旧中仙道を歩き通した旅だ。旧東海道は16日間。旧中仙道はもっとゆっくり歩こうと思い22日間。
思い起こせばいろいろなところを旅した。
ぼくが自然系で何度か行っているところをあげてみよう。
1回でも行ったことがあるところを入れると、この何倍かになるだろう。外国も、いろいろなところへ行った。好きなところは何度も行っている。
以下は、ぼくのおすすめだ。
【九州・沖縄】雲仙岳・阿蘇・奄美大島・屋久島・沖縄やんばる・西表島
【中国・四国】大山・隠岐・龍河洞・秋芳洞・秋吉台・三段峡・鳴門の渦潮
【近畿】琵琶湖・鴨川・深泥池・哲学の道・高尾・六甲山・有馬温泉・熊野古道・大峰道(大峰奥駆け道)
【中部】佐渡・糸魚川ジオパーク・野尻湖・黒姫山・上高地・槍ヶ岳・八島湿原・青木ヶ原樹海・西沢渓谷・立山黒部アルペンルート・一乗谷
【関東】奥日光・戦場ヶ原・尾瀬ヶ原・至仏山・燧岳・ 那須 ・ 茶臼岳 ・妙義山・長瀞・城ヶ崎自然研究路・養老渓谷・清澄山・玉川上水30 kmを歩く・高尾山・川乗山・伊豆大島
【東北】白神山地・五能線・下北半島・岩木山・十和田湖・奥入瀬渓流・象潟・鳥海山・龍泉洞・三陸海岸・月山・飯豊山系・朝日連峰・五色沼自然探勝路・磐梯山
【北海道】知床・網走などで流氷・礼文島・利尻島・富良野の東大演習林・大雪山系・寿都・積丹半島


