左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

「EM菌入り容器の上に置かれたウイルスがそのEMにより失活する」という荒唐無稽さ

●EMの入った密閉した容器外のウイルスが失活をDNDサイトに載せたことは真正のおばかと書いた理由。


 DNDサイトに掲載されたEM開発者の比嘉照夫氏のコラム「第77回 EMの抗ウイルス効果」には、“今回の実験結果のように、pHを基準とすれば、有機酸の類いであれば効果があり、EMによる独創的なものではないという声もある。確かに、pH4.5以下ではウイルスの失活効果も高いということも充分に承知の上でEMにpHのみの効果でない事例が無数にあることを補足したい。”という記述がある。


 ぼくが問題にしたのは、“EMにpHのみの効果でない事例が無数にあることを補足したい。”として、“その第1は、EM1号の入った容器の上でウイルスを培養すると、EM1号が添加されたのと同様にウイルスが失活するということである。”という部分である。


 これが何を意味しているかいうと、EM1号(EMには各種商品があるが一般に「EM」と証されているのがこれである)とまったく接触しないでその容器の上に置かれたウイルスが失活するというのである。


 ウイルスの失活とは、ウイルスが死んだり弱ったりして、感染能力や病気を起こす能力を失わせることである。加熱処理、極端なpHの溶液に曝す(強酸性や強アルカリ性にする)、高エネルギーの電磁波(紫外線やガンマ線)に曝す、消毒薬に曝すなどで失活する。


 比嘉氏のものを出口氏が掲載した記事では、これらのことをしないで、容器の上に置いただけで失活するというのは本当に馬鹿げた話である。


 それを信じて、そのまま掲載するのは出口氏の余りにも低い科学リテラシーと認識した次第である。
 学界に身を置き、まともなジャーナリストなら、その文章を信じないで比嘉氏とやりとりをして、場合によっては書き直しをしてもらうだろう。


 比嘉氏は“事例が無数にある”はずなのに、EM関連でそのような論文を検索しても見つからなかった。原告が、無数の事例の存在を認識し、被告から見て余りにも荒唐無稽な主張でも根拠があると認識していたとしたら、それら無数の事例を知りたいものだ。