左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

厚労省が認めていない免疫治療(自由診療)に要注意!

叶井俊太郎さん「死んでから書いてくれ」 生前語ったモテっぷりと500万円の延命治療
「がんの標準治療を選択せず、厚労省が認めていない免疫治療を受け続けた。この治療で分割払いは不可だったと言い「500万円」かかったと明かした。」


※以下は今書いているニセ科学本の原稿をもとにしたもの。


●がん治療はまず標準治療を
「多くの場合は『標準治療』を受けることが、最もよい選択です」(国立がん研究センターがん対策情報センター)。おもに手術、薬物治療、放射線治療です。


 免疫を利用してがんを攻撃する免疫療法があります。免疫療法で勧められるのは、標準治療になったものです。免疫チェックポイント阻害剤、遺伝子導入T細胞療法、サイトカイン療法薬、膀胱がんに対するBCGがあります。これらは有効性のエビデンスにより保険が使えます。


 世には、免疫細胞療法をうたう活性化リンパ球療法(患者血液から採取したリンパ球を増殖、活性化させて、患者体内に戻して、その免疫細胞でがんを叩こうというもの)のようなものがあるので注意が必要です。

 他にも注意が必要な治療法には温熱療法、健康食品やサプリメントによる治療などがあります。これらは、科学的に効果不明です。保険が使えない自由診療になります。


●がん細胞は免疫にブレーキをかける
 がん細胞は免疫にブレーキをかけて、免疫でがんを攻撃することを妨害します。

 免疫チェックポイント阻害剤は免疫ががん細胞を攻撃する力を保つことで、遺伝子導入T細胞療法は、免疫が攻撃する力を強めることによってがん細胞を叩きます。しかし、標準医療になっていない、あるいは研究段階でもない活性化リンパ球療法のような免疫療法では、それらができないので有効性がないのです。


●いんちきがん治療特徴―こんなアピールをしていたら要注意!
・○○免疫クリニック、最新○○免疫療法…免疫という言葉で迫る
・○○%患者に効果…藁をもつかもうとする患者に高い確率で治るとする、あるいは「治る」「消える」「副作用がない」と断言
・体験談やよく効いたという事例満載
・奇跡○○治療、末期がんからの生還


●保険が効かない…自由診療、高額は要注意!
 特別な治療法だとうたう場合もありますが、科学的に有効性がある治療法なら標準治療になっているはずです。

 また、研究段階(臨床試験や治験)なら研究が遂行できるちゃんとした機関で行われて、お金はあまりかからないはずです。