左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

ナノ銀による放射能低減効果&板橋ホタル館累代飼育:阿部宣男vs松﨑いたる裁判(松﨑さんの勝利)判決にある「真実性,真実相当性等について」

   判決に、ナノ銀による放射能低減効果&板橋ホタル館累代飼育についての真実性が述べられている。その部分を紹介しておこう。

 松﨑さん勝利!:山の阿部宣男(元板橋区立ホタル館) vs 松﨑いたる(板橋区議)の裁判の判決が出た!
http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/04/02/095212

※読みにくいと思うので、ぼくが強調しておく部分を赤字太字にしておく。またところどころ行間を空けておく。

 【真実性,真実相当性等について ナノ銀記事について】

 ナノ銀に放射能低減効果があるとの主張は既存の科学の知識に反するものであること(上記1(2)ケ),原告らの研究においてもメカニズムが不明であるとされ(甲19二11頁),原研による検証試験ではかかる低減効果は認められなかったこと(上記1(2)ウ,キ)等の証拠により認められる事実並びに真実性の証明の対象に関する原告の主張を含めた弁論の全趣旨によれば,ナノ銀に放射能低減効果がないことについては,名誉穀損訴訟における違法性阻却事由たる真実性が認められるというべきである。


 原告は,被告が主張立証すべき真実性の対象は上由とは異なり,原告がナノ銀を使用して実施した実験によっては放射能の低減が確認されなかったことであるから,原告が行った実験結果そのものを虚偽だと被告が証明できない限り,真実性の証明とはならないなどと主張するが,「ナノ銀記事が原告自身の実験結果によってもナノ銀の放射能低減効果が確認できていないとの印象を与える」との主張が採用できないことは上記2(2)アで説示したとおりであるから,真実性の証明の対象に関する上記主張もまた,これを採用することはできない。付言すると,ナノ銀には放射能低減効果がないことが真実であるのに,誤った手法による実験を誤りに気付かずに行い,その結果から上記効果があると思い込んでその旨を社会に向けて発信しているという場合を想定すると,社会にとって重要なのはそのような発信の客観的な誤りを知ることであって,上記実験自体は価値がないものというほかはないから,かかる観点からも,原告の言説の虚偽性ではなく原告が行った実験結果そのものの虚偽性の証明を求める原告の主張は,到底採用することができないというべきである。


 また,ナノ銀の放射能低減効果についてインチキ等と評することについては,辛辣というはかない酷評であり,区議会議員という公職にある被告が選択する表現としては褒められるものでないとしても,被告が論評の対象としている原告の言説が扱っているのは,放射能という高度の危険性を有するものであって,誤った内容を断定して流布すれば,公衆に及ぼす危険は甚大なものとなるところ,原告はナノ銀に放射能低減効東があることを断定するかのような発信を繰り返し(上記1(2)ィ,オ),原告が提供した「ナノ銀による放射能除染技術」を用いたナノ銀ろ過セットが政治家らに配られるとともにルシオラで販売され,参議院本会議でもナノ銀に放射能低減効果があるとの報告の存在を前提とする質問がされるなど,一定の層から支持・期待されていた(上記1(2)カ,キ)等,その社会的影響力も無視できないものであらたことを考慮すれば,これに対する批判や反対意見が相当程度強い表現になること,はやむを得なかったというべきである。


 そして,ナノ銀記事の趣旨はナノ銀の放射能低減効果なる主張の虚偽性・非科学性を批判することにあると認められ,これを超えて原告に対する人身攻撃に及ぶものとは認められないから,正当な論評として許容され,違法性は阻却されるといえる。

 

【累代飼育に係る原告の説明が虚偽であることの真実性について】

 さらに,「ホタル館で飼育しているホタルは,平成元年に原告が採取した卵をふ化させ,以後,外部のホタルと交雑することがない状態で繁殖を続けたものである」との原告の説明が虚偽であったことや,かかる累代飼育による毎年のホタルの羽化数についての原告の報告が過大なものであったことは,本件DNA検査において,検体のゲンジボタル11個体中から5種類のDNA型が見付かったが,福島県を生息地とするホタルのものは見付からなかったこと(上記1(1)テ),平成5年度ないし平成9年度の羽化数の報告は過大であったと原告が自認していること(甲202),平成26年1月の本件生息調査で確認できたホタルの幼虫はゲンジボタル2匹のみであったこと(上記1(1)ケ),平成26年度に羽化したホタルは211匹程度であったこと(上記1(1)ウ,チ,ト)等に照らせば,名誉毀損訴訟における違法性阻却事由としての真実性が認められるというべきである。


 これに対し,原告は,①ホタルの幼虫は,本件生息調査時には7万匹以上いたのに,同調査によって殺され流され,あるいは調査がずさんで発見できなかったのであるなどと従前より主張している(上記1(1)ケ)ほか,②本件DNA検査に関しては,平成26年2月以降ホタル館を管理するようになった本件センターが混入させたホタルが検体とされた面(8)27頁以下等)。

 

 しかしながら,上記①については,本件生息調査を担当した本件センターは,従前より,東京都足立区生物園に串けるホタル飼育を含め,多数の地方公共団体等から公園・施設の管理運営業務や生物飼育業務等を受託してきた実績を有していること(乙47),ホタル館におけるせせらぎは,ホタルの幼虫が流れ去ることがないような水流及び構造となっており,ピット手前には格子状のステンレスの網が設置され,ホタルの幼虫等が流れることを防ぐ構造となっていたところ,本件生息調査時には上記網を確認したものの,ホタルの幼虫が網にかかっている状況はなかったこと(乙2,47),仮に調査手法に多少の問題があったとしても,本件生息調査で実際に捕獲されホタルの幼虫の体長は25ないし30mm程度であり(乙2),他方,原告の主張・供述は変遷しているものの,幼虫を最も小さく述べる供述でも体長が6ないし8mm程度で,胴体の太さが1mm程度(甲201,202)というのであるから,かかる幼虫数万匹が流されるなどして全く発見できなかったなどとはおよそ考え難いこと等から,原告の主張は採用することができない。上記②についても,本件生息調査後のホタル飼育を担当した本件センターは,上記のとおりホタル飼育を含む多くの生物飼育等の実績を有している上,板橋区は本件センターに対し,ホタル館ではホタルが累代飼育されていることがアピールポイントであることを説明し,現存するホタルを根絶させずに飼育するように求めてこれが承知されていたこと(乙47)に照らせば,本件センターがあえて外部からホタルを持ち込んだなどとは考え難いから,原告の主張は採用できない。その他,原告は,本件生息調査及び本件DNA検査の信頼性についてるる論難するが,これらを逐一検討しても,いずれも原告独自の立論といわざるを得ず,採用できない。


 また,本件発言は区民環境委員会における被告の発言であるところ,その主題は板橋区の事業として行われていたホタル館の運営・業務に関する疑惑の追及であって,区の事業に係る問題の追及・解明は区議会議員にとっては当然の職責というべきものであり,殊更に事実と臭なることを述べたり,原告に対する個人攻撃を意図したりしたものとは解されず,批判としての域を超えた誹誘中傷とまでいうことはできないから,正当な政治行為として違法性が阻却されるというべきである。


 さらに,ホタルの外部からの持ち込みについては,これを直接に裏付ける証拠はないが,ホタル館においては現実に毎年ホタルの夜間公開が行われていた(前記第2の2(2))のであるから,累代飼育されたものでないホタルは外部から持ち込まれたものかその子孫ということになり,真実性は同様に認められるといえる。もっとも,だからといってホタルの持ち込みを原告が行ったと直ちに断定できるわけではないが,本件生息調査までホタル館におけるホタルを飼育し管理していたのは専ら原告である上,平成26年2月19日の区民環境委員会で当時の環境課長がホタル館にホタルの成虫を持ち込んでいたというような元関係者の証言があると答弁していること(上記1(1)ス),被告自身も,同年3月5日にホタル館でむし企画前代表の小船からホタル館宛てのカワニナの発送伝票を発見し,同月8日に小船がホタルの飼育をしていたと聞くなどして,むし企画を通じてであればホタルを秘密裏に持ち込めると考えるに至ったこと(上記1(6)オ,キ,ク),平成27年1月に発表された乖離報告書で,むし企画からホタルが宅配により持ち込まれたとする関係者の供述が記載され,ホタル館のホタルは外部から人為的移動により持ち込まれたものと考えられると結論付けられていること(上記1(1)ト)等に照らせば,少なくとも,被告において原告がホタル館にホタルを持ち込んだと信じたとしてもやむを得なかったというべきである。

阿部宣男vs松﨑いたる裁判(松﨑さんの勝利)判決にある松﨑さんの「調査」

 判決の中に「被告の調査等」という項目がある。裁判所が松﨑さんが初めはホタル館を存続派だったのが、調査で疑問を強めていったこと、不正を見抜いていったことがよくわかる、このような項目を立てたのには、意味があるのだろう。

松﨑さん勝利!:山の阿部宣男(元板橋区立ホタル館) vs 松﨑いたる(板橋区議)の裁判の判決が出た!
http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/04/02/095212

 判決から「被告の調査等」を抜き出して紹介しておこう。

 コピーからOCRしたので誤字があるかもしれない。誤認識を直したつもりだが未だ残っているかも知れない。(公表されている判決と比べて直したつもり。残っていたら教えてほしい。)

 読みにくいと思うので強調したいところを適当にぼくの文責で赤字太字にしておく。

 

ア 被告は,平成26年2月3日,ホタル館存続の取組に熱心だった同僚区議から,本件生息調査が行われたこと,原告不在の技き打ち調査として始まり,途中で原告も来たものの,原告を支援するボランティアが区に抗議し,パトカー等が来る混乱があったことなどを聞いた。被告は,元来ホタル館存続のための政策作りができればと考えていたが,少なくとも調査に原告がいないのはおかしいと思い,環境課長を呼び出したところ,代わりに環境部長が説明に来た。同人は,本件生息調査の切っ掛けはホタル持ち込み疑惑の解明であること調査の結果,幼虫が2匹しか見付からず,推計値でも23匹にしかならないこと,警察にも相談していること,調査後に原告をホタル館から本庁に異動させたこと等を説明した(乙46)。


イ 被告は,平成26年2月,ホタル館の生息調査の再調査を求めて陳情に来た駒野から名刺を受け取ったが,同名刺は,ホタル館の住所及び電話番号や「阿部組」のロゴが記載されたものであった(乙46)。

 

ウ 被告は,上記(1)スの委員会には出席しなかったが,同会に出席した区議から,ホタル館で飼育していたハチが販売されていた事実が明らかになった等の報告を受けた(乙46)。


エ 被告は,平成26年2月24日の幹事長会において,超党派でホタル館問題を解明するための100条委員会の設置を提案し,同年3月3日,ホタル飼育の実態(実際に数万匹のホタルが飼育されていたのか否か,「成虫持ち込み」証言が真実か否か等),福島県いわき市のホタルプロジェクト,ホタル館における本件ハチの飼育,原告が主張するナノ銀による放射能除染等を調査項目案として提出したが,同月24日の幹事長会では消極論が多数を占め,設置に至らなかった(乙46)。
 被告は,同月5日,ホタル館を視察調査に訪れ,小船からホタル館宛にカワニナが発送されていた伝票を発見し,カワニナもホタル館で飼育しているとの従前の原告の報告が嘘だったと感じた。また,本件センターの職員から,水槽の管理がほとんどされておらず,カメが皮膚病にかかっていたなどと聞き,昆虫施設であるにもかかわらず大量の蚊取り線香や虫よけスプレーの在庫があることなどを見て,飼育業務が適切に行われていなかったと思った(乙46,49)。
 被告は,同月7日の疲橋区議会本会議において,原告が著書やブログ等で,ホタル館では全国23か所のホタルを預かり,遺伝子が交雑しないように飼育しているなどと説明していることを指摘した上,板橋区ではそのような説明を事実と認めているのかと質問したのに対し,区長は,ホタル館は他自治体や団体のホタルの幼虫を預かり,その方たちに代わって飼育する施設ではないと答弁した(乙35)。

 

キ 被告は,同月8日,むし企画前代表の小船を訪ねたが,同人は既に死亡していた。小船宅は,水槽が捨ててあったり酸素ボンベが倒れていたりしていて,何かの生き物を飼っていた形跡は見られたが空き家であり,被告が電話帳で親戚を調べて尋ねたところ,小船は生前ホタルを飼育していたとの話があった(乙46,被告本人)。

 

ク 被告は,同月13日,小船からむし企画を引き継いだ高久を訪れ,話を聞いたが,高久は,仕事は現場と原告に任せているなどと話したことなどから,ホタル館やホタル飼育について知識がないと感じた。被告は,当初はホタルを秘密裏にホタル館に持ち込むことは不可能であると考えていたが,上記オのホタル館視察,上記キの小船宅訪問及び高久との上記面談等により,むし企画を通じてであればホタルを秘密裏に持ち込むことが可能だと考えるようになった.(乙46)。


ケ 被告は,原告の著書「ホタルよ,福島にふたたび」(以下「原告著書」という。)を読み,本件特許について,原告は使用ごとに報酬を受けているのに,「私は公務員ですから,もちろん給料以外の報酬はありません」とある等,事実と違うことが多く書かれていると思った(乙46)。


コ 被告は,上記(5)ェの平成26年6月6日付け朝日新聞を読み,「訴状では『区の決定を受けずに業者とクロマルハナバチの飼育で業務提携した』とする区の処分理由について,この業者の設立は2010年夏で,阿部さんが業者と契約書を結んだと区が説明する09年7月にはこの業者は存在しない,などと主張した。阿部さんはこの日の会見で『区の主張はすべて事実に基づかないため,提訴した』と話した。」と記載されていため,記者から渡された配付資料中の21年契約書を確認したところ,その作成日付は平成21年7月1日であったので,板橋区の説明には矛盾がないと考えた(乙46)。

 

サ 平成26年7月15日,被告は原告と面談し,原告は,被告に対し,ホタル館で3万や4万のホタルを飼育することは不可能に近い,本件生息調査の際にホタルの死骸が見つからなかったのは,ホタルにバクテリアがついて溶けてしまうためである,などと述べた(甲205)。


シ 被告は,同年8月4日,上記面談で質問できなかった点について原告に質問状を送ったが,原告から返事はなかった(乙46)。


ス 被告は,同年9月5日に放映された上記(1)ツのテレビ番組を視聴し,原告が嘘を認めたのだと思った(甲1,乙46)。

 

セ 能登町議会は,平成28年5月12日,被告からの照会に対し,本件3者契約1条に記載された「日本在来マルハナバチ類の繁殖供給飼育方法」が特許庁により平成23年6月1日付けで拒絶理由通知書が出され,同年10月5日に拒絶査定を受けた事実及び同契約の契約書に添付されたイノリー企画と原告との21年契約書が虚偽であった事実は,いずれも認識していなかったと回答した(乙33)。

松崎板橋区議のナノ銀除染批判、ホタル館不正事件追及を応援!(阿部宣男氏との裁判勝利、おめでとう!)

 左巻健男は、この裁判に少し関わってきた。

松崎さん勝利!:阿部宣男(元板橋区立ホタル館) vs 松崎いたる(板橋区議)の裁判の判決が出た!
http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/04/02/095212

  このブログにも、例えば次のような投稿をしてきた。

 最初は松崎さんは共産党区議だった。

ニセ科学・ナノ銀除染と闘う共産党議員を応援!

http://samakita.hatenablog.com/entry/20160515/p1
板橋区の松崎いたる区議会議員は「ホタル」の阿部宣男氏のナノ銀除染を問題にしている。ニセ科学と闘っている存在だ。…松崎議員はナノ銀除染を批判したことでその提唱者の阿部宣男氏と裁判になっている。

  しかし、共産党からかつて党内で行われていた「査問」(この存在を共産党は認めていないようだが)を松崎さんにしようとしてた。

●松崎いたる板橋区議の裁判に関して日本共産党への要望
http://samakita.hatenablog.com/entry/20161022
…今回、松崎さんから「共産党中央委員会から、ナノ銀除染をインチキと批判したことについて、地方議員にあるまじき市民道徳と社会的道義に反する行為だといわれてしまった」と聞き、たいへん驚いています。…共産党にはこれからも国民を守るためにも、教育・科学の振興のためにもますますがんばってほしいと思います。そのためにもニセ科学とたたかう松崎さんを党としても支えていただきたいと思い、意見を述べさせていただきました。

 ついに共産党は松崎さんを除籍に。

日本共産党(一部)への静かな怒り:松崎さん除籍
http://samakita.hatenablog.com/entry/20161225/p2
元々共産党板橋区議団は、松崎さんと共に板橋ホタル館不正を追求する立場に立っていた。
ところが、阿部氏からの名誉毀損裁判が始まると、共産党中央委、都委、板橋委などは、松橋さんに「ナノ銀除染をインチキと言うな」「インチキなどは社会的道義に反する言葉だ」「秘密の内輪でやる説明会に出て“説明”を受けろ」「自己分析せよ」などと指導するようになった。
共産党の松崎さん除籍の理由も自分たちに都合のいいように歴史修正されたもののように見える。それを信じ込む党員や支持者の反応にも強く嫌悪感を覚えた。

 よくわからない人(何で暮らしているのか?なぜ「しずか」なのに「じょー」か?wikiを自分で自分の事を書いているようだが…など)からもこの件で攻撃された。ブロックしているので今どうなっているかは知らない。

 彼の著作になかなか素晴らしい解説を書いてあげている角田さんと知り合いでFBで友達なので、それに関しても可笑しげな事を書かれる。角田氏からすれば誹謗中傷のようだ。ライターのようなことを自称しているが記事を見たことが無い。

●いのうえしずかさんとのことに画像など追加
http://samakita.hatenablog.com/entry/20170407/p1
井上静(かつての著作に静は@SIZUKAと。しかし今は自称「じょー」としている)氏も、松崎さんやぼくを攻撃する1人。しかしよくわからない人。匿名掲示板にはこの名前がたくさん出ているので驚く。

松崎さん勝利!:阿部宣男(元板橋区立ホタル館) vs 松崎いたる(板橋区議)の裁判の判決が出た!

 阿部宣男(元板橋区職員)元板橋区立ホタル館 vs 松崎いたる(松崎参)板橋区議の裁判の判決が出た。判決は「原告の本訴請求及び被告の反訴請求をいずれも棄却する。」で,原告の本訴請求は棄却され,松崎板橋区議の勝利である。

平成30年3月29日判決書渡 同日原本領収 裁判所書記官
本訴:平成26年(ワ)第29256号 損害賠償請求事件
阿部宣男(以下「原告」という。)
松崎参(以下「被告」という。)

 とくに問題になったのはナノ銀とホタル累代飼育である。

●原告が言うナノ銀の放射能低減効果について,被告は,「インチキ」,「ニセ科学」,「トンデモ」,「ダマした」,「犯罪的」,「ウソ」,「詐欺に等しい」,「幼稚な虚言」,「デタラメ」,「バカげた」等(以下,これらを併せて「インチキ等」という。)の表現を用いて言及。
●原告が言うホタル累代飼育についても被告は強い疑問を呈した。

 判決は次で見ることができる。
http://www.i-foe.org/h26wa29256/hanketu/hanketu20180329.pdf

EM菌は自然発生的なカビ・細菌に負けるの?製造工程は見直したのか?~「EM無香消臭剤ビセーブの自主回収と販売中止の件」から3年弱…(EM菌への疑問)

 前に書いた記事…

 「EM無香消臭剤ビセーブの自主回収と販売中止の件」からEM菌へ疑問
 http://samakita.hatenablog.com/entry/20151214

 このEM研究機構のお知らせから3年弱経った。

 

 再度見直しても、驚いたのは、次の文言だ。

 沈殿物を分析しましたところ、外部より混入した物ではなく、製品中の天然成分を栄養源としてカビや細菌が自然発生的に増殖したことによるものであると推測されます。

 近代生物学の夜明けの1つは、パスツールによる「自然発生説」の否定だろう。

 自然発生説とは、「生物が親無しで無生物から一挙に生まれることがある」とする、生命の起源に関する説の1つである。一般にアリストテレスが提唱したとされている。近代に至るまでこれを否定する者はおらず、19世紀までの二千年以上にわたり支持された。 (ウィキペディア

  「自然発生説の否定」を否定するかのようにも読めるEM研究機構の文章に驚いたのだ。

  EM研究機構には「近代生物学・現代生物学の知識をきちんともっている人はいないのか?」という驚きでもある。

 

 また比嘉照夫氏によれば、EM菌は神様のような存在だし、微生物のリーダー的存在とも言われる。そんな製品に自然発生的にカビや細菌が増殖し、黒い沈殿物をつくるというのは、黒い沈殿物をつくるカビや細菌に負けてしまったということか?

 EM菌は1200℃でも死滅しないで復活できるというので、製造工程の殺菌処理が低温すぎたのではないか? 何℃で殺菌しているのか?

 

 しかも、比嘉照夫氏は、沖縄本島でも「結界」(仏教用語で、仏道修行に障害のないように、一定地域を聖域として定めること。寺院などの領域を定めること。)になっているとする。EM研究機構の工場はさらに結界として強いだろう。

 そういうところで、自然発生的にカビや細菌が増殖し、黒い沈殿物をつくるのは、本当は沖縄本島は「結界」になっていないということではないか? そうなら比嘉照夫氏は自分の言説を取り下げるべきであろう。

 

 EM研究機構の発表では、

品質の改善と製造工程の見直しに関しましては、最短で3ヶ月程度を要する見込みです。

 とある。

 その後3年弱経って、「品質の改善と製造工程の見直し」はどうなったのか? 

 他のEM製品を含めて真摯に誠実に製造工程を見直してほしい。

 今回の原因についての調査の結果報告がないようだ。いつの段階で「カビや細菌が自然発生的に増殖し」たのか? など消費者に報告し、安心させることが必要なのではないか?

 

*EM研究機構様、ぼくも思い違いありましたら指摘願います。納得できる部分については書き直しをいたします。

 

誰が「光がなくてもタンパク質を分解する光触媒」を発明したのか?(【花粉を水に変えるマスク】関連)

 【花粉を水に変えるマスク】に使われているというハイドロ銀チタン® について開発者は誰かという疑問を述べておきます。

    本当に光がなくてもタンパク質を分解するかどうかはさておいての疑問です。

 

 この材料は岡崎成実医師の開発とされています。

 

 結論はすでに信州セラミックが以前から製造販売していた「アースプラス」と同じものでした!

 ちょっと見ていきましょう。

 

 ハイドロ銀チタン® は医療現場から生まれた
 https://drciyaku.jp/company/history/

 岡崎 成実「私は光触媒という技術に興味を持つようになりました。光触媒とは、有機物(タンパク質)を分解して水に変える技術です。私はこれを応用し、2004年には、花粉、カビ、ハウスダストや不衛生タンパク質といった小さなタンパク質のみに効果を発揮する弱い作用で、光がなくても分解する「ハイドロ銀チタン® 」の開発に成功しました。」 

 

 DR.C医薬の「花粉を水に変えるマスク」宣伝パンフで信州大医の新藤隆行教授は、岡崎氏の偉大な発見と述べています。

 岡崎先生のこのハイドロ銀チタン® の発見は、ある種の奇跡だと思います。研究者が、何千種類、いや、もっと多くの物質の中からひとつの有力な候補物質を探し出すことは、とても大変なことなんです。臨床現場の経験に基づいて、こういう新しい物質が生まれた。本当に偉大な発見だと思います。

 しかし、 ハイドロ銀チタン®は、信州セラミックの「earthplus TM」(アースプラス)と似ている、同じではないかとも思われました。

 岡崎氏が鼻にコヨリ状のハイドロ銀チタン® の論文でも出典無しで信州セラミックスがアースプラスについてしくみを説明した図をそのまま使っていました。(出典無し、宣伝用の図の引用は論文としてお粗末すぎますが。)

 

 すでに2005年に、岡崎氏が社長の株式会社レディドクターズ アンド バイオケミスト(本社: 東京都新宿区西新宿2-6-1、社長: 岡崎成実、資本金: 1億3千万円)が信州セラミックスの光触媒を使った化粧品を販売していました。この会社は今見つけられませんでした。次は信州セラミックスのサイトからです。

Cataliqua -- 当社の光触媒テクノロジーを応用した化粧品が登場しました 2005.04.26
http://www.shincera.co.jp/news/2005042601.htm

 もう13年前に岡崎氏と信州セラミックスは関係していたということです。

 そして、今、信州セラミックスは、2月22日は「ハイドロ銀チタン®の日」「ハイドロ銀チタン®で未来をつくるプロジェクト」の「ハイドロ銀チタン®原料の共同開発、共同試作及び実験を担う」企業の一員になっています。

 

 とても似た材料である「アースプラス」と「ハイドロ銀チタン」は同じなのか、似ているがアースプラスの性能を上まわるものとして岡崎氏がハイドロ銀チタンを発明したのかです。新藤隆行教授が言う岡崎氏の「偉大な発見」なのかどうかです。

 

 信州セラミックスがこの疑問に明確に答えています。

試験結果内の「earthplus TM」は、商標登録前のハイドロ銀チタン ®の仮名称であり、 「earthplus TM」と「ハイドロ銀チタン ®」は同じ成分からなる同一物質です。
https://drciyaku.jp/safe/toxicity/ 

 

 信州セラミックスのあゆみ
 http://www.shincera.co.jp/history/history.html
 を見ると、H17(2005)に次があります。

光触媒の欠点を補った新材料を開発に伴い、earthplusTM (アースプラス)ブランドを立ち上げる。

  これを既に紹介したように岡崎氏は2005年に化粧品に使って販売したのです。

 しかし岡崎氏のこの化粧品はもう販売の形跡も見つかりませんから売れなかったのでしょう(これはあくまでもぼくの推測です)。

 

 信州セラミックスはどんな会社だろうかと検索したら、キャリコネの「企業の年収・評判」に次がありました。

 2010年で、投稿は2012年ですから、今の様子とは大きく違うかもしれませんし、ネガティブな感じなので辞めてしまったのも知れませんので、そのまま受け取れないと思いますのであくまでも参考として捉えてください。

 「代理店営業 20代前半 男性 正社員 280万円 2010年度 自分の仕事に辛さや憤りを感じる時は、どういう時ですか?」

 https://careerconnection.jp/review/544060/kutikomi/

新規案件が多数ありライエンス供与しているが製品に根拠が無く受注に至らず苦戦する。
医療向けやコスメに製品を開発するが、部外医薬品扱いとなりグレーゾーンでの販売に至る。
また、薬事法に触れないと試行錯誤するなかで保健所からマークされている。
国内取引では三流会社に留まり、海外では相手にされない。

 「職場の雰囲気、イベントやローカルルールなど、社風をよく表すエピソードを教えてください。」について同じ人が答えています。

親族経営であり社員の意見は聞く耳を持たず、少数社員だが仲間意識はない。
一部の社員はとても好感がある。
また、総務は人としての対応が悪く常識がない。
時間外労働であっても経営難の為残業手当は無し、休日であろうと社長から呼び出され雑用させられる。もちろん休日手当は無し。

 

 この社員(元社員かもしれません)のいう「新規案件が多数ありライエンス供与しているが製品に根拠が無く受注に至らず苦戦する。」ことが、今回、岡崎氏が大々的に取り上げたことで大きく変わったのかも知れません。 

 

 信州セラミックスが何十年も育ててきた材料が、岡崎氏が開発(信州大医の新藤隆行教授は「偉大な発見」)になるというのは、企業のプライドがないように思えます。

 また信州セラミックスが「アースプラス」と「ハイドロ銀チタン」が同一物質ということが本当なら、岡崎氏が発見したことは嘘になるのではないでしょうか。

 この辺りは大きな疑問です。

 

 信州セラミックは医療現場用にマスクも販売していましたが今は販売停止しています。販売時は抗菌性を売りにしていました。

アースプラス製品販売終了のお知らせ。 (2017.10.10)
http://www.shincera.co.jp/img/earthplus_20171010.pdf

 

 もともと信州セラミックスは材料はつくっていても、マスクや空気清浄機などの製品は他社に製造委託しています。販売停止は岡崎氏の会社の「花粉を水に変えるマスク」の販売と関係があるのでしょう(あくまでもぼくの推測です)。

 

*別のことですが、「アースプラス」=「ハイドロ銀チタン」が「光なくてもタンパク質を分解する」論文はどこにあるのでしょうか? 根拠を知りたいです。

*2018年03月23日の拙ブログ「花粉を水に変えるマスク」根拠論文を批判したら医学部教授から集団訴訟と脅された「騒動」
 http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/03/23/102352
*【花粉を水に変えるマスク】は100%のニセ科学ではないが…今の状態ではニセ科学と言われてもしょうがないと思う
 http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/03/25/103608

『理科の探検(RikaTan)』誌4月号「特集 ニセ科学を斬る! 2018」

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「かけ算には順序がある」と教える教師たち
患者のための「ニセ医学」の傾向と対策
蔓延るインチキがん治療
親学のウソ
EMの2つの顔など。

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http://blog.hatena.ne.jp/samakita/samakita.hatenablog.com/edit?entry=17391345971619809178

【花粉を水に変えるマスク】は100%のニセ科学ではないが…今の状態ではニセ科学と言われてもしょうがないと思う

【花粉を水に変えるマスク】について左巻健男の意見を追加しておきたい。

 

 2018年03月23日の拙ブログ「花粉を水に変えるマスク」根拠論文を批判したら医学部教授から集団訴訟と脅された「騒動」
http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/03/23/102352 

は、いつもは1日数十~数百程度の閲覧数なのに、ここのところ1日に何万もの閲覧数があった。

 

 ぼくは100%のニセ科学とは言えないと思う。
 光触媒に抗菌性はある。タンパク質を変性させる性質はある。スギ花粉の表面の一部は変性させたり分解する可能性はある。これらは接触や光の存在が条件であり、時間も必要である。

 

 しかし今花粉を水に変えるという根拠になる論文・報告でまともなものがない。1つ論文があったが非常にお粗末だった。それが桑満おさむ医師が批判したものだ。

 

 今の状態でニセ科学と言われても仕方がない面がある。そういう状態で大々的な宣伝がなされ、批判すると関係者らしい人(信州大医の新藤隆行教授)から訴訟をちらつかされる。

 

 そのやり方は異常である。

 ミズノ、はるやま、福助、ワコールなどの企業名が出ていたが、コラボ40社の一員なのか? 40社で集団訴訟も進行中などということが関係者の1人から出ていたが後の伝聞では新藤教授の「勇み足」のようだ。しかし、40社が訴訟についても話をしているということはよくわかった。本当の誹謗中傷・デマを流されたら訴訟があるかもしれないが、今回は初めから根拠も示さないでイメージ図で花粉を水に変えるなどと言うキャッチコピーで商品を大々的に宣伝というのには、批判が出るのは当然のことだろう。

 根拠があり、効果もあるならそんな批判は吹っ飛んでしまい、爆発的に売れていくだろう。

 そんな訴訟のことが関係者の1人からもれ出るというのは40社の信頼度が非常に下がると思われるがいかがなものか。穿った見方をすれば批判が出るのを初めから想定して花粉を水に変えるという景表法案件になるようなキャッチコピーを考えたのかと思う。

 

 そのマスクには疑問が多々ある。


・鼻回りの漏れ込みを防ぐような形態ではないようだ。

 

・ハイドロ銀チタンとやらは本当にスギ花粉そのものを分解して水などにどの程度変えるのか?

 

・キャッチした花粉を分解したとして4層中3層目では分解しようがしまいが鼻に影響しないだろう。

 

・宣伝パンフには信州大医の新藤隆行教授や元ソニーの出井氏の体験談がある。そういうレベルで消費者を釣るのはニセ科学の会社がよくやることだ。

 

 花粉をキャッチするだけならふつうのマスクの、鼻回りなどの漏れ込みがしにくいほうがずっと安価で効果的だと思う。
 ぼくは花粉症だがそういうマスクを購入した。

 形状も改善してほしい。

 

 まずはキャッチコピーがどの程度本当かの根拠を示してほしい。

 

 最も簡単にやれて結果がわかりやすいのがそのマスクについたスギ花粉が時間と共にどうなるのかを走査型電顕で見ることだ。今日明日にもできよう。前例はダイキン山形大学の共同研究があるから参考にするとよい。

 

 根拠を出してから宣伝をしてほしい。
 簡単な実験もアドバイスしておいたのでぜひ取り組んでほしい。
 再度言うが今の状態はニセ科学と言われてもしょうがないし、消費者庁案件ではないか。
(以上)

新刊! 左巻健男『面白くて眠れなくなる物理パズル』PHP &左巻健男編著『身近にあふれる「生き物」が3時間でわかる本』明日香出版社

 現在、左巻健男著、編著では新刊として、

『面白くて眠れなくなる物理パズル』PHP

 と

『身近にあふれる「生き物」が3時間でわかる本』明日香出版社

 が書店に並んでいます。
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左巻健男『面白くて眠れなくなる物理パズル』PHP

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あなたは解ける? 謎に満ちた物理のはなし。

物理学は、いうまでもなく自然科学の一部門です。物理学が扱うのは、小さいものは素粒子や原子、大きいものは宇宙まで、自然全部が対象といっていいでしょう。そして、私たちの身の回り現象の背景には、物理の法則がしっかり関係しているのです。

本書では、パズル(クイズ)という形式を入り口にしています。各エッセイの冒頭に掲げられた問題を考えながら、読み進めてください。「ここにも物理法則がある! 」という興味深い発見があり、気がつくと、物理への知見が深まっていくことでしょう。

○本書の目次より/フラスコ内に水は落ちるのか?/夕立後の虹の見つけ方/赤ちゃんには聞こえる音/花粉とアインシュタイン/対流と炎の形/長すぎるストローとジュース/パスカルの原理と道具たち/乾電池70個を直列につなぐ/モーターから音楽は鳴るのか?/こっくりさんはなぜ動く?…
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左巻健男編著『身近にあふれる「生き物」が3時間でわかる本』明日香出版社 

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本書は、次のような人たちに向けて書きました。
・めずらしい生き物もいいけど、もっと身のまわりにたくさんいる「身近な生き物」について知りたい!
・教科書や図鑑のような解説ではなく、「私たちの生活とその生き物がどう関係しているのか」がわかるようなおもしろ知識を知りたい!

私たちの日常は、あまりにも生き物だらけだ!
本書は、身近にいる生き物を、
小さなものはウイルスから虫や鳥、
大きなものはクマやマグロまで、
そしてもちろん私たちヒトもふくめて、ぜんぶで63とりあげました。

生活の中にいつも登場する生き物の"おもしろい話"がいっぱいです!
そういえば疑問に思うこと、いわれてみれば気になること、そんな生き物のナゾにせまります。
・ゴキブリは3億年前から変わらない「生きた化石」?
・ミミズはなぜ夏の炎天下で干からびているの?
・地球史上最大の昆虫はトンボだった?
伝書鳩はなぜ手紙を届けられるの?
・なぜウグイス色は黄緑色と思われている?
・多量の汗をかくのはウマと人間だけ?
・高級和牛はほぼ1種からつくられている?
カルガモはなぜ春になると引っ越しするの?
・カエルは胃袋をはき出して洗うって本当?

思わずだれかに話したくなる!
 教科書や図鑑のような解説ではなく、「どう身近なのか」「私たち人間との関係性」を軸にして、「へ~そうなんだ」と思える話がたくさん登場します。
 暮らしに役立つ生き物の知識が、毎日の生活に彩りを与えてくれる、そんな1冊です!


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「花粉を水に変えるマスク」根拠論文を批判したら医学部教授から集団訴訟と脅された「騒動」

 ぼくはスラップ訴訟に敏感だ。なぜならジャーナリストで大学客員教授という人(DND出口俊一氏)から仕掛けられて闘った経験があるからだ。当初、なぜ出口氏がEM菌への批判者に異常とも見える攻撃をするのかは謎だった。後で出口氏が「EM研究機構顧問」だったことがわかった。
 この裁判はぼくの完全勝利で終わったが、経緯は、『ドキュメント スラップ名誉毀損裁判 EM菌擁護者と批判者の闘い』 左巻健男著  にまとめておいた。
 A5 表紙込20ページ 200円(税抜)
 http://ankokudan.org/d/d.htm?detail099-detailread-j.html

 

 さて、そんなぼくのところに、五本木クリニック院長桑満おさむさんから、ハイドロ銀チタンのマスクを「研究中と称する信州大学の医学部の教授に「ブログを削除しろ、じゃないと次のステージに行くよ」とメッセージが来ています。」と連絡があった。

 

 一体何なんだろうと思った。「花粉を水に変えるマスク、訴訟までちらつかせ始めたか。」と天羽優子さんのブログを紹介したものがあったので天羽ブログを読んだ。
 http://www.cml-office.org/pseudoscience/topics/hats.html

 

 また、花粉を水に変えるマスクの宣伝パンフを見ることができた。そこに、信州大学大学院医学系研究科循環病態学講座の新藤隆行教授が、その宣伝パンフにその軟膏を鼻に塗ったら「劇的に鼻炎の症状がよくなった」「マスクで鼻づまりがラクになった」と体験談を出して、いま研究室で研究中とあった新藤教授は花粉を水に変えるマスクの関係者の1人だとわかった。

 

 ぼくは、「体験談からそう言うのは科学者ではないなあ。パンフの実証データも対照がないし、結局マスクが4層構造だからだろっていうもの。」と思った。
 マスクが4層構造で不織布2層を入れてあるからそれが効いているように思える。

 

 信州大医の新藤行教授はそれで鼻炎が改善したと体験談を述べているが、ハイドロ銀チタン層は4層の3層目。そこで分解しても通りぬけたり、回りから入り込んだ花粉に作用できないからほぼ無意味ではないかと思う。
 4層マスクの3層目で、コヨリ状で差し込んでいないで非接触だ。離れているハイドロ銀チタン層から、どう鼻炎に作用するのか? 疑問は多い。

 

 また、マスクの性能については一般に誇大なのが多い。
 いくら4層にしてもいくら何か添加してもまわりからの漏れ込みが多い。
 マスクの漏れ込みとは? 防じんマスクの知識
https://youtu.be/5CBONr3Y8n8?list=PLCs6NenGb10qinW7SukHbIBwgPVHiaPXA

 

 理科の探検(RikaTan)誌2018年4月号にもスラップ訴訟などについて書いて貰った、消費者問題に詳しい川村哲二弁護士は、「花粉を水に変える?」で、次のように述べている。
 「私は科学者ではありませんので、ここで意見は差し控えたいと思うのですが、消費者庁は、一刻も早く、不実証広告制度(景品表示法7条2項)を使って、関係企業に対して、「花粉を水に変える」ことについての根拠資料を提出するよう要求すべきかと思います。もちろん、それなりの客観的な裏付けが出てくれば、それでよし、ですが、もし十分な裏付け資料がないとすれば、不幸な消費者が多数出てくることになりますので、消費者庁におかれては迅速な対応をお願いしたいと思います。」
http://stuvwxyz.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/post-7db3.html


 少なくても今のところ、花粉を水に変えるマスクに十分な裏付け資料はない。それなのに大々的な宣伝がされている。

 

 新藤教授は、ぼくの友人・知人ら(科学者)にもメールを出したりしていることがわかった。批判を控えてくれと。
 そのメールは、相手によって違うが、天羽さんへのものが公開されている。
 先ほど出した天羽ブログ「花粉を水に変えるマスクに飛びついてはいけない【追記変更あり】」
 http://www.cml-office.org/pseudoscience/topics/hats.html 「「花粉を水に変えるマスク」をめぐる追加の議論」
 http://www.cml-office.org/pseudoscience/topics/htms-2.html

 

 新藤教授からの桑満さんへの連絡は、ついにDR.C医薬およびコラボ企業40社より集団訴訟が進行中というものになる。
 「未だに検討して頂いたはずのブログの方の修正を頂いておりませんが、すでにツイッターやネットニュースを通じて、多くの人に先生を震源とする風評が拡散されてしまいました。弁護士との協議の結果、DR.C医薬およびコラボ企業40社より、五本木クリニックに対する集団訴訟を行わせて頂く様に進行中です。よろしくお願い致します。」

 


 ぼくの友人・知人ら(科学者)には丁寧な言葉で「花粉を水に変えるマスク批判を控えてください」というものだったが、桑満さんにはだいぶ激しい。ぼくがそれを指摘すると、桑満さんは「私は単に一開業医ですから」と言っていた。

 

 ぼくは、どんなことを書くと信州大医の新藤教授から削除要請や訴訟云々が来るのかと読んでみたら、桑満さん、当然の指摘をしているだけではないか!
 「花粉を水に変えるマスク、その効果は医学論文で明らかに・・・なってないよ!!」

   https://www.gohongi-beauty.jp/blog/?p=24654  

 

 その岡崎氏の医学論文とやらはお粗末なものだ。花粉を水に変えるマスクの効能の根拠とならない。出典のない図があるがそれは信州セラミックスの製品の概念図だ。図に出典がないだけでもお粗末だ。

 

 新藤教授はハイドロ銀チタンを岡崎医師の「偉大な発見」のようにいうが、信州セラミックスの製品とどこが違うのか。今は共同開発しているとのことだが。

 

 依然として謎なのが、いまハイドロ銀チタンを研究中というだけの新藤教授が「花粉を水に変えるマスク」の説明や表現に批判的な科学者らや桑満さんに、なぜここまで執拗に、しかも桑満さんには異常とも言えるほど過激に批判を封じようとするのか? ということだ。
 「私は、本製品の開発協力を行なった関係もあり、…連絡をさせて頂いた次第です。」とするが、開発協力を行なった関係者の1人だというだけで、ここまでやるのはなぜか?

 

 天羽さんはブログ記事に次のように述べている。
 「こういうのは権利者が直接主張するべきことであって、新藤教授が伝えるのは余計なことでしょう。また、個人に対して40社で訴訟するぞってのは、SLAPP訴訟ではないでしょうか。その予告をして黙らせようというのであれば、商品のネーミング云々とは別に、社会的非難を受けるのは企業の方です。ぜひともその40社の名前を明らかにしていただきたいものです。そういうことに名前を連ねるような会社だということは、科学云々とは別に、社会に周知されるべきです。」


 天羽さんへの返事からは新藤教授の勇み足のようだ。そんな勇み足を新藤教授がなぜするのかは疑問のままだった。

 そこに新藤氏と親しく、当初からアドバイスをしていたという人が新藤氏の代弁的なことを述べた。新藤氏とよく連絡をとりあっているようだ。
 新藤教授は、「動揺されてしまって、そのような行動になってしまわれたのだと思います。ご反省されてました。」ということだ。


 桑満さんに、「訴訟の件の話は、私もするべきではなかったと反省」という連絡が来たとのことだ。


 なぜ訴訟云々をしたのか未だ謎だ。しかも、天羽さんの「40社を明らかにして」という要望にも応えられない。

 反省するのはいいだろうが、新藤教授が桑満さんらにしたのを「心の動揺」とされても、なぜ動揺したのかは疑問のままだ。


 新藤教授はハイドロ銀チタン関係企業の弁護士とも協議できる中心メンバーの一人とみられる。
 メイン出資者の1人? or 多額の研究費を貰っている? or 批判側を封じることで見返りが相当ある?…いったいなぜなのか?
 企業の指令の下に動いたのか? 
 勝手に踊ったのか? 
 何をどう反省したのか?

 今後これらに応じた見解を出してくれること期待する。


*友人らが次は左巻健男さんが集団訴訟の対象じゃないのかと言われているが…。

「@Mt_Hyotan: 仮説(論文)の是非については、裁判ではなくて学問の場でやって欲しいよねぇ  」に強く同意。

*花粉から抽出のアレルゲン溶液中のアレルゲンを分解したところで、花粉そのものを分解とは雲泥の差。ダイキンと山形大医の共同研究でもプラズマ放電の千倍強力な放電でも花粉は簡単に分解できないで何日かかかっている。

*【花粉を水に変えるマスク】は100%のニセ科学ではないが…今の状態ではニセ科学と言われてもしょうがないと思う
 http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/03/25/103608

*誰が「光がなくてもタンパク質を分解する光触媒」を発明したのか?(【花粉を水に変えるマスク】関連)
http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/03/27/113155

 

【追記2018/5/02】

 今後の「ハイドロ銀チタン」素材の利用について、ぼくの推測を述べておこう。あくまでも推測である。

 「花粉を水に変えるマスク」はあくまでも「ハイドロ銀チタン」の素材利用のほんの入り口だろう。マスクで重要なのは、不織布などのフィルーター機能とマスクリーク(空気漏れ)が少ない形である。ぼくの見るところ、「ハイドロ銀チタン」マスクは、マスクリークへの対策が弱いような形だ。だから、ずっと格安でもっと花粉吸入を防止するマスクがある。

 マスクで儲けるのはなかなか厳しいだろう。

 

 マスクで「花粉を水に変える」とキャッチが浸透すれば、次は1つの製品で数万円で売れるものを考えるだろう。

 それをぼくは小型の空気清浄機だと推測する。すでに信州セラミックスはフィルターにアースプラスを使った空気清浄機を医療現場に売っている。きっと小規模な医院や病院は院内感染への対策で抗菌や殺菌をうたうものが適当に安ければ購入するかも知れない。

 さらに一般家庭でもアレルゲンを分解するというキャッチコピーで(アレルゲンを水に変える!)売れると思うだろう。

 その種の空気清浄機はすでに大手会社などが2万円台で出しているが、「花粉などアレルゲンを水に変える!」ということが浸透できれば、もう少し高価格でも何十何百万台の市場性があると考えるだろう。

 それには既存の大手の空気清浄機と差別化する必要もある。「花粉などアレルゲンを水に変える!」のうたい文句だけではなく、厚労省の医療器具認定が受けられれば万全だろう。

※あくまでもぼくの推測である。

『暮らしの中のニセ科学』平凡社新書の誤植:アミダグリン→アミグダリン

 左巻健男『暮らしの中のニセ科学平凡社新書Kindle版で、174ページ、アミダグリン→アミグダリン

*いま旅行中で確認できませんが紙版でも同様だと思います。

ぼくのミスです。すみませんでした。訂正してください。

 

 

左巻健男『面白くて眠れなくなる物理パズル』PHP、3月20日(火)初版!(その少し前に発売されると思う。)

3月20日(火)初版!(その少し前に発売されると思う。)

面白くて眠れなくなる物理パズル 左巻 健男

アマゾン  https://www.amazon.co.jp/dp/4569837794/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_10VQAbJW86679 あなたは解ける? 謎に満ちた物理のはなし。

物理学は、いうまでもなく自然科学の一部門です。物理学が扱うのは、小さいものは素粒子や原子、大きいものは宇宙まで、自然全部が対象といっていいでしょう。そして、私たちの身の回り現象の背景には、物理の法則がしっかり関係しているのです。

本書では、パズル(クイズ)という形式を入り口にしています。各エッセイの冒頭に掲げられた問題を考えながら、読み進めてください。「ここにも物理法則がある! 」という興味深い発見があり、気がつくと、物理への知見が深まっていくことでしょう。

○本書の目次より/フラスコ内に水は落ちるのか?/夕立後の虹の見つけ方/赤ちゃんには聞こえる音/花粉とアインシュタイン/対流と炎の形/長すぎるストローとジュース/パスカルの原理と道具たち/乾電池70個を直列につなぐ/モーターから音楽は鳴るのか?/こっくりさんはなぜ動く?…

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ほぼ決定:理科の探検(RikaTan)誌10月号:特集「トンデモ・オカルト・カルト」(仮題)の企画

左巻健男@RikaTan編集長です。

以下の企画がほぼ決定しました!

 

理科の探検(RikaTan)誌10月号:特集「トンデモ・オカルト・カルト」(仮題)の企画開始(その2)
http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/03/02/161851

 

2p 左巻健男・特集について(オカルトとカルト含む)
4p 桝本輝樹・科学とオカルト-再興の歴史を探る
6p 左巻健男・TOSS(教育技術法則化運動)向山洋一氏が嵌まったオカルト トンデモ波動・水伝・EM…
4p 左巻健男・トンデモ「縦波重力波」提唱の故関英男氏の愉快な人物像
4p 左巻健男・手かざし療法の無能力を見抜いた9歳・女の子の研究
4p 上川瀬名・話題の地震予知研究は本物かトンデモか
4p 福賴尚志・カルト事件との遭遇体験
4p 小波秀雄・ノセボ・プラセボ効果
4p 小波秀雄・オカルト現象が見えてしまう「幻覚」
4p 高橋昌一郎 ・ジェイムズ・ランディのデバンキング:プロジェクト・アルファとカルロス事件
4p 藤倉  ・幸福の科学のオカルト教育の実態

以上計44p

【過去のカルト・オカルト事件のポイントをふり返る】
3p  藤倉  ・オウム真理教事件
3p  藤倉  ・霊能者宜保愛子氏騒動
2p  藤倉  ・奇跡の詩人騒動
2p  藤倉  ・ライフ・スペース事件
2p  藤倉  ・パナウエーブ・白装束集団事件
3p  藤倉  ・統一協会統一教会霊感商法事件
3p  藤倉  ・法の華三行霊感商法事件
2p  藤倉  ・宗教団体・20世紀ファーム研究所事件(マコモ神社)

以上計20p

左巻健男は6月末あたりまでは【本を書く生活】

左巻健男は今後4月以降に出る本の執筆・編集を進めます。その間にさらに新しい企画がはいってくるでしょう。

 

左巻健男は6月末あたりまでは【本を書く生活】
http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/03/10/164714
【3月に出る本】
左巻健男『面白くて眠れなくなる物理パズル』PHP
左巻健男編著(青野裕幸・左巻恵美子との共著)『身近にあふれる「生き物」が3時間でわかる本』明日香出版社(8回増刷した『身近にあふれる「科学」が3時間でわかる』のシリーズ2弾!)
左巻健男・山下芳樹・石渡正志編著『授業をつくる! 最新小学校理科教育法~2017学習指導要領準拠~』学文社
【4月か5月に出る本】
・『まだまだ身近にあふれる「科学」が3時間でわかる』明日香出版社
【5月か6月に出る本】
左巻健男『おもしろ理科授業の極意』東京書籍
【6月か7月に出る本】
・『身近にあふれる「微生物」が3時間でわかる本』
【9月に出る本】
・『授業をつくる! 最新中高校理科教育法~新学習指導要領準拠~』(仮題)東京書籍

左巻健男は6月末あたりまでは【本を書く生活】

 今月出る編著(青野裕幸・左巻恵美子との共著)『身近にあふれる「生き物」が3時間でわかる本』明日香出版社の校正が終わり、明後日印刷所入り。

 本書は、次のような人たちに向けて書きました。

・めずらしい生き物もいいけど、もっと身のまわりにたくさんいる「身近な生き物」について知りたい!

 

 さっき、『まだまだ身近にあふれる「科学」が3時間でわかる』明日香出版社の自分の担当分20テーマ/全55テーマを書き終えた。

 本書は『身近にあふれる「科学」が3時間でわかる』の続編だが、内容はかなりパワーアップしている。

 前書と共に地道に読まれる本になるといいなあ。全書はすでに8回増刷した。

 

 3/11の週には『面白くて眠れなくなる物理パズル』PHPが出るだろう。
 本書は単行本・文庫を合わせて5万部になった『面白くて眠れなくなる物理』の続編的なもの。
 同様に地道に読まれるといいなあ。

 

 左巻健男・山下芳樹・石渡正志編著『授業をつくる! 最新小学校理科教育法~2017学習指導要領準拠~』学文社 3月中旬発行 ISBN978-4-7620-2772-7
 これから、『授業をつくる! 最新中高校理科教育法~新学習指導要領準拠~』(仮題)東京書籍を開始。

 

 11日から19日までは『おもしろ理科授業の極意』東京書籍 のゲラを見る。
 中学理科の授業がメインだが小学校や高校でもそのスピリット、考え方は参考になるだろう。左巻健男の理科授業論のまとめになる。今のところだと370~380pにはなる。少し削ぎ落とそう。

 

 あと決まっていて今後書いていくのは単著の中学生物・地学の学参ものと編著の『身近にあふれる「微生物」が3時間でわかる本』。

 6月頃までは理科授業本、中高理科教育法と共に進めていく。その後はできれば新書を書きたい。
 きっと今年の後半も【本を書く生活】を送ることになるだろう。