左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

9月に出る予定の左巻健男『ムリなく、ムダなく、小中学校の理科がしっかり身につく』PHPのはじめに・おわりに

 いま書き上げたばかりの『ムリなく、ムダなく、小中学校の理科がしっかり身につく』PHPのはじめに・おわりに の一次原稿です。
 実際は少し変わると思います。

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       //はじめに//

 本書は、次のような人たちに向けて書きました。

1.理科が好きな小学生へ。
 いま学んでいる理科が中学校の理科とどうつながっているかがわ
 かります。背伸びをして中学校の理科から小学校の理科を見直し
 ながら学ぶのも、ずっと深く小学校の理科が理解できていいかも
 知れません。
2.理科が苦手な中学生へ。
 小学校で学んだことをふり返りながら、それを土台に中学校の理
 科を学ぶともっとわかるようになります。
3.理科が好きな中学生へ。
 さらにしっかりと基礎・基本を固めるのに最適です。短期間に理
 科全体を学ぶことで、高度な学習へ向かう土台づくりができます。
4.子どもと一緒に理科を学びたい大人へ。
 一緒に読んで、わかりにくいところを出し合ったり、生活の中で
 関係ありそうなことを出し合ったりして学習を進めることにも、
 手頃な内容構成と分量だと思います。
5.理科を学び直したい大人へ。
 仕事の関係や教養のために理科を学び直したい人はたくさんいる
 でしょう。小中学校の理科のエッセンスを学べば、その上のレベ
 ルにも挑戦できるようになると思います。

 本書には、小学校と中学校の理科のエッセンスを詰めました。こ
の1冊に、基礎・基本をとくに大切にしながら小学校と中学校の理
科のほとんどすべての内容を取り上げています。
 小学校と中学校の理科は、エネルギー(物理分野)、粒子(化学
分野)、生命(生物分野)、地球と宇宙(地学分野)の4つの柱から
なっています。そこで、全体を12章に分けて、各分野に3章ずつを
割り当てました。小学校と中学校で学ぶ重要事項はすべて入れてあ
ります。
 各章は、クイズから開始します。クイズを考えて、各章で学ぶ学
習内容についての皆さんの素朴概念(生活体験やこれまでの学習な
どから思い込んでいる認識群)を意識してから、学習に入っていっ
て貰おうというねらいです。
 適宜、本文中にも小問を入れてありますが、章末で【問題にチャ
レンジ】するような構成にしてあります。
 小学校では理科が好きだったのに、中学校・高等学校へと行くう
ちに理科が苦手になる人には、共通の問題があります。
 それは、教科書などを丸暗記して、理解と納得の学習をしてこなか
ったということです。「こうこうだから、こうなんだ」と論理的に
考え納得しながら学習を進めましょう。学んだことが自分のまわり
のさまざまな物や生物、自分のまわりで起こっている現象とどう関
係があるか、どう活用できるかも意識したいものです。丸暗記の学
習は、試験にはある程度役立つかも知れませんが、時間がたつとほ
とんど忘れてしまい、身につきません。
 本書は、「理解と納得」をしながら学んで、学んだことがしっか
り身につくようにと、内容の精選とその説明に力を尽くしたつもり
です。小さな本ですが、「理科もおもしろい!」と思って貰えたら
大変嬉しいです。

 左巻 健男
 
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    //おわりに//

 本書を書いた左巻健男とはどんな人間なのでしょうか?
 ぼくは、小学生のころ、学校から帰るとランドセルを家に放り投
げて、川や山に遊びに行ったものです。経済的には貧しかっのです
が、いつも毎日が輝いていました。「今日は何がおこるんだろう?」
というわくわくとした好奇心をもって日々を過ごしました。
 でも学校の成績は酷すぎました。それでも理科だけは好きでした。
 学校でわからない授業を6時間も耐えた経験をしてから、何とか
努力して成績をあげて大学・大学院に行きました。
 そして、ぼくのような、わからない授業をうける苦しさを知って
いる人間こそが教員になったほうがいいと、理科の教員になりまし
た。いつも、どう教えたら「わかった!」「おもしろい!」と言っ
てくれるのか、ということで悩みながら、いろんな工夫を込めて授
業や実験をやりました。続けられたのは、ぼくが理科が好きで、子
どもたちにも好きになって貰いたいという気持ちがいつも自分を駆
り立ててくれたことと、子どもたちが「先生の理科はおもしろい!」
と言ってくれたからです。
 長い間、中学生や高校生に理科を教えてきました。その間に検定
中学校理科教科書(『新しい科学』東京書籍)の編集・執筆にも関
わってきましたし、教員向けの実践的な理科教育書や実験書を書い
てきました。
 その後、大学に異動し、小中高の理科教育、一般の方の科学リテ
ラシー(これだけは身につけたいという科学の常識・教養)の育成
を専門にしています。科学リテラシーの育成では、科学者やその科
学の成果と一般の間をつなぐことが大切になります。とくに、昨今
では、科学に見せかけて科学とは言えない、いわゆる「ニセ科学
があふれていますので、そんなものへの批判活動をしています。
 いまも小学校で理科の授業をしたり、学生や先生方に理科の指導
法、一般の人にニセ科学のテーマで講演したりする毎日を送ってい
ます。
 さらに、「観る・知る・遊ぶ サイエンス!」をモットーにした
『RikaTan(理科の探検)』(発行所:SAMA企画 販売元:文理)
という理科の雑誌の編集長をしています。
 60歳後半なのに、いまも理科に魅せられたまま、理科のことでい
ろんなことをやっているのです。本書を発行した出版社では、『面
白くて眠れなくなる』シリーズで、物理、化学、地学、理科、人類
進化、元素(うち、物理、化学、理科は文庫版にもなっている)を
書いてきました。これらは、中学校理科程度かそれより少しだけ
高い程度なので、本書を読まれた人は気軽に読めるでしょう。
 本書は、理科教育を専門とする、そんなぼくが、今までの研究成
果も入れて一生懸命書いたものなのです。
 最後になりましたが、発行にあたって、PHPエディターズの田畑
博文さんに労多い編集を担当していただきました。お礼申し上げま
す。

  2017年8月記   左巻 健男