後藤健夫さんから「日本はPISAではトップグループなのに大学はそうなっていない」という問いかけがあった。
さっきぼくがしたコメント。
「東アジア型の知識詰め込み教育には一定の効果があり、PISAもペーパーテストである限りその効果が発揮できてしまうという限界がある。ぼくはここ何回か、PISAの理科の日本の結果が出るたびに朝日読売産経日経共同通信あたりでコメントを依頼されて報告書を読んできた。
PISAの限界をよく考えないと。
今後高校入試、大学入試はPISA型になっていくが、それで測れているのは能力の一部に過ぎないことを理解しておく必要がある。」
結局の所、ありきたりであるが、理科教育で大切なことは、自然科学の基本的な事実、概念、法則を具体的な事物や実験やものづくりを通して、知的に興味深く学ばせることであると思う。
そこでは、「自然科学の基本的な事実、概念、法則とは何か?」が問われよう。
ぼくは自分の理科授業論を今に出す予定だ。原稿は編集者に渡してある。
『おもしろ理科授業の極意』(仮題 東京書籍)。
詳しくはその本を見てほしい。
内容構成は次のようだ。
*編集で変更の可能性はある。
『おもしろ理科授業の極意』(仮題 東京書籍)
【第一部】授業の技・授業編
1章 おもしろ理科授業への招待
A アクティブな学び手を育てる「おもしろ理科授業」
B おもしろ理科授業への道
C おもしろ実験の個人史
2章 理科好きにするための理科授業のポイント
3章 おもしろ理科授業の決意
4章 おもしろ理科授業の条件
5章 課題方式の授業のやり方
A 影響を受けた玉田泰太郎さんの課題方式授業
B 課題方式の授業のやり方
C 自分の考え・討論
6章 子どもの認知(認識)と学びのある授業
A 学びのある授業と学びがない授業
B 子どもの認知と素朴概念
C ヴィゴツキーの「発達の最近接領域」論
7章 教材研究の進め方と教材開発法
A 教材研究の進め方
B 古川千代男さんの教材開発法
8章 自然や理科の教員・指導者のために
A 理科が好きな子を育てる教員のために
B 凡人のための学習法
【第二部】授業内容編
1章 物の重さと密度
A 物と重さ(質量)の授業
B 空気の密度
2章 金属と磁石
A 金属の授業
B 磁石の授業
3章 液体窒素とドライアイスで物質の状態変化
A 液体窒素の授業
B ドライアイスの授業
4章 物質の状態変化
A 物質の状態変化の授業
B 気体の分子はバラバラビュンビュンの授業
C 塩化ナトリウムの融解の授業
D 「物質の融点・沸点の表」を活用しよう
5章 燃焼と爆発
A 炭素の燃焼
B スチールウールの燃焼
C 水素の燃焼・爆発
6章 化学変化
A 身のまわりの化学変化入門
B 分解・化合
C 酸化・還元
7章 水溶液・気体と酸とアルカリ
A 水溶液・気体
B 酸とアルカリの基礎知識
8章 イオン
A 「イオン」入門
B 塩化銅をつくって見せる
C 電池
9章 力の基本と力と運動
A 力とは何だ!?
B 作用反作用
C 力と運動
10章 電流回路
A 回路の基本
B 電流・電圧を実感
C 静電気超入門
11章 電流の働き
A 電流と発熱
B 磁界と電流
12章 エネルギーとエネルギー資源
A 仕事とエネルギー
B エネルギー資源−再生可能エネルギー
C 家庭の電気の旅
D 放射能・放射線・原子力
13章 植物−花と実(種子)
A 花と種子
B 実に見る花のなごり
C 栽培食物 チューリップ、ジャガイモとイネ
14章 植物のくらし−光合成と生活型
A 植物の生活にとっての光合成
B 植物の生活型
15章 生物−動物
A 生物とは
B 胎児はウンチやオシッコをするか
16章 天気の変化
A 天気のキホンのキ
B 天気の授業で子どもたちに話したい偏西風の話
17章 地球と宇宙
A 地球の歴史と地域の地形・地質
B 地球・月・太陽・太陽系
【第三部】理科教員の生き方編
1章 左巻健男の個人史
2章 おもしろ理科授業への道
3章 理科おもしろ実験の個人史
4章 理科教員の学習法
5章 中学生への理科の学習法アドバイス
6章 学校に広がるニセ科学問題