昨日、大学で入試絡みの仕事の一つを終えて書店に寄りました。
アメリカの旅行ガイドを何冊か比べて1冊を買いました。3月に研究視察でアメ
リカの科学教育研究会(NSTA)に参加しようと思っているからです(フィラデル
フィアで3月18-21日の開催)。
さらに本や雑誌をみました。『がんで「困った」ときに開く本2010』(朝日新
聞出版)が目に入りました。
先日、大阪大学中之島センターを会場に開いた「ニセ科学フォーラム2009」
で、ぼくは「教育界のニセ科学」を話しました。「水からの伝言」の写真集、EM
(微生物資材、高温でをEMを焼き込んだセラミックス、EM-X清涼飲料水など広範
囲)、仮説的な放射線ホルミシスを真実のようにして「放射線は体に良い」等、
教育界のニセ科学には、TOSS(教育技術法則化運動)が絡んでいることが多いこ
とを話題にしました。
ニセ科学フォーラム2009のテレビのニュースを見て、ぼくに質問してきた女性
がいました。「連れ合いのおじいちゃんが、がんの手術をしてから、がんが再発
しないように5年間ずっとEM-X清涼飲料水を飲んでいましたが、がんが再発しま
した。ニュースで背景にいろいろなニセ科学のところにEMというのがあって説明
があるのかと思って見ていましたがありませんでした。どうなんでしょうか。」
という質問でした。
ぼくは、歯切れ悪く応対したのですが、相手の人はちゃんと理解していただい
たようです。あとは、相談者と連れ合いの人の判断だと思います。
EM-X清涼飲料水は、抗酸化作用をうたっていますが、現在では抗酸化性も毒に
なることもあることが知られています。また、「水分クラスターが水道水の半
分」(『比嘉照夫のすべて』サンマーク出版)などというニセ科学丸出しの説明
も見られます。そういうものが「ガンはもとより…あらゆる疾病の改善に対して
の著効が認められている」(同上書)と宣伝されています。
そんなことがあったので、先の本を書店で開いて、「健康食品やサプリメント
は本当に効くの?」などの回答を読み、この本はまともと思いました。
健康食品などで免疫力アップでがんに効くという療法は、代替医療と呼ばれま
す。そういえば、「水からの伝言」関係の著作者は、アメリカの某非認定大学
(ニセ学位を販売している「大学」)の代替医療博士号を名刺に入れています。
RikaTan(理科の探検)誌(文一総合出版) http://rikatan.com/ は、4月
号から1年間、ニセ科学フォーラム2008で発表いただいた小内亨さん(おない内科
クリニック)に健康系・医学系のニセ科学について連載をしていただきます。
また、ニセ科学フォーラム2009で発表いただいた藤田一郎さん(大阪大学。
脳科学)に7月号から3回脳科学の迷信について連載をしていただきます。
期待して下さい。