左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

大人のやりなおし中学化学と中学物理の2冊を書いたわけ&その後

 どうも世の中は「○か×か」という二者択一的な単純思考がまん延している。世にはさまざまな重い政治的な課題が多々あるのに、そのうちのほんの一部の「郵政民営化に賛成か反対か」だけで政治家を選んだというのはその典型的な例である。


 単純思考ではなく、論理的に考えるというのは、少し面倒ではある。良質の基本的知識とその活用の技も少々もっていなくてはならない。そして表からだけ見て考えるのではなく、裏からも横からも見て考えなくてはならないのだから。ニセ科学は、単純思考のまん延のなか、科学っぽい雰囲気だけは出して、論理力が弱い単純思考者に迫り、お金をせしめようとしているわけだ。


 今、学校の理科でも、出版などのメディアでも、科学を伝えるときにもっとも欠けているのが「理解と納得」だ。理解と納得無しで覚え込んでもそれはすぐに剥がれ落ちる。本当は、もっと納得できるように、もっと身につくように、つまりもっと知的におもしろく、知が力になるように学びたいのではないか。科学新書は、教養系にしても実用系にしても、知的におもしろく、知が力になるような展開ならもっと読まれるはずだ。市民として様々な判断をするにしても、生活や仕事でも、科学リテラシー(科学常識とその活用の技)の必要性が増している状況がある。


 そう強く考えるようになったのは、検定外理科教科書づくりの経験からである。現在の学校理科の教育課程に不満を感じ、もっと知的におもしろい教科書を文部科学省の学習指導要領や教科書検定を気にせずに有志2百人とチャレンジしてつくりあげたものだ。その『新しい科学の教科書』(文一総合出版)は全巻合わせると20万部を超える部数になった。新書版で出した『新しい高校化学の教科書』(講談社)など4巻も好評だ。「大人のやり直し教科書」としての読者がたくさんいる。それならはじめから「大人のやり直し教科書」として中学物理と中学化学を新書にしたらどうか。だから、今、大人向けの中学物理と中学化学の2巻の新書を書いている。どんな科学新書も中学レベルの理科からスタートしないと理解と納得は得られないだろうと確信しているからでもある。
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 以上の原稿を書いたのは、大人向けの中学物理と中学化学の2巻の新書を書いているときだった。その2冊は、すでに『大人のやりなおし中学化学』と『大人のやりなおし中学物理』として発行されている。ソフトバンククリエィティブのサイエンスアイ新書である。


 昨年暮れに『大人のやりなおし中学地学』の原稿をソフトバンククリエィティブに渡した。そして先日、高校生物教員だったツレと書いた『大人のやりなおし中学生物』の原稿を渡すことができた。