左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

醤油一升一気飲みでなくなった事例を知りたい!

 新理科教育MLで「フッ素洗口法」スレッドで毒性が話題に。そこに
次を投稿しました。  
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 左巻健男です。

 戦中、「醤油の一升一気飲み」で徴兵逃れ、という話は有名ですね。
 腎障害、蛋白尿などの症状が出るのでしょう。

 さて、醤油を飲んで、実際になくなった人はどれほどいるのでしょうか。
 「事実」として、一命を取り留めた症例やなくなった場合を知りたく
思います。
 *「水中毒」でなくなった事例は、拙著『水はなんにも知らないよ』
ディスカヴァー・トゥエンティワン )に入れました。

 塩化ナトリウムの中毒症状には「嘔吐」がありますから、嘔吐したなら
なくならないと思います。
 塩化ナトリウムのヒト推定致死量は0.5〜5 g/kgとのことですが、致死
量の計算だけでは実際はわかりませんね。

 小児が塩・醤油を誤飲する場合も少くないそうです(日本中毒情報セン
ター)が、その場合催吐が一番有効とのことです。とくに摂取後30分から
1時間であれば。
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  『中毒研究6』69-72 1993 に佐藤幸治「醤油多量飲用による食塩中毒
の1例」という症例報告がありました。
 
 43歳男性が自殺目的で醤油約600mLを飲用。その後意識レベルが次第に
低下。顔面けいれん、全身けいれんが出現、びまん性に大脳が膨張、脳室
が圧排、第5病日目脳浮腫が進行しており、脳槽は消失し、中心性ヘルニア
をきたし、脳死状態に。

 過去の食塩中毒例では胃洗浄を高濃度食塩水で行った例、嘔吐をさせる
ために食塩水を多量に飲用させた例、つまり医原性のものが多いとのこと
です。