ブラック企業とは、著しく職場環境が悪く、従業員が精神的、または肉体的に追い込まれていく企業のこと。
20人のサラリーマンに取材。事業者金融、リゾート物件販売、先物取引会社、消費者金融、シロアリ駆除会社、零細出版社、催眠商法会社、大手ファストフード店…など読む前からどんな会社員生活かイメージできる、ブラック企業だ。
しかし、そのような見るからにブラック企業以外にも、有名な一流企業といわれる会社だって、その側面をもっているようだ。
「はじめに」に著者がいうように、「ブラック企業はどこにもある。」「今や多くの企業がブラック企業化し始めている。」
本書には「私立高校教師」もある。
ぼくは大学院生のとき、都内の某大学系の私立女子高で非常勤講師のアルバイトをしたことがある。ぼくは講師だから参加はしていないが、そこでは朝の打合せは、みんな直立不動の姿勢で理事長だか校長から伝達されていたのを見た。ぼくは「嫌だなあ」と思った。結局、ぼくはあることで学校の方針とぶつかって辞めた。
当時、管理主義教育で有名な県の教員採用試験は受けなかった。私立も受けなかった。ぼくのような自由人(未熟なので自分勝手人というほうがよいかもしれない)は、管理が厳しい私立学校や県ではやっていけないと思ったからだ。
公立中教諭から国立中高教諭になり、地方公務員、国家公務員として教員生活を送った。
その間に、私立中高でも、公務員教員より条件がよい学校がたくさんあることを知ったが、ブラック私立のこともたくさん見聞した。
よい学校は、労働条件がよく(給与がよく、労働時間や労働密度が小さく、かなり自由に教育ができる)、教員同士の関係もよい。東大附属にいたとき、そういう私立に移らないかと言われてちょっと心が動いたことがあった。、
本書の「私立高校教師」編には、「まるで北朝鮮のような職場」とあった。
理事長の権力がよい方にはたらかずに、北朝鮮のような完全独裁で横暴。授業は週に23コマ。23時まで勤務が続くのが当たり前。
きっと大学にも、ブラック大学があるだろうな。
もう消えてしまったが、某看護系大学で前の大学を辞めて異動する予定だったのに、その直前でその大学が不採用になり、前の大学にも戻れなかった、という酷い話がWEBにあった。調べてみるとその関西の某大学は、本当に酷い大学のようだった。
知り合いが某私立大学から国立大の任期制職(再任は何度でもOK)にいた。彼は、某私立大学では、いつクビを切られるかわからない短期の任期制職だった。それにいわゆるFランクで、定員割れをいつも恐れる大学だった。教員も学生募集に駆け回らなければならなかった。それで同じ任期制職でも国立のほうがいいと異動してきたのだった。今は別の国立大で任期のない職についている。
幸いなことにぼくはブラック私立高校やブラック私立大学に勤めずにすんだ。
勤めてきたのはなかなかよい中高や大学ばかりだった。
しかし、ひと頃、どんな大学でも移ろうかな、と思った時期があった。そのときなら、ブラック私立大学へでも異動していたかも知れない。ただただ運がよかっただけである。
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【追記】本書の「私立高校教師」編の「S高校」だが、「もしかしたらあそこかな」と思う高校が頭に浮かんだ。
公立中学校教諭のときに卒業生が野球で推薦入学したが肩を壊したら中退していた高校。ネットで調べたらどんぴしゃり。そこ出身の知り合いがそこで教師になっているけど大丈夫かな。