カール・セーガンは、著書『コスモス』の中で「途方もない主張には、途方もない証拠が必要である。」と語っています。
ニセ科学は、通常の科学から見て「途方もない主張」をすることが多いものです。
たとえば、第一章で扱った「EM菌」を思い出してみましょう。
私は、EM菌を信じる人と話をするとしたら、次のように言うでしょう。
「1200 ℃でも死滅しない? それはすごい微生物群ですね。それはきちんと検証されているのですよね?それならちゃんとした学術雑誌に発表されていますね?」
「EM菌を入れた密閉容器の上のウイルスは失活する? それはすごい結果ですね。それはきちんと検証されているのですよね? それならちゃんとした学術雑誌に発表されていますね?」
この2つだけでも事実ならば、これまでの生物学などをひっくり返すほどの衝撃を与える主張です。ちゃんとした学術雑誌に発表され、さらに追試もクリアして、科学の世界で認められるようになります。しかし、これらの「途方もない主張」は、ただ主張されるだけです。「途方もない主張には、途方もない証拠が必要である」のに、「途方もない証拠」が弱いのです。
もし、本気で「途方もない」主張をするなら、その人こそ疑問の余地のない実験などの検証をすべきです。