左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

うま味調味料(商品名味の素)の風評は根拠なし+昔「化学調味料」と呼ばれた理由

○5番目の基本味ーうま味
 2000年(平成12年)、マイアミ大学の研究チームが、舌の味蕾と呼ばれる部位にグルタミン酸の受容体があることを発見したのです。これによって、人間が「うま味」を感知していることが、科学的に立証されました。
 味覚の研究が進んで、4つの基本味だけでは味覚を説明することができないことに気づき、「うま味」が独立した基本味であることが立証されたからです。

 

 池田菊苗はうま味という味を提案していました。そこで、うま味は「Umami」として国際共通語になったのです。


 現在市販されているうまみ調味料には、グルタミン酸ナトリウムと、イノシン酸ナトリウム(カツオ節のうま味成分)またはグアニル酸ナトリウム(シイタケのうま味成分)がふくまれています。グルタミン酸ナトリウムは「アミノ酸系うまみ物質」、イノシン酸ナトリウム・グアニル酸ナトリウムは「核酸系うまみ物質」です。「アミノ酸系」と「核酸系」を混ぜて使う理由は、合わせると、それぞれ単独で味わったときよりも一層おいしく感じる「相乗効果」が確認されているからです。

 

○発酵法でつくっている
 かつては、化学調味料といわれました。これはNHKグルタミン酸塩を扱ったとき商品名が出せないので使われた言葉です。しかし、化学調味料という言葉は、人工的なイメージを与えるので、現在ではうま味調味料が使われています。

 

 うま味調味料は、化学合成ではなく、発酵法でつくられています。味噌やしょう油などの発酵食品のように天然素材で微生物の力を借りてつくっています。
 具体的には、サトウキビからの糖蜜を原料に微生物でアミノ酸に変えたり、酵母核酸を用いて量産しています。

 

○うま味調味料への風評には根拠無し
 うまみ調味料に関して世間の風評としては、1950年代には「とると頭がよくなる」といわれ、その後60年代末から一転して「体によくない」といわれるようになりました。「頭がよくなる」といわれた根拠は、グルタミン酸が脳内神経伝達物質であり、脳内にたくさん存在することが確認されたためといわれます。また、同じ理由から幼児の脳に影響を与えると考えられたのです。食べたり飲んだりではまったく異常が見られないことが、確認されています。

 

 もう一つ、グルタミン酸ナトリウムがふくまれた食事をとった後、一過性の頭痛や胸焼け、手足のしびれ、だるさなどが生じるとして騒がれたことがあります。米国ボストン近郊の中華料理店で、グルタミン酸ナトリウムを大量に添加したワンタンスープを摂取した後にこの症状が起こったことから、「中華料理店症候群」と名づけられました。これについて追試が行なわれた結果、グルタミン酸ナトリウムが原因ということは科学的に明確に否定されています。


 うま味調味料は、少量で味わいが増し、食塩の摂取量を抑えることができるという利点があります。その毒性を気にすることはしないでいいのですが、何にでも使うと、その味に慣れてしまい、食ベ物本来の深い味わいから遠ざかるのは問題かも知れません。コンブやカツオ節などにふくまれているうま味成分とまったく同じものですから、うまくつきあうことをおすすめします。

 

*なお、「味の素」の手先ではありません。