工業高校工業化学科の生徒だったときに、川に金属ナトリウムの大きな固まりを投げ込んだ。大きな水柱があがった。
教師に灯油が飛んでがさがさになったナトリウムが何本か入ったびんを渡され、その処理をするように言われたからだと思う。(このあたりの記憶は曖昧である。)
初めに小さなものを投げ入れ、次いで大きな固まりを投げ込んでいった。
ナトリウムは、小豆粒大くらいなら水と反応してすぐに爆発、ということはないが、大きな固まりだと爆発する。これは、ナトリウムと水の反応によって発生した水素による爆発と説明されることがあるが違うようである。ナトリウムが反応熱で融解し、温度が上昇するが、表面は水酸化ナトリウムを主成分とする皮膜で覆われているので、600〜800℃になると、皮膜は融解し、内部のナトリウムが水と直接接触して爆発がおこる。この爆発には、高温の融解した金属と水との接触による衝撃波の発生が大きく関与していると考えられている。
ぼくのいた高校では校庭を川が流れていたのでやってしまったのだが、大学ではナトリウムの固まりを並べて、ホースで水をかけた。爆発して散り散りになったナトリウムがあちことで発火した。
以来、ぼくは、金属単体やモノたちに強く惹きつけられたまま大学、大学院にすすみ、化学を学んできた。大学院では、白金の仲間を触媒としていじっていた。
各人それぞれのモノとの出会いがあって理科の教員をやっているんだろう。金沢の四カ浦さんは、金箔に魅せられ、それをきっかけに様々な金属箔の世界を彷徨し、今では博士課程で金属をつくりだすバクテリアの研究をしている。
ぼくにしても、今でも金属の世界が好きだ。