左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

干涸らびダイエットにご注意!

 大量の汗をかいて体重を落とすというダイエットがあります。サウナで、たくさん汗をかけば、かいた汗の分著しく体重が減ります。ウインドブレーカーのようなサウナスーツを着てジョギングしたり、やせたい部分にラップを巻いたりパラフィンをパックしたりして汗を出すダイエットでも短期に体重が減ります。


水は成人の体重の6割をしめています。6割が水というと、どんな感じでしょうか。
 おしぼりで、ベタベタと水がたれるほどではないが、完全にしめっている、という状態が約6割になります。
 でも人の体は、そのおしぼりのようにびしゃびしゃした感じがしないのは、皮膚がきちんと水を抱え込んでいるからです。体内の水の分布割合は、細胞の中に70%以上、組織と組織の間に約19%、血液のなかに約8%あります。


 ですから、体重50キログラムの人で30キログラムは水です。体の水を出し入れすれば簡単に体重が変動します。体内の水の出入りの体重の変化は非常に大きいのです。水を1リットル飲めば体重は1キログラム増加します。私は中学生に教えているときに、授業で「ジュース1キログラムを飲んだ後、体重計の目盛りはどうなるか?」を議論して、実際にやっていました。1キログラムのジュースを飲んだ直後は、ちょうど1キログラム体重が増えるのです。尿を五百ミリリットル出せば体重が五〇〇グラム減ります。


 しかし、単に、汗をかいて水分を失う形で体重が減っても、それは一時的なもので、水分を補給すれば元に戻ります。人は適正に水を摂取しないと健康に悪いだけです。汗をかいて体内の水を減らして体重を落とす方法は、単に干涸らびた体にするだけなのです。


 尿を出やすくする薬(利尿薬)を使ったダイエットも同様です。利尿薬の作用により水分が排出されるので一時的に体重は減少します。しかしこれは単に干涸らびただけで、脂肪そのものは全く減っていないので意味のあるダイエットとはいえません。むしろ、体内の電解質バランスが狂うことにより、不整脈、全身倦怠感、脱力等があらわれることがあるため非常に危険です。


 ダイエットは体重にばかり目がいきがちです。肥満の解消のためにダイエットをするのなら、過剰の体脂肪を減らすことが目的です。水を減らして体重を減らしても医学的な肥満は解消されません。


 ダイエットでは、細胞でのエネルギー発生を脂肪を使って行い、脂肪細胞を小さくしてやせないと駄目なのです。そのためには食事のバランスに注意しながら摂取エネルギーを減らすことがポイントです。ダイエットは、摂取エネルギーよりも消費エネルギーを増やす以外にないのです。


 ダイエットをすると、体は、少ない消費エネルギーでもやっていけるように体内のシステムを変わっていきます。これを防ぐためには、エネルギーを消費する筋肉を保持しておくことが必要です。そのためにもウォーキングなどの運動をすることが大切です。


 下手なダイエットをすると、ほとんどリバウンドします。下手なダイエットでは脂肪だけではなく筋肉も減ります。リバウンドすると、増えるのは脂肪だけです。したがって、ダイエットをしたことで、筋肉が減って脂肪が増えた体になってしまうことになります。リバウンドしないように正しい方法でダイエットをやらないと、ダイエットをしないほうがずっと健康によかったということになりかねません。