左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

「EM-X清涼飲料水を飲んでいたが、がんが再発」の質問があったのを思い出した

 『RikaTan(理科の探検)』誌2010年2月号の編集長エッセイに書いたこと(部分)。



 先日、大阪大学中之島センターを会場に開いた「ニセ科学フォーラム2009」で、ぼくは「教育界のニセ科学」を話しました。「水からの伝言」の写真集、EM(微生物資材、高温でをEMを焼き込んだセラミックス、EM-X清涼飲料水など広範囲)、仮説的な放射線ホルミシスを真実のようにして「放射線は体に良い」等、教育界のニセ科学には、TOSS(教育技術法則化運動)が絡んでいることが多いことを話題にしました。
 ニセ科学フォーラム2009のテレビのニュースを見て、ぼくに質問してきた女性がいました。「連れ合いのおじいちゃんが、がんの手術をしてから、がんが再発しないように5年間ずっとEM-X清涼飲料水を飲んでいましたが、がんが再発しました。ニュースで背景にいろいろなニセ科学のところにEMというのがあって説明があるのかと思って見ていましたがありませんでした。どうなんでしょうか。」という質問でした。
 ぼくは、歯切れ悪く応対したのですが、相手の人はちゃんと理解していただいたようです。あとは、相談者と連れ合いの人の判断だと思います。
 EM-X清涼飲料水は、抗酸化作用をうたっていますが、現在では抗酸化性も毒になることもあることが知られています。また、「水分クラスターが水道水の半分」(『比嘉照夫のすべて』サンマーク出版)などというニセ科学丸出しの説明も見られます。そういうものが「ガンはもとより…あらゆる疾病の改善に対しての著効が認められている」(同上書)と宣伝されています。

 健康食品などで免疫力アップでがんに効くという療法は、代替医療と呼ばれます。そういえば、「水からの伝言」関係の著作者は、アメリカの某非認定大学(ニセ学位を販売している「大学」)の代替医療博士号を名刺に入れています。
 本誌は、4月号から1年間、ニセ科学フォーラム2008で発表いただいた小内亨さん(おない内科クリニック)に健康系・医学系のニセ科学について連載をしていただきます。また、ニセ科学フォーラム2009で発表いただいた藤田一郎さん(大阪大学脳科学)に7月号から3回脳科学の迷信について連載をしていただきます。期待して下さい。
(以上)