左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

Daigoの広告で話題になった「のむシリカ」などシリカ水をちょっと検討してみよう→「老化予防によい」「美容によい(肌のハリなど)」といわれているが、販売側が述べているだけ

 先ず結論を書いておきます。
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シリカ水には健康によいというはっきりした根拠はない
・「老化予防によい」「美容によい(肌のハリなど)」といわれているが、販売側が述べているだけ
・通常の食品(野菜など)から摂取は問題はないだろう
シリカが多く含まれているものを摂取すると腎結石の可能性
・犬の場合、シリカ尿結石に
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*前向きコホート研究、RCT、メタアナリシスの研究結果を示しての反論を歓迎。

 

 メンタリストのDaiGoが路上生活者(ホームレス)や生活保護受給者を差別するような発言をしたことでネット上で大炎上しました。
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 DaiGo「僕は生活保護の人にお金を払うために税金を納めているわけではない。だったら猫を救ってほしい。生活保護の人が生きていても僕は得しない。…自分にとって必要がない命は僕にとっては軽い。ホームレスの命はどうでもいい。…ホームレスっていない方がよくない? 邪魔だしさ、臭いしさ。…犯罪者が社会の中にいるとみんなに害があるでしょ? だから殺すんですよ。同じですよ」
 この発言への批判に対して、DaiGoは「個人の感想に間違いもクソもない。謝ることでもない。…ホームレスとか生活保護の人たちに炊き出しとか定期的にやったりしてるんですか? はるかに税金を払っているので僕の方が助けている」と反論。しかし、後に謝罪。
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 私には、DaiGoの「(批判している人より)はるかに税金を払っているので僕の方が助けている」ことが、彼が「のむシリカで120歳まで生きる」という広告による多額の収入(多額かどうかは推測)を得ていることと重なった。
 ということで、「のむシリカ」などのシリカ水を検討してみようと思いました。

 

 シリカとは、二酸化ケイ素やケイ酸塩のことです。メインは二酸化ケイ素です。水に溶けにくいのですが、わずかは溶けます。
 地球の地殻をつくる岩石や土に二酸化ケイ素は多量に含まれています。植物は根から水に溶解した形態のシリカを当たり前に吸収しています。私たちは野菜を食べることで自然に摂取しています。


「老化予防や美容によい(肌のハリなど)」といわれていてもはっきりした根拠はありません。販売側が述べているだけです。

 

 シリカは人の体内の微量ミネラルとして、骨づくりに働きますが、現時点では必要量が明確でありません。どのくらい摂ればよいかがはっきりしていないのです。普通に食事していれば摂れる量でよいということと考えられます。

 

 骨づくりに働くので骨粗鬆症に対して有効性が示唆されるデータがあります。

 

 しかし現時点では、「のむシリカ」などシリカ水は機能性表示食品にも認定されていませんから、「水を飲む選択肢」の一つにすぎません。

 

 通常の食品から摂取するのはおそらく安全です。しかし、例えばシリカの含有量の多い食品を摂り続けて、腎結石が生じたという事例の報告があります(参考:(独)国立健康・栄養研究所素材情報データベース「ケイ素」)。
 次は犬のケースですが、人でも十分考慮すべきことでしょう。
 鹿児島県の犬にはシリカ尿結石というイヌでは珍しい病気が多発し、この原因が他地域と比べてシリカを著しく高く含んだ飲料水である可能性が示唆されています。

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(田崎 由実, 三浦 直樹, 桃井 康行「鹿児島県で多発するイヌのシリカ尿石についての緊急調査」ペット栄養学会誌 / 日本ペット栄養学会 [編] 2012 年 15 巻 1 号 p. 7-11)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan/15/1/15_7/_article/-char/ja/
シリカ結石はイヌではまれな尿石とされている。今回、我々は鹿児島県を中心にシリカ尿結石について疫学調査を行った。その結果、鹿児島県内の獣医師やオーナーに対するアンケート調査において、鹿児島県を中心とする地域でシリカ尿結石が多くみられ、その発生の要因として飲料水との関係が示唆された。そこで鹿児島県内の水道水中のシリカ濃度を測定したところ、他地域と比較して著しく高値を示した。またミネラルウォーターについても同様に、鹿児島県が採水地の製品でシリカ濃度が高値のものがあった。実験的にシリカを高濃度に含む水道水の飲水により尿中シリカ濃度の上昇は見られなかったが、疫学調査から、シリカ濃度の低い水を飲水として使用することがシリカ結石発生の予防となると推測した。

(田崎 由実, 伊藤 源太, 三浦 直樹, 田中 美穂, 桃井 康行「イヌにおけるシリカ結石の誘発因子と予防」ペット栄養学会誌 / 日本ペット栄養学会 [編] 2013 年 16 巻 2 号 p. 61-66)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan/16/2/16_61/_pdf/-char/ja
これまでの研究で、我々は鹿児島県においてシリカ尿結石のイヌが多くみられること、及び県内の水道水中のシリカ濃度は他の地域に比べて著しく高いことを報告した。シリカ結石の発生原因として、飲料水との関連性が示唆されたため、今回、国内のいくつかの地域の水道水中シリカ濃度を測定した。その結果、大分県竹田市茨城県筑西市付近でシリカ濃度が高いことが判明した。また、シリカ結石が好発している鹿児島県霧島地方の水について高速原子衝撃質量分析(FAB-MS)を用いて解析したところ、シリカ濃度が1mM以上であるにもかかわらず、イオン状に溶解しているシリカが少なく、シリカを析出した後にみられる水の特徴と一致していた。シリカ結石予防の方法としてRO膜型浄水器は水道水中のシリカを除去できるが、家庭に普及している家庭用浄水器では、シリカが除去されないことが明らかになった。また、シリカ好発地域以外のシリカ結石症の要因について調べると、特定のフードとの関連が示唆された。
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