左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

リーブ21の裁判から考える(『リーブ21の真実』という本にも「波動」)

 もう半年以上前の話だが、「発毛効果ほとんどなかった−毛髪クリニック リーブ21の訴訟 - 2008年2月8日」という記事があった。
 ☆が記事の本文、★がぼくのコメント


☆「必ず生えてくる」との勧誘を信じ発毛サービスを受けた大阪府内の男性(58)が、効果がほとんどなかったとして、業界大手「毛髪クリニック リーブ21」(大阪市中央区)に慰謝料など約830万円の損害賠償を求めた訴訟が、同社が解決金430万円を支払うことを条件に大阪地裁(平林慶一裁判官)で和解していたことが分かった。
 訴状によると、男性は01年4月、同社のチラシをみて「頭頂部が薄くなって久しい」と相談したところ、従業員から「大丈夫。必ず生えてきます。発毛には3年を要する」などと言われて契約した。05年5月まで週2回のペースで施術を受けたが、細い毛が少し生えた程度の効果しかなかった。06年1月に提訴した。
 同社は訴訟で「効果には個人差があると事前に伝えていたし、広告にも明記している」と反論したが、地裁の和解勧告を受け、契約金の約9割にあたる解決金を支払うことで和解した。
 同社広報部は「男性も一定の効果は認めており、効果はあったと考えるが、結果的に強い不満を持たれた男性の意思を尊重した」としている。【2月6日11時37分配信 毎日新聞


★ぼくの手元には、『リーブ21 超発毛の真実』(日本発毛理学研究所編 ガイア出版 2005.3第一版第2刷)という本がある。
 本の参考文献に山野井昇『イオン体内革命』があるし、本文にも「オゾン」と「マイナスイオン」を出す「最先端の毛髪発毛育毛装置」(オゾン代謝システム)とやらがある。
 さらに参考文献には高校化学の参考書も。
 著者は化学や生物が苦手なようで、「オゾンは体の外、皮膚では有益」で、皮膚は弱酸性に保たれているがオゾンの酸化力で殺菌や皮膚のpHバランスに役立つなんて述べている。ぼくは「皮膚常在菌まで殺菌してどうするんだよ!」「酸化力と酸性は別だよ!」と突っ込みたい。オゾンは体の外でも、悪さをすることぐらい認識して欲しい。
★リーブトニック液は、「アルファ水」が用いられていて、その水には「特殊な波動」を持たせてあるという。波動のエネルギーで細胞活性化だって。(水の別売もしている。)
★本で「肉や魚の動物性タンパク質はほとんどすべて酸性食品」として非難。「酸性食品」「アルカリ性食品」の分類は古い栄養学で今は一笑にふされるようなもの。
★本では「天然自然礼賛」。「合成洗剤は石油系で悪で石鹸は自然のもの」など。
★『リーブ21 超発毛の真実』にはスタッフ5人の話がある。自信を持って「必ず生えますから安心して下さい」と伝えるという。
 本には「どんな重症の脱毛症でも髪は甦る」という章がある。そこに先ず出てくるのがオゾンとマイナスイオンの機器。
 以上、『リーブ21 超発毛の真実』からだが、こんな理論を信じる人は、あまりにも科学的リテラシーが低いのではないか。
 本には載っていないが「波動検査」で体質を調べているとのこと。その結果から「ミネラル」「亜鉛」「マルチビタミン」などのサプリを勧められるようだ。「インチキ波動」「ニセ科学波動」がリーブ21の中心理論ではないか。

 
 ここで記事について。、
★本にあるようにスタッフは、「必ず生える」「どんな重症の脱毛症でも髪は甦る」と言うことになっているようだ。
 どうもこれは伝聞だが男性には毛髪分析とやらで「脂漏性 粃糠性 男性型」のセットで圧力をかけ、2年、3年のコースを勧めるらしい。
 莫大なお金がかかるが(さらに時間も)、「改善されなかったら返金」といううたい文句。しかし、記事にあるように、「細い毛が少し生えた程度」でも改善されたとして返金しないわけだ。伝聞によれば「抜け代わりに新しい毛が生えてくる(つまり現状維持)」でも発毛にされるらしい。それなら100%近いのは当たり前。それで90何%かの発毛率になるのだろう。


【過去ログ】2009-05-11
リーブ21の過去ログ(リーブ21は「波動」系ニセ科学と思う)
http://d.hatena.ne.jp/samakita/20090511/1242000489
2009-04-10
リーブ21は「波動」系ニセ科学と思う
http://d.hatena.ne.jp/samakita/20090410