左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

サルモネラと生卵の話

 サルモネラは一つの菌の名前ではなく、2000種類以上もいるグループの総称である。だからサルモネラあるいはサルモネラ属菌としたい。


 大半はふつうの腸内細菌でおとなしいのだが、その中に、食中毒をおこしたり病原菌になったりするものが20種ほどある。有名なのは、腸チフス菌、ネズミチフス菌、パラチフスB菌、パラチフスA菌だが、とくに汚染鶏卵からの感染ではサルモネラ・エンテリティディス菌(以下SE菌と略す)が問題だ。

 

 SE菌は大変危険な食中毒菌で、今や世界中に広がっている。日本にも1990年頃から侵入してきた。身近で注意を要するのは生卵がSE菌に汚染されている場合である。

 

 生卵で0.02%、つまり1万個に2個程度の汚染である。完全に火を通せば安全だが、もし汚染されていたら生卵や半熟卵は危ない。
 汚染されていても新しい卵なら増殖前なのでまず安全だ。卵の賞味期限は生で食べても大丈夫な期間の目安である。夏場で17日以内、冬場で50日以内と業界で申し合わせている。

 

 「検査しているから大丈夫」とはいえない。1万個に2個程度の汚染では検査をほとんどすり抜けてしまう。
 養鶏場がきちんとした衛生管理をしていないと、鶏舎環境から10何%の検出率などという汚染状態になることがある。


 現在、養鶏場は衛生管理を徹底し、SE菌への防御体制を整えているところがほとんどなのでSE菌による食中毒は減っているようだ。

DND出口俊一氏(EM研究機構顧問だった)との思い出~出口俊一氏は、ぼくと裁判で争うことで何を得たのだろうか?~

 株式会社EM研究機構が「法的措置も含め対応」と呼吸発電さんを沖縄県警に刑事告訴し、検察庁で嫌疑不十分の不起訴処分になったことに関連し、そこには署名もない怪文書のようなものが参照記事(DNDサイトのDNDニュース)になっている。

 その参照記事はDND出口俊一氏によるもののようである。そこで、ぼくとDND出口俊一氏の関わりについての思い出を書いておこう。

 

 ぼくがJSA東京支部の研究集会でニセ科学問題分科会を設置したとき、本部に可笑しなクレームが来た。

 その内容は、「覆面で発表」(くられさんのこと)、「ハンドルネームで発表」(呼吸発電さんのこと)ということだ。

 

 クレーム主はジャーナリスト、金沢工業大学客員教授の肩書きのDND出口俊一氏。

 

 くられさんは始めるとき素顔で発表時に「いつもこうしているので」と断って覆面に。またHNや筆名で発表も可笑しくは無い。

 何のためにDND出口俊一氏はこんなクレームをつけるのか謎だった。

 DNDサイトを見た。そこはほぼ比嘉照夫氏が連載を続ける場だった。EM菌批判への悪罵も多かった。


 EM菌比嘉氏の連載の内容はオカルト・トンデモ・ニセ科学の色が濃く、なぜ金沢工業大学の教授がそんなものを載せているのか?
 比嘉氏の「密閉した容器の中のEM菌がその外のウイルスを失活させる多数の事例がある」を載せるのは真正の**と感想を呟いた。

 

 またDND出口俊一氏はEM菌批判側の個人や所属大学や研究所上層部へEM擁護の立場で様々な攻撃をしていることもわかった。

 暗黒通信団はそのことを「学界のトンデモ 出口俊一【と学会誌初出】」という記事にしていた。

 「要するにやってることはヤクザそのものである。記事に対して記事による反論ではなく、著者と面会して個別撃破しようとするスタンスは、そもそもジャーナリストですらない。」

 と述べていた。

 次が暗黒通信団の記事だ。
「学界のトンデモ 出口俊一【と学会誌初出】」
 http://ankokudan.org/d/d.htm?ron147-ronread-j.html

 

 ぼくは同感してそこから引用して呟いた。

 これでぼくは出口俊一氏との裁判になる。

 そのうちになぜ出口氏が一生懸命にEM批判側を攻撃するのかの謎は解けた。

 DND出口俊一氏はEM研究機構顧問だったのだ。


 裁判は東京地裁控訴審(高裁)もぼくが完全勝利した。

 出口氏は最高裁控訴したが棄却。

 控訴審判決は、

 「出口俊一氏は,ジャーナリストとして,上記行動基準に則らず,比嘉教授の見解を信じる者として,比嘉教授の見解に沿った見解を一方的に伝えているものといえる。」
「出口俊一氏は,EMの効用について否定的な見解を持つ松永教授らに対し,面会を求めたり,勤務先に電話をかけるなどしているのであるから,出口俊一氏は,EMの効果を証明するために記事を書いているといわざるを得ない。」

 とした。(読みやすくするために控訴人を出口俊一氏に変換。)

 以下に、控訴審判決全文を入れてある。

「確定判決に見るDND出口俊一氏のジャーナリストとしての適格性への疑問」
 http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/04/06/105634

 

 これは暗黒通信団記事の「要するにやってることはヤクザそのものである。」についての裁判所の判断だ。
 今、EM研究機構のサイトにDNDニュースに出された記事が参照記事になっているが、それは呼吸発電氏が問い合わせたところ、出口俊一氏がEM研究機構を取材して書いたものだという。
 それを見ればわかるがジャーナリストの基本ができていない。今も記者行動要領に則っていないようで恣意的なEM研究機構側のものを流している。

 判決で、出口氏は記者行動基準に則っていない、と判断されたことを反省して精進してほしい、と願うばかりだ。


 ぼくの弁護は法律事務所アルシエン清水 陽平さんに依頼。裁判に時間はあまりとられなかった。裁判には少々のお金がかかったが、裁判があったのでニセ科学の本を一生懸命に書くことができた。裁判費用は2冊の印税の半分以下ですんだ。本に実感を込めて「もっとも危険なニセ科学と思うのはEM」と書くことができた。

 

 なお、今、出口氏は金沢工業大学客員教授ではない。
 なぜクレーム先にEM研究機構顧問の名刺と共に金沢工業大学客員教授や桧家(ヒノキヤ)取締役の名刺も出したかは、ぼくにはよくわからない。


 DND出口俊一氏との関わりのおかげでぼくはEM菌の問題性をはっきりと認識することができた。

 結果的にはEM研究機構はいい人を顧問に雇ったものだと思う。EMの可笑しさを様々な行動や記事で示してくれたからだ。そして自らのジャーナリストとしてのレベルも露わにしてくれた。

 

 DND出口俊一氏との裁判は、ぼくの側からだが、次にまとめた。

 「ドキュメント スラップ名誉毀損裁判
『EM菌擁護者と批判者の闘い』」 左巻健男
 A5 表紙込20ページ (推定36グラム) 末端価格200円(税抜)
 http://ankokudan.org/d/d.htm?detail099-detailread-j.html
【買う】 丸善ジュンク堂  Amazon  楽天  セブン

 

 一体、DND出口俊一氏は、ぼくと裁判で争うことで何を得たのだろうか?

(以上)

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【以下、関連の記事】

 

DND出口俊一氏とEM研究機構がまずなすべきは反省ではないか。:EM菌で「消毒」していてサルモネラの検出率が増えてしまったA養鶏場の話から -
http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/04/05/220000 … 

 

確定判決に見るDND出口俊一氏のジャーナリストとしての適格性への疑問 -

http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/04/06/105634

  

DND(+EM研究機構顧問だった)出口俊一氏がぼくとの裁判で控訴理由書に書いた桧家と金沢工業大学のこと
http://samakita.hatenablog.com/entry/20170915/p1 

 

「EMの夢の住宅」と桧家ホールディングスの「住宅」には利害関係があるのでは?〜なぜ出口俊一氏は桧家取締役の名刺をクレーム先に出したのか?〜
http://samakita.hatenablog.com/entry/20170623/p1 

わが国は世界屈指の長寿国で、その土台に戦後の白米+副食の「和食」があるだろう

   白米で糖尿病リスクという説が流れているが、わが国は世界屈指の長寿国で、その土台に戦後の「和食」があるだろう。


 白米を中心にして多種多様な食材の組み合わせだ。
 それを忘れて米国のような副食ばかりのオンパレードは健康に悪い。玄米はカドミウムヒ素が多いし、消化も悪い。

 

 米国では精白した穀類は駄目で全粒粉がいいという都市伝説があるが、いわゆる健康にいいものばかり食べている人とそうでない人の調査でがんや寿命にほとんど差がない。

 

 適度な量でいろんなものを食べるのがいい。それには白米中心の和食は適している。

 

 そんなことも含めて友人知人の医師・生物学者らと『「健康にいい」ものばかり食べると早死にします』カンゼンを出した。

f:id:samakita:20171212144815p:plain

関英男『高次元科学』を読んでみた

EM(EM菌)の本質という関英男氏の「重力波」 - http://samakita.hatenablog.com/entry/20150806/p1

に関連して、関英男『高次元科学』を読んでみた。

 

 金星は優良星でそこにすむ植物たちは人間にお辞儀をしてくれる。関氏は太陽の表面は26度で人が住んでいる、黒点は森林地帯と信じている。そういう関氏の重力波を比嘉照夫氏は気に入ったようだ。

 

 故関英男氏は本当にゆかいな人物だ。彼に霊能者や超能力者が色々な情報を持ち寄るので新発見の連続!この前『高次元科学』を読んだが頭クラクラ。

 

 まずガン、エイズの本当の原因を新発見!原子をつくる陽子には意識があり、中性子には意思がある。
 陽子の形が歪むとエイズに、中性子が歪むとガンになるという。

 

 太陽の表面温度は26℃で地球人類よりずっと高いレベルの人類がすんでいて、地球にたくさんのメッセージを寄せている。

 いやあ、EM菌比嘉照夫氏が彼の縦波重力波に魅せられるのはよくわかるオカルト・トンデモだ。

 

 北海道の藤原由浩氏は25億光年離れた星と念波通信。又藤原氏はその星に350回以上行ったり来たりしているという。しかしそこからの情報なるものが陳腐だが関氏は信じてしまう。

 

 あらゆるオカルト・トンデモを無邪気に全部信じてしまう関氏。本当におもしろい人だ。

 

 関英男氏の元に霊能者や宇宙とコンタクトしている人らが色々情報を持ってくるので総合的にとらえて宇宙の法則を見つけるのが彼の役割だって。

 

 「21世紀の地球は優良人類の惑星。超能力は当たり前で犯罪も病気もなく、お金儲けにあくせく働く必要もない。まったく夢のような時代が実現」。

 

にゃん、元日本共産党党員‏ @zQNgvKAc85MQ6W0さんとのやり取り

にゃんさん:
陽子と中性子のくだりは狂ってますね…
太陽の表面温度については都市伝説的?に低温であるとの説は有名で聞いたことはありますが…そんな説もあるのかと思ったことがあります…

  

左巻健男

はい、ニセ科学ですね。
http://blog.livedoor.jp/blackwingcat/archives/1945263.html
「これをいいことに、『謎の波動 健康器具』や 『いい波動をもったEM菌』 を使ったニセ科学によるぼったくり商法が蔓延するのである。」

 

にゃんさん:
その説を出してるのとEMが繋がるとは…まともなことを言わないのか…
話し変わりますが、下のような商品もたまげましたよ…
わないのか… 話し変わりますが、下のような商品もたまげましたよ…(略)

 

左巻健男
ニセ科学の製品はうたい文句が似ていますねえ。(^_^)
騙す方がずっと悪いけど、騙される方も低レベル過ぎだよなあ。

 

にゃんさん:
騙されるほうも騙されるほうだと思いますね…まあでも騙されてる人は良い人が多いような気がします?悪い人では無いんですよ、皆…

「自分は特別」という自己愛過剰の人は辛いだろうな

 俺のようなバカにはよくわからないが「自分は特別」という自己愛過剰の人は辛いだろうな。

 学歴や経歴をプライドにするがその実、本当のところは自信がなく自尊心が保てない。

 

 例えば某新聞の書評委員は「自分の本が取り上げて貰えないから阿鼻叫喚」などと言っていた。そんな下劣に詰まらん書評をして貰う必要はない。ある原稿料の安い雑誌に「書かせていただき光栄」が「安い原稿料で搾取された」になった。それを見ていて何の反響もなかった詰まらない原稿を書いたことを反省してほしいと思った。

 

 その背後には酷いコンプレックスがあるのだろう。それを隠すためには高学歴をひけらかすしかない。自分に向けられたちょっとした言葉に過敏に反応し傷つくのも特徴だ。見下され不安が強い。他人への甘えが強く甘えの心理で自己中心性から抜け出せない。
 こういうタイプは外見も着飾る。賞賛がほしくてたまらない。ギブアンドテイクが成り立たない。よくクレーマー行為も。クレーマーの増加は自己愛過剰社会の病理が関係している。

 by榎本博明『病的に自分が好きな人』を読んで…

沖縄県警はEM菌の問題性を理解してほしい

DND出口俊一氏とEM研究機構がまずなすべきは反省ではないか。:EM菌で「消毒」していてサルモネラの検出率が増えてしまったA養鶏場の話から -
http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/04/05/220000

確定判決に見るDND出口俊一氏のジャーナリストとしての適格性への疑問 -
http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/04/06/105634

 に関連して、次をツイッターに。

沖縄に居るとEM菌まみれだから(いろんな製品にEM何とかが目立つ)県警もEM側になびきやすかったと思うが、今回のことで県警がEMの問題点をわかってくれたらいいな。EM研究機構による次の犠牲者を出さないために。
https://twitter.com/samakikaku/status/984188592145629184

左巻健男&理科の探検’s blogの最近のアクセス第1位~第6位

【*最近のアクセス数1位】

ツイッターのおもしろくてかなしいアカウントhowtodominate(1,2型糖尿病の人は要注意!) -
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【*最近のアクセス数2位】

教師も騙される! 学校教育に入り込んだ“トンデモ科学”――左巻健男×川端裕人 -
http://samakita.hatenablog.com/entry/20170315/p1

【*最近のアクセス数3位】

松﨑いたる板橋区議の裁判に関して日本共産党への要望 -
http://samakita.hatenablog.com/entry/20161022

【*最近のアクセス数4位】

花粉を水に変えるマスク」根拠論文を批判したら医学部教授から集団訴訟と脅された「騒動」 -
http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/03/23/102352

【*最近のアクセス数5位】

確定判決に見るDND出口俊一氏のジャーナリストとしての適格性への疑問 -
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【*最近のアクセス数6位】

DND出口俊一氏とEM研究機構がまずなすべきは反省ではないか。:EM菌で「消毒」していてサルモネラの検出率が増えてしまったA養鶏場の話から -
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ツイッターのおもしろくてかなしいアカウントhowtodominateについてHitoMatsu‏ @HitoMatsu123さんとやり取り

ツイッターのおもしろくてかなしいアカウントhowtodominate(1,2型糖尿病の人は要注意!) - 左巻健男&理科の探検’s blog http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/03/22/000000
脳卒中くも膜下出血は違う」というhowtodominate。くも膜下出血脳卒中の範疇なのに。

 

「◯◯専門医を持つ内科勤務医」のHitoMatsu‏ @HitoMatsu123さんが応答。

次から次へと自分の都合のいい経歴を造っていってとんでもない経歴になってますねw

 左巻健男&理科の探検RikaTan‏ @samakikaku

盛り盛り経歴www それでいて「背中の曲がったおばあちゃんがいるでしょ、あれ実はろっ骨が細かく骨折してるんです。」などおおばかこく。医師を騙り患者になんか言うの止めさせたい。 

元友人です。経歴を盛ることでしか存在主張ができないあわれな人。ぼくはリアルな保護生活を語ってほしいと思っています。

HitoMatsu‏ @HitoMatsu123さん 

偽医者とわかってて見てる分には面白いですが、本物の医者と信じて診断を信じる人がいたらマズイですね。
ちなみに医師じゃないのに医師と名乗るのは医師法18条違反で犯罪行為です。 

 左巻健男&理科の探検RikaTan‏ @samakikaku

とくにDM患者を見つけてやり取りするんで、また警察に相談してみます。

 HitoMatsu‏ @HitoMatsu123さん

医師法第一八条 医師でなければ、医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。」
違反すると50万円以下の罰金刑です。そこまで重い刑ではありませんが、れっきとした犯罪です。実際の患者に医師と騙って無責任なアドバイスをしてるのであれば警察も動き出すかもしれません。

左巻健男&理科の探検RikaTan‏ @samakikaku

大変参考になります。日本国内にいるのに北京に、米国大使館に亡命して日本国籍を捨てたという「設定」はそのことがわかっているからかも知れませんね。

 HitoMatsu‏ @HitoMatsu123さん

ほぼ間違いなく嘘だと思いますが、例え仮に日本国籍じゃなくても日本国内で犯罪をすれば基本的に日本の法律で裁かれます。その設定は無駄な足掻きというものですねw

 

確定判決に見るDND出口俊一氏のジャーナリストとしての適格性への疑問

 DND出口俊一氏は「ジャーナリスト」を自称し、自分のEM擁護の活動をその取材活動の一環としているが、私は下記の拙ブログ記事でもそれに疑問を投げかけている。

DND出口俊一氏とEM研究機構がまずなすべきは反省ではないか。:EM菌で「消毒」していてサルモネラ菌の検出率が増えてしまったA養鶏場の話から
 http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/04/05/220000

  私は、出口氏と、次の裁判で争った。

 「平成28年(ネ)第4573号 損害賠償等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所 平成27年(ワ)第8495号)」 

  東京地裁で私が完全勝利し、控訴審でも私が完全勝利し、出口氏は最高裁まで控訴したが棄却され、私の完全勝利で判決が確定した。
 その控訴審判決の中にある出口氏のジャーナリストについての判断を紹介しておきたい。
 出口氏は、この判断をよく考えて反省すべきであると考えるのだが、未だ、DNDニュースとして配信された記事を見ると、ジャーナリストの適格性に欠ける行為をしているように思える。

 

 最後に住所など個人情報などを削除した判決の全文を掲載しておくので前後の文脈などはそれで確認されたい。
 なお、控訴人=出口俊一氏、被控訴人=私、左巻健男である。
 そこで読みやすくするため、控訴人を出口俊一氏に置き換えておくことにする。

 

【3 当裁判所の判断】

1 (3)EMの成分の詳細が不明であり,放射能の除去に資する効用については,放射能の専門家には認められておらず,比嘉教授がうたうその余のEMの効果についても,科学的な根拠及び機序の存在について第三者による検証を十分に経ているとはいえない状況の下,出口俊一氏は,出口俊一氏サイト上に編集長としてEMを擁護する記事をたびたび掲載している。すなわち,朝日新聞記者行動基準(甲44(1枚目))が,「独立と公正」の項目で記者の基本姿勢として,「特定の個人や勢力のために取材・報道をしてはならず,独立性や中立性に疑問を持たれるような行動をとらない。」と定めているところ,出口俊一氏は,ジャーナリストとして,上記行動基準に則らず,比嘉教授の見解を信じる者として,比嘉教授の見解に沿った見解を一方的に伝えているものといえる。

 出口俊一氏は,EMの効用について否定的な見解を持つ松永教授らに対し,面会を求めたり,勤務先に電話をかけるなどしているのであるから,出口俊一氏は,EMの効果を証明するために記事を書いているといわざるを得ない。

(4)出口俊一氏は,出口俊一氏サイト上に編集長としてEMを擁護する記事をたびたび掲載しており,そのような立場にある者は,表現の自由との関係で,ある程度の批判や否定的な意見を受けることは,当然に覚悟すべき立場にあるといえる。

(5)出口俊一氏のこれらの供述から,出口俊一氏が松永教授らに対して面会を求めたのは,ジャーナリストとして,取材対象者である松永教授らと直接面会して,松永教授らの見解がどのようなものかを真摯に聴き取って記事にするためではなく,松永教授らの見解が誤っているとの前提の下,これを糺すためであったと言わざるを得ない。したがって,出口俊一氏の上記主張も当を得たものとはいえない。

 以下、参考のために控訴審判決のほぼ全文を掲載しておく。

OCRで文字認識したので一部誤認識が混ざっている可能性がある。 

───────────────────────────

平成29年2月23日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 ○○○○
平成28年(ネ)第4573号 損害賠償等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所 平成27年(ワ)第8495号)
(口頭弁論終結日 平成28年12月20日)

      控   訴   人   出 口 俊 一
      被   控   訴  人  左 巻 健 男

        主  文
     1 本件控訴を棄却する。
     2 控訴費用は控訴人の負担とする。

          事 実 及 び 理 由

 

第1 控訴の趣旨

 

1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,控訴人に対し,1100万円及びこれに対する平成26年12月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被控訴人は,控訴人に対し,原判決別紙1の2,同1の3,同2の2及び同2の3記載の被控訴人が管理するツイッタ一に掲載している各記事を削除せよ。
4 被控訴人は,控訴人に対し,原判決別紙3謝罪広告目録記載の内容の謝罪広告を,原判決別紙4の掲載要領により,披控訴人が管理するウェブサイト(ホームページのアドレスが「http://d.hatena.ne.jp/samakita/」であるもの。)上に掲載せよ。
5 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。

 

第2 事案の概要等

 

1 事案の概要
 本件は,控訴人が,被控訴人がウェブサイト又はツイッター上に掲載した記事が控訴人の名誉感情を侵害し,又は名誉を毀損するものであるとして,被控訴人に対し,①不法行為に基づく損害賠償として1100万円(慰謝料1000万円及び弁護士費用100万円の合計額)及びこれに対する最後に記事が掲載された日(不法行為の最終日)である平成26年12月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,②人格権に基づき,原判決別紙1の2,同1の3,同2の2及び同2の3記載のツイッタ一に掲載されている各記事の削除を,③民法723条に基づく名誉を回復するのに適当な処分として謝罪広告の掲載を,それぞれ求める事案である。
 原審は,控訴人の請求をいずれも棄却した。これに対し,控訴人が本件控訴をした。

2 前提事実は,次のとおり付加訂正するほかは,原判決の「事実及び理由」第2の1に記載のとおりであるから,これを引用する。
(1)原判決3頁2行目の「原告プログ」を「控訴人サイト」と改め,以下,原判決中「原告プログ」を「控訴人サイト」と読み替える。
(2)原判決3貢2行目の「運営している。」の次に,以下のとおり加える。
 「控訴人サイトでは,学者及び識者ら30余名が連載記事を掲載している。(甲26(2頁),弁論の全趣旨)」
(3)原判決3貢13行目の「被告ブログ」を「被控訴人ブログ」と改め,以下,原判決中「被告ブログ」を「被控訴人プログ」と読み替える。
(4)原判決3頁21行目の「被告ツイッター」を「被控訴ツイッター」と改め,以下,原判決中「被告ツイッター」を「被控訴ツイッター」と読み替える。

3 争点は,原判決の「事実及び理由」第2の2に記載のとおりであるから,これを引用する。
4 争点に関する当事者の主張は,次のとおり付加訂正するほかは,原判決の「事実及び理由」第2の3に記載のと通りであるから,これを引用する。
(1)原判決5頁1行目末尾の次に,以下のとおり加える。
 「控訴人は,ジャーナリストとして事実についての情報を発信し続けている者であり,EMはその取材対象の一つである。控訴人は,EMの研究者ではなく,EMについて独自の科学的見解を持っているわけではない。
 控訴人は,ジャーナリストとして,EMが役立てられている災害現場等に足を運んで取材を行い,国内外でEMの効用が実証されている事実並びに多数の学術機関及び研究機関において,EMの研究が進められ,数多くの国でEMが現実に使用されているという事実に接してきた。控訴人は,このような取材によって得られた事実を自身のブログにメールマガジン(以下「メルマガ」という。)として掲載し続けてきたが,EMの効果を科学的に証明するためではない。ノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智教授(以下「大村教授」という。)は,著書において,EMについて,「一農学者によって,化学肥料を使う以前の農業の中にあった人類の智恵が歴史から抜け出し,再び役立とうとしているのである。」と述べており,マサチューセッツ工科大学の正木一郎教授(以下「正木教授」という。)は,国際会議の開会式で,EMの力を示す様々な実例について述べた上で,世界が抱える地球規模の環境問題は,比嘉博士の理論によれば,微生物の効果的な応用によって解決することができると述べている。被控訴人による「真正のおばか」,「嘲笑するしかない超低レベル」等の表現は,批判的意見の範疇を超え,加害の意思をもって,EMに関する肯定的な事実を報道する控訴人の人格そのものを否定するものである。上記表現の記載された平成25年12月記事は,被控訴人ナログに掲載されることにより,世界中の誰もがいつでも閲覧することができる状態となり,被控訴人ツイッタ一に掲載されることにより,多数のフォロワーが閲覧し,リツイートされることにより,際限なく拡散されたものであり,極めて悪質である。」
(2)原判決6頁6行目から7行目にかけての「原告主張摘示事実」を「控訴人主張摘示事実」と改め,以下,原判決中「原告主張摘示事実」を「控訴人主張摘示事実」と読み替える。
(3)原判決6頁7行目から8行目にかけての「被告は,このような事実を摘示したことにより,」を,以下のとおり改める。
 「平成26年10月記事の掲載された被控訴人プログには,「彼がEM批判者の自宅に押しかけたり,所属大学に圧力をかけたりしたのを知り,そこまでやるのは何かあるよね,と,比嘉照夫氏の本やウェブの記事を一生懸命読んでみた。」,「何せ『ヤクザそのもの』という行為をやるわけだから」及び「出口俊一氏は,大学客員教授金沢工業大学客員教授の肩書きを使って,EM批判者らに圧力をかけたりしたことを大学は知っているのだろうか」と記載されており,披控訴人は,控訴人主張摘示事実により,」
(4)原判決8頁2行目の「原告は,」から3行目ないし4行目の「内容ではなかった。また」までを,以下のとおり改める。
 「具体的には,控訴人は,松永教授に確認取材をしたいと考え,函館に到着した後,松永教授に対し,電話で,一緒に食事でもしながらお話できないか。」と外に誘ったが,松永教授は,体調が思わしくなく外出が無理とのことであった。そこで,控訴人は,松永教授の自宅を訪問することにしたが,松永教授は,自宅を訪ねた控訴人を快く迎えてくれた。控訴人は10分程度で引き上げるつもりであったが,松永教授から引き留められて面談時間が25分余りとなった。また,控訴人が,DNDのメルマガで,朝日新聞青森版のEM批判記事を問題にしたところ,片瀬は,控訴人に対し,「事実が違うのは出口氏の方だ」との記事をプログに記載した。
 控訴人は,上記ブログには事実と遣う箇所が散見されたため,片瀬に対し,メールで面会を求めたに過ぎない。さらに,飯島准教授は,学会で行った展示において,EMを悪質商法とし,EMをオウム真理教になぞらえる等の誹謗中傷行為を行っていた。このため,控訴人は,平成26年3月31日,飯島准教授の在籍確認と上記展示についての事実確認のため,神田外語大学の広報課に電話をしたが,わずか2,3分の通話であり,激しく抗議するような内容ではなかった。ところが,その直後から飯島准教授は,ツイッター上で,控訴人から恫喝を受けたとの書込みを繰り返すようになった。そこで,控訴人は,同年12月16日,事実確認のため,神田外語大学の広報課を訪ねたところ,広報担当者は,控訴人が電話で恫喝したなどと飯島准教授に伝えた事実はないと明確に述べた。このようた,松永教授らに対する取材は,通常の取材方法及び態様の範疇に収まるものであり,ヤクザと称されるような不適切なものではなかった。被控訴人は控訴人の取材方法を批判するに際して,「ヤクザそのもの」などという言葉を用いる必要性がないにもかかわらず,あえて「ヤクザそのもの」という言葉を用いて,控訴人のジャーナリストとしての信用を貶めたものである。なお,取材対象者と直接面会することはジャーナリストとして,基本中の基本である。例えば,朝日新聞記者行動基準(甲44)は,「取材方法」の項目において,「出来事の現場を踏み,当事者に直接会って取材することを基本とする。特に,記事で批判の討象とする可能性がある当事者に対しては,極力,直接会って取材する。」と定めている。なお,」
(5)原判決8貢9行目の「さらに,」を,以下のとおり改める。
 「そして,被控訴人は,平成25年11月30日から同年12月1日にかけて日本科学者会議東京支部主催で開催された第17回東京科学シンポジウムにおいて,「ニセ科学問題」という分科会を設置,企画した責任者であった。上記分科会のあり方に疑問を抱いた控訴人が,日本科学者会議事務局に対し,そのような運営方法が学会の運営として望ましいものかどうかを確認して欲しい旨のメールを送ったことを契機として,被控訴人は,控訴人に対し「攻撃的な姿勢を見せるようになった。また,被控訴人が編集長を務める雑誌「理科の探検」に掲載されていた松永教授の論文が,国立研究開発法人科学技術振興機構が運営するサイトにも掲載されていたが,上記機構は,松永教授の論文を削除した。被控訴人は,控訴人の言動により松永教授の論文が削除されたものと考えていた。このように,」
(6)原判決8頁17行目から18行目にかけての「大きな精神的苦痛を受けた。これを慰?するに足りる金額は1000万円を下らない。」を,以下のとおり改める。
 「著しい精神的打撃を受け,1年半以上.パソコンに向かって原稿を書くことが困難となった。上場企業である株式会社桧家ホールディングスの社外取締役でもある控訴人は,同社の経営陣に対する事情説明及び弁明を余儀なくされ,金沢工業大学准教授であった控訴人は,その職を辞任せざるを得なくなった。被控訴人による控訴人へのあまりにも酷い誹語中傷を目の当たりにした控訴人の妻は体調を崩すに至った。控訴人が受けたこのような精神的苦痛を慰籍するに足りる金額は1000万円を下らない。」

 

3 当裁判所の判断

 

1 当裁判所は,控訴人の請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は,次のとおり付加訂正するほかは,原判決の「事実及び理由」第3に記載のとおりであるから,これを引用する。
(1)原判決9頁9行目の「客員教授を努めたことがあった」を「客員教授を勤めたことがあった」と改める。
(2)原判決15頁9行目から10行目にかけての「ある」とはいえない。」の次に,以下のとおり加える。
 「大村教授の著書(甲38(6枚目))には,EMについて触れた部分があるものの,微生物を利用するEM技術の発想が,農業において有意義であることを述べたにとどまるものである。確かに,証拠(甲39の2・3)によれば,正木教授は,EMの効果について,比嘉教授の見解に賛同を示していることが認められるものの,EMの効果として挙げている実例について,自ら科学的に検証しているわけではない。」
(3)原判決15頁22行目末尾の次に,以下のとおり加える。
 「これに対し,控訴人は,EMの研究者ではなく,EMについて独自の科学的見解を持っているわけではなく,ジャーナリストとして事実についての情報を発信し続けている者で即,EMはその取材対象の一つである旨主張する。しかし,前記のとおり,EMの成分の詳細が不明であり,放射能の除去に資する効用については,放射能の専門家には認められておらず,比嘉教授がうたうその余のEMの効果についても,科学的な根拠及び機序の存在について第三者による検証を十分に経ているとはいえない状況の下,控訴人は,控訴人サイト上に編集長としてEMを擁護する記事をたびたび掲載している。すなわち,朝日新聞記者行動基準(甲44(1枚目))が,「独立と公正」の項目で記者の基本姿勢として,「特定の個人や勢力のために取材・報道をしてはならず,独立性や中立性に疑問を持たれるような行動をとらない。」と定めているところ,控訴人は,ジャーナリストとして,上記行動基準に則らず,比嘉教授の見解を信じる者として,比嘉教授の見解に沿った見解を一方的に伝えているものといえる。
 また,控訴人は,ジャーナリストとして,EMが役立てられている災害現場等に足を運んで取材を行い,国内外でEM甲効用が実証されている事実並びに多数の学術機関及び研究機関において,EMの研究が進められ,数多くの国でEMが現実に使用されているという事実に接してきており,このような取材によって得られた事実を控訴人のブログにメルマガとして掲載し続けてきたが,EMの効果を科学的に証明するためではないとも主張する。しかし,控訴人は,原審での本人尋問において,松永論文について,EM潰しの悪しき攻撃が始まったとの印象を持ったと供述し(調書7頁),飯島准教授が,学会でEMを悪徳商法などと批判して,学会でEMの効果はないと発表し,EMを批判するグループは徹底的にいろんな場所でEMの効果はない,問題が大きいと繰り返し言っていると供述し(調書11頁),片瀬が,研究会でEMの効果がないという嘘を発表したと供述しており(調書13頁),しかも,前記1の認定事実(5)ないし(7)のとおり,控訴人は,EMの効用について否定的な見解を持つ松永教授らに対し,面会を求めたり,勤務先に電話をかけるなどしているのであるから,控訴人は,EMの効果を証明するために記事を書いているといわざるを得ない。」
(4)原判決16頁13行目末尾の次に,以下のとおり加える。
 「さらに,控訴人は,控訴人サイト上に編集長としてEMを擁護する記事をたびたび掲載しており,そのような立場にある者は,表現の自由との関係で,ある程度の批判や否定的な意見を受けることは,当然に覚悟すべき立場にあるといえる。」
(5)原判決19頁10行目の「認められる。」の次に,以下のとおり加える。
 「控訴人は,松永教授の自宅を訪問した際,快く取材に応じてもらったと主張し,上記主張に沿う証拠として,そのときの音声データ(甲40の1)を提出し,飯島准教授の勤務する神田外語大学に密話をしたとき,恫喝した事実はないと主張して,上記主張に沿う証拠として,そのときの音声データ(甲43の1)を提出する。しかし,科学的事象について,自己の見解と異なる見解を持つ者に対し,直接面会するという取材方法が問題となる中であって,控訴人の取材のときの態度や物腰が問題となるのではないのであるから,控訴人の上記主張は当を得たものとはいえない。また,控訴人は,取材対象者と直接面会することはジャーナリストとして,基本中の基本である旨主張し,朝日新聞記者行動基準(甲44(1枚目))を証拠として提出する。確かに,社会的事実については,情報を持っている者と面会し,真偽を確認することは意義のあることといえる。しかし,科学的見解については,その見解を有する者と直接面会しても,その見解を科学的に検証したことにはならないのであって,証拠(甲40の1・2)によれば,控訴人は,松永教授と面会したとき,科学者としての知見に基づきEMの効用について否定的な見解を述べる松永教授に対し,明確な科学的根拠を示さずに反駁していることが認められる。さらに,控訴人は,原審での本人尋問において,松永教授について,間違っていると思っても,確認作業は欠かせない,相手がはっきり事実と違うことを言っていても,これはどうなんでしょうかと訪問して聞くのがジャーナリストの取材姿勢である旨供述し(調書8頁),飯島准教授について,EMを批判するグループは,徹底的にいろんな場所でEMの効果がないと繰り返して言っているので,きちっと事実関係を確認する必要があると思って広報に連絡した旨供述し(調書11頁),片瀬について,控訴人の批判記事を書いたので,一方的に人を批判するときは本人に確認を取る必要があることを話そうと思って面談を申し込んだ旨供述する〔調書13頁)。控訴人のこれらの供述から,控訴人が松永教授らに対して面会を求めたのは,ジャーナリストとして,取材対象者である松永教授らと直接面会して,松永教授らの見解がどのようなものかを真摯に聴き取って記事にするためではなく,松永教授らの見解が誤っているとの前提の下,これを糺すためであったと言わざるを得ない。したがって,控訴人の上記主張も当を得たものとはいえない。」
(6)原判決20頁18行目から19行目にかけての「その表現ぶりが辛辣なものではあるが,」を,以下のとおり改める。
 「「ヤクザそのもの」という言葉は,辛辣なものではあるが,前後の文脈から,控訴人が暴力団関係者であると指摘しているのではなく,控訴人が松永教授らに面会を求めるなどしたことが,ジャーナリストとして強引な取材方法であることを表現したにとどまることは明らかであり,」

 

2 結論

 

 以上によれば,控訴人の請求は,その余の点について判断するまでもなく,いずれも理由がないからこれらを棄却すべきであるところ,上記判断と同旨の原判決は相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとする。
 よって,主文のとおり判決する。

 

  東京高等裁判所第10民事部

裁判長裁判官   大   段   亨
裁判官   小   林   元   二
裁判官   松   本   真

DND出口俊一氏とEM研究機構がまずなすべきは反省ではないか。:EM菌で「消毒」していてサルモネラの検出率が増えてしまったA養鶏場の話から

徳島県H23年度畜産関係業績発表会抄録集 4 鶏卵衛生事業におけるサルモネラ検出率の推移と疫学関連調査について」に、

“EM菌で「消毒」していてサルモネラの検出率が増えてしまったA養鶏場の話”

 がある。(最後にその画像を張っておこう。)

 

 これは明確に、EM菌がサルモネラの「消毒」について万能ではないことを示している。

 ところが、株式会社EM研究機構は、「「EM卵はサルモネラ菌に汚染されている」といった悪質な書込みがございます」という。鶏卵では無くても、鶏舎環境がサルモネラ汚染されている事実は無視できないだろう。この指摘をツイッターまとめで行った男性に対して、EM研究機構が刑事告訴をしたというDNDニュースがDND出口俊一氏のサイトに掲載された。

 

 EM研究機構は、そのニュースを「参照記事」として次のように述べる。

EMが開発されてからこれまで、インターネット上で誹謗中傷されているような詐欺やサルモネラ汚染が問題になった事実は一切ございません。弊社といたしましては、このような悪質な書き込みに対して法的措置も含め対応を行っており、実際に刑事告訴書類送検されたケースもございます(参照記事)。 

 

 その参照記事は無署名の記事だ。そこで問題にされている「男性」は「呼吸発電」氏である。

 その記事は誰が責任執筆者なのか?

 そこで呼吸発電さんが沖縄県警に問い合わせたら出口俊一氏がEM研究機構に取材してまとめたものという答えだった。

 

 その記事中に当の出口氏についても書いている。

EM の開発者である比嘉照夫琉球大学名誉教授と交流があるジャーナリストの出口俊一氏

 なるほど、出口氏が自分のことをそう規定しているのか。

 

 交流があろうがなかろうが、EM研究機構だけを取材してその言い分だけを述べるのはジャーナリストがやることではないだろう。それはEM研究機構のために動く兵隊さんのようだと思われても仕方がないだろう。一方的な取材しているようでは、ジャーナリストと言えないと思う。


 そのニュースで「特に、EM による養鶏場から生まれた卵がサルモネラ菌に汚染されている、とまったく事実無根のデマ情報…」としたが、徳島県H23年度畜産関係業績発表会抄録集にある報告による鶏舎環境からのサルモネラ検出はそれの反証になっている。(4/20追記 卵が汚染されていなくても鶏舎からの高い検出率は卵が汚染されやすい状況と言える。

 その報告は、沖縄県警が検察庁に送検した書類にも徳島県アーカイブにもある証拠の1つである。事実確認しないでEM研究機構の言い分を垂れ流すのは、ジャーナリストと言えないだろう。

 

 しかも、EM研究機構による刑事告訴検察庁沖縄支部「嫌疑不十分」「不起訴処分」になった。立件されないで終了である。

 すると、ニュースにある「その容疑を認める供述」をしたというのは、EM研究機構だけの取材で、その言い分を書いたに過ぎなくなる。本当に容疑を認めていれば不起訴処分にはならないだろう。実際、呼吸発電氏はそんな容疑を認めていないという。

 検察庁が不起訴処分にするような刑事告訴でしかなかったのである。

 

 沖縄県警が言うように出口氏がニュースの書き手だとすると、取材は一方的で酷いものだ。そして、その取材源はEM研究機構で、そのEM研究機構が「参照記事」としてあげる。出口氏とEM研究機構は素晴らしい交流ぶりである。ぼくとの裁判で出口氏は「EM研究機構顧問」だったことが明確になったが、今もその仕事をしているのかと疑いたくなるような事態であり、少なくてもニューナリストとしては低レベルであると思う。

 

 EM側は、比嘉照夫氏が朝日新聞を訴えたが、完全敗北で終わっている(その際、出口氏は比嘉氏側の陳述人であった)。

 DND出口俊一氏はぼくを訴えたが、出口氏の完全敗北で終わってる。

 そして今回、EM研究機構は呼吸発電さんを刑事告訴したが「嫌疑不十分」で「不起訴処分」になった。

 出口氏が書いたというニュースの内容の信憑性が問われる事態である。

 

 こんなことをくり返す前に、EM菌で「消毒」していた養鶏場でサルモネラ菌の検出率が上昇という事実を受け止め、その原因を徹底的に究明し、今後に活かすことが重要ではないだろうか。EM製品の中には自然発生的に黒色のカビ・細菌が増殖したことがあるが、その原因究明の結果も報告されないままだ。

 なすべきことはまずは反省ではないだろうか。

 

※なお、この記事について訂正要求があるなら言ってほしい。納得すれば直すつもりがある。また公開で議論するつもりもある。>出口俊一氏+EM研究機構

【抄録の該当の画像】

f:id:samakita:20180406002718j:plain

  

左巻健男SNSで紹介した拙ブログ記事一覧(花粉を水に変えるマスク・松﨑区議地裁で勝利・EM菌3/23~4/4)

ニセ科学全般■

 

ニセ科学は誰を狙うか(先覚者と素直な人:低知的レベル)http://samakita.hatenablog.com/entry/20111014/1318551966
*ふつう、ニセ科学は初めから抵抗者は相手にしない(愚かなニセ科学は動揺して相手にしてしまう)。まず狙うのは先覚者と素直な人。宣伝もそれにふさわしい人を使う。

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■EM菌関連■

 

【EM菌 学校で校長がこんなことをやっていいのか?】
学校で校長がEM米のとぎ汁発酵液を各教室で噴霧!(以前のことだが)   
http://samakita.hatenablog.com/entry/20170528/p1

*超音波加湿器に、EM米のとぎ汁発酵液…加湿器内の水の通り道に黒いカビが生えやすいことがあった。→EM菌って弱いなあ。黒いカビにやられる。

そして退職してからも家庭菜園でEM結界づくりをやっている。

 

比嘉照夫総監修『EM医学革命』2000を読んでみた! http://samakita.hatenablog.com/entry/20160329/p1
*1番目:石神正文氏。千島学説信奉の医師に同姓同名が存在。がん患者に赤ちゃん用の粉ミルクを溶いて飲ませる粉ミルク療法など。…こういう人がEM菌に嵌まるのか。
*2番目:広島の梶川憲治氏。検索したら、純金製の棒で患部や全身をさする、ごしんじょう療法に無限の可能性があると推薦。2009年に大腸がんで逝去していた。60台半ばだと思う。EM飲用者。
*登場医師3番目:福山クリニック院長の加藤信夫医師。EM-Xを点滴! 末期がん患者4人。疼痛がとれたという。結果は全員亡くなった。清涼飲料水EMXを点滴するようなことは許されるのか?
*4番目:小澤博樹氏。…マクロビオティック食養療法、波動エネルギー療法、マイナスイオン療法、前世療法、気功治療…前世療法ってどういうものなんだろう?w

 

EM(EM菌)の本質という関英男氏の「重力波http://samakita.hatenablog.com/entry/20150806/p1 
*故関英男氏はゆかいなおじいさんだった。金星は優良星で植物たちは人間にお辞儀をしてくれる。太陽の表面は26度で人が住んでいる。その関氏をEM菌比嘉照夫氏は気にとても入ったようだ。
*EM菌比嘉照夫氏がEMの本質という重力波は、現代科学が対象としている重力波ではなく、関氏のグラヴィトンがクオークから出ていくときに出るという縦波の「重力波」である。つまり、科学ではない関英男氏「高次元科学」のトンデモ重力波だ。EM菌比嘉氏にふさわしい。

 

最近EM研究機構正社員を辞めた人の会社評価を見て… http://samakita.hatenablog.com/entry/20170924/p1 … 
*EM研究機構という会社が話題になっているので参考に…

 

500ミリリットル4500円の清涼飲料水EM・X GOLD(EMXゴールド)への疑問

http://samakita.hatenablog.com/entry/20170530/p1 … 
*公開されている成分表を見る限り薄い食塩水ではないか。
*これを値上げした。たくさん売れれば値下げではないのかなあ。(素朴な疑問)それにしても高額な清涼飲料水だ。

 

EM菌は自然発生的なカビ・細菌に負けるの?製造工程は見直したのか?~「EM無香消臭剤ビセーブの自主回収と販売中止の件」から3年弱…(EM菌への疑問) - http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/03/28/125623
*驚いたのは「製品中の天然成分を栄養源としてカビや細菌が自然発生的に増殖したことによるものであると推測」という点。
*その後3年弱経って「品質の改善と製造工程の見直し」はどうなったのか?真摯に誠実に製造工程を見直してほしい。
*自然発生的にカビや細菌が増殖し、黒い沈殿物…沖縄本島は「結界」になっていないということではないか?

 

教育者としてEM菌・比嘉照夫氏への疑問 http://samakita.hatenablog.com/entry/20161128/p1
*「比嘉研究室からは…みんな強制収容所みたいにEM研究機構へ入社して貰う(笑)。」と語っている(『比嘉照夫のすべて』)。
*俺は人の未来をそんなふうにしていいのかなと疑問。

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阿部宣男(元板橋区立ホタル館) vs 松﨑いたる(板橋区議)裁判関連■

 

松﨑さん勝利!:阿部宣男(元板橋区立ホタル館) vs 松﨑いたる(板橋区議)裁判の判決について4本の記事をアップ

◎松﨑さん勝利!:阿部宣男(元板橋区立ホタル館) vs 松﨑いたる(板橋区議)の裁判の判決が出た!
http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/04/02/095212

◎松﨑板橋区議のナノ銀除染批判、ホタル館不正事件追及を応援!(阿部宣男氏との裁判勝利、おめでとう!)
http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/04/02/102657

◎阿部宣男vs松﨑いたる裁判(松﨑さんの勝利)判決にある松﨑さんの「調査」
http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/04/02/104957

◎ナノ銀による放射能低減効果&板橋ホタル館累代飼育:阿部宣男vs松﨑いたる裁判(松﨑さんの勝利)判決にある「真実性,真実相当性等について」
http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/04/02/113342

  

板橋区ホタル館不正事件の報告会に参加してきた(共産党は大反省が必要と思う)

http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/02/24/095910 … 
*判決が出た。松﨑さんの勝利。

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■学校とソメイヨシノ 

 

学校にソメイヨシノがたくさん植えられてきたわけ http://samakita.hatenablog.com/entry/2017/10/09/170437
*軍の狙いは2つ。1つはサクラの名所にして一般の国民が親しみの情をこれらの施設に抱かせること、もう1つは徴兵された兵士が死を恐れないで戦うような精神風土をつくること。

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■医師を騙るアカウント■ 

 

ツイッターのおもしろくてかなしいアカウントhowtodominate(1,2型糖尿病の人は要注意!) http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/03/22/000000
*リベラルブログで暴れていたKaetzchenをご存知ですか?

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花粉を水に変えるマスクハイドロ銀チタン関連■ 

 

花粉を水に変えるマスク】は100%のニセ科学ではないが…今の状態ではニセ科学と言われてもしょうがないと思う
http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/03/25/103608

左巻健男の意見を追加しておきたい。

 

花粉を水に変えるマスク」根拠論文を批判したら医学部教授から集団訴訟と脅された「騒動」 http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/03/23/102352
*謎が多い信州大医の新藤隆行教授の訴訟云々の行動
*記事に登場する桑満医師や川村弁護士は現在販売中の理科の探検(RikaTan)誌4月号の執筆者です。

 

誰が「光がなくてもタンパク質を分解する光触媒」を発明したのか?(【花粉を水に変えるマスク】関連)
http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/03/27/113155

 

花粉を水に変えるマスク」根拠論文を批判したら医学部教授から集団訴訟と脅された「騒動」http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/03/23/102352
*恐いよー。新藤教授「弁護士との協議の結果、DR.C医薬およびコラボ企業40社より、…に対する集団訴訟を行わせて頂く様に進行中です。」

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海老蔵小林麻央関連■

 

小林麻央さんがやった気功療法の事実を出してほしい http://samakita.hatenablog.com/entry/20170703
海老蔵はかねてから風水師や占い師に傾倒していたとしても命にかかわることまでそれでやってはまずいだろう。
 事実を出してほしい。間違いのくり返しが起こらないために。

 

海老蔵の風水、パワーストーン好き http://samakita.hatenablog.com/entry/20101214/1292321244
*2010年の記事。その後海老蔵パワーストーンで運気が上がったのか?

松崎さん勝利!:阿部宣男(元板橋区立ホタル館) vs 松崎いたる(板橋区議)裁判の判決について4本の記事をアップ

  次の4本の記事をアップしました。

 

   松﨑さん勝利!:阿部宣男(元板橋区立ホタル館) vs 松﨑いたる(板橋区議)の裁判の判決が出た!
http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/04/02/095212

 

 

松﨑板橋区議のナノ銀除染批判、ホタル館不正事件追及を応援!(阿部宣男氏との裁判勝利、おめでとう!)
http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/04/02/102657

  

阿部宣男vs松﨑いたる裁判(松﨑さんの勝利)判決にある松﨑さんの「調査」
http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/04/02/104957

 

 

ナノ銀による放射能低減効果&板橋ホタル館累代飼育:阿部宣男vs松﨑いたる裁判(松﨑さんの勝利)判決にある「真実性,真実相当性等について」
http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/04/02/113342

ナノ銀による放射能低減効果&板橋ホタル館累代飼育:阿部宣男vs松﨑いたる裁判(松﨑さんの勝利)判決にある「真実性,真実相当性等について」

   判決に、ナノ銀による放射能低減効果&板橋ホタル館累代飼育についての真実性が述べられている。その部分を紹介しておこう。

 松﨑さん勝利!:山の阿部宣男(元板橋区立ホタル館) vs 松﨑いたる(板橋区議)の裁判の判決が出た!
http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/04/02/095212

※読みにくいと思うので、ぼくが強調しておく部分を赤字太字にしておく。またところどころ行間を空けておく。

 【真実性,真実相当性等について ナノ銀記事について】

 ナノ銀に放射能低減効果があるとの主張は既存の科学の知識に反するものであること(上記1(2)ケ),原告らの研究においてもメカニズムが不明であるとされ(甲19二11頁),原研による検証試験ではかかる低減効果は認められなかったこと(上記1(2)ウ,キ)等の証拠により認められる事実並びに真実性の証明の対象に関する原告の主張を含めた弁論の全趣旨によれば,ナノ銀に放射能低減効果がないことについては,名誉穀損訴訟における違法性阻却事由たる真実性が認められるというべきである。


 原告は,被告が主張立証すべき真実性の対象は上由とは異なり,原告がナノ銀を使用して実施した実験によっては放射能の低減が確認されなかったことであるから,原告が行った実験結果そのものを虚偽だと被告が証明できない限り,真実性の証明とはならないなどと主張するが,「ナノ銀記事が原告自身の実験結果によってもナノ銀の放射能低減効果が確認できていないとの印象を与える」との主張が採用できないことは上記2(2)アで説示したとおりであるから,真実性の証明の対象に関する上記主張もまた,これを採用することはできない。付言すると,ナノ銀には放射能低減効果がないことが真実であるのに,誤った手法による実験を誤りに気付かずに行い,その結果から上記効果があると思い込んでその旨を社会に向けて発信しているという場合を想定すると,社会にとって重要なのはそのような発信の客観的な誤りを知ることであって,上記実験自体は価値がないものというほかはないから,かかる観点からも,原告の言説の虚偽性ではなく原告が行った実験結果そのものの虚偽性の証明を求める原告の主張は,到底採用することができないというべきである。


 また,ナノ銀の放射能低減効果についてインチキ等と評することについては,辛辣というはかない酷評であり,区議会議員という公職にある被告が選択する表現としては褒められるものでないとしても,被告が論評の対象としている原告の言説が扱っているのは,放射能という高度の危険性を有するものであって,誤った内容を断定して流布すれば,公衆に及ぼす危険は甚大なものとなるところ,原告はナノ銀に放射能低減効東があることを断定するかのような発信を繰り返し(上記1(2)ィ,オ),原告が提供した「ナノ銀による放射能除染技術」を用いたナノ銀ろ過セットが政治家らに配られるとともにルシオラで販売され,参議院本会議でもナノ銀に放射能低減効果があるとの報告の存在を前提とする質問がされるなど,一定の層から支持・期待されていた(上記1(2)カ,キ)等,その社会的影響力も無視できないものであらたことを考慮すれば,これに対する批判や反対意見が相当程度強い表現になること,はやむを得なかったというべきである。


 そして,ナノ銀記事の趣旨はナノ銀の放射能低減効果なる主張の虚偽性・非科学性を批判することにあると認められ,これを超えて原告に対する人身攻撃に及ぶものとは認められないから,正当な論評として許容され,違法性は阻却されるといえる。

 

【累代飼育に係る原告の説明が虚偽であることの真実性について】

 さらに,「ホタル館で飼育しているホタルは,平成元年に原告が採取した卵をふ化させ,以後,外部のホタルと交雑することがない状態で繁殖を続けたものである」との原告の説明が虚偽であったことや,かかる累代飼育による毎年のホタルの羽化数についての原告の報告が過大なものであったことは,本件DNA検査において,検体のゲンジボタル11個体中から5種類のDNA型が見付かったが,福島県を生息地とするホタルのものは見付からなかったこと(上記1(1)テ),平成5年度ないし平成9年度の羽化数の報告は過大であったと原告が自認していること(甲202),平成26年1月の本件生息調査で確認できたホタルの幼虫はゲンジボタル2匹のみであったこと(上記1(1)ケ),平成26年度に羽化したホタルは211匹程度であったこと(上記1(1)ウ,チ,ト)等に照らせば,名誉毀損訴訟における違法性阻却事由としての真実性が認められるというべきである。


 これに対し,原告は,①ホタルの幼虫は,本件生息調査時には7万匹以上いたのに,同調査によって殺され流され,あるいは調査がずさんで発見できなかったのであるなどと従前より主張している(上記1(1)ケ)ほか,②本件DNA検査に関しては,平成26年2月以降ホタル館を管理するようになった本件センターが混入させたホタルが検体とされた面(8)27頁以下等)。

 

 しかしながら,上記①については,本件生息調査を担当した本件センターは,従前より,東京都足立区生物園に串けるホタル飼育を含め,多数の地方公共団体等から公園・施設の管理運営業務や生物飼育業務等を受託してきた実績を有していること(乙47),ホタル館におけるせせらぎは,ホタルの幼虫が流れ去ることがないような水流及び構造となっており,ピット手前には格子状のステンレスの網が設置され,ホタルの幼虫等が流れることを防ぐ構造となっていたところ,本件生息調査時には上記網を確認したものの,ホタルの幼虫が網にかかっている状況はなかったこと(乙2,47),仮に調査手法に多少の問題があったとしても,本件生息調査で実際に捕獲されホタルの幼虫の体長は25ないし30mm程度であり(乙2),他方,原告の主張・供述は変遷しているものの,幼虫を最も小さく述べる供述でも体長が6ないし8mm程度で,胴体の太さが1mm程度(甲201,202)というのであるから,かかる幼虫数万匹が流されるなどして全く発見できなかったなどとはおよそ考え難いこと等から,原告の主張は採用することができない。上記②についても,本件生息調査後のホタル飼育を担当した本件センターは,上記のとおりホタル飼育を含む多くの生物飼育等の実績を有している上,板橋区は本件センターに対し,ホタル館ではホタルが累代飼育されていることがアピールポイントであることを説明し,現存するホタルを根絶させずに飼育するように求めてこれが承知されていたこと(乙47)に照らせば,本件センターがあえて外部からホタルを持ち込んだなどとは考え難いから,原告の主張は採用できない。その他,原告は,本件生息調査及び本件DNA検査の信頼性についてるる論難するが,これらを逐一検討しても,いずれも原告独自の立論といわざるを得ず,採用できない。


 また,本件発言は区民環境委員会における被告の発言であるところ,その主題は板橋区の事業として行われていたホタル館の運営・業務に関する疑惑の追及であって,区の事業に係る問題の追及・解明は区議会議員にとっては当然の職責というべきものであり,殊更に事実と臭なることを述べたり,原告に対する個人攻撃を意図したりしたものとは解されず,批判としての域を超えた誹誘中傷とまでいうことはできないから,正当な政治行為として違法性が阻却されるというべきである。


 さらに,ホタルの外部からの持ち込みについては,これを直接に裏付ける証拠はないが,ホタル館においては現実に毎年ホタルの夜間公開が行われていた(前記第2の2(2))のであるから,累代飼育されたものでないホタルは外部から持ち込まれたものかその子孫ということになり,真実性は同様に認められるといえる。もっとも,だからといってホタルの持ち込みを原告が行ったと直ちに断定できるわけではないが,本件生息調査までホタル館におけるホタルを飼育し管理していたのは専ら原告である上,平成26年2月19日の区民環境委員会で当時の環境課長がホタル館にホタルの成虫を持ち込んでいたというような元関係者の証言があると答弁していること(上記1(1)ス),被告自身も,同年3月5日にホタル館でむし企画前代表の小船からホタル館宛てのカワニナの発送伝票を発見し,同月8日に小船がホタルの飼育をしていたと聞くなどして,むし企画を通じてであればホタルを秘密裏に持ち込めると考えるに至ったこと(上記1(6)オ,キ,ク),平成27年1月に発表された乖離報告書で,むし企画からホタルが宅配により持ち込まれたとする関係者の供述が記載され,ホタル館のホタルは外部から人為的移動により持ち込まれたものと考えられると結論付けられていること(上記1(1)ト)等に照らせば,少なくとも,被告において原告がホタル館にホタルを持ち込んだと信じたとしてもやむを得なかったというべきである。

阿部宣男vs松﨑いたる裁判(松﨑さんの勝利)判決にある松﨑さんの「調査」

 判決の中に「被告の調査等」という項目がある。裁判所が松﨑さんが初めはホタル館を存続派だったのが、調査で疑問を強めていったこと、不正を見抜いていったことがよくわかる、このような項目を立てたのには、意味があるのだろう。

松﨑さん勝利!:山の阿部宣男(元板橋区立ホタル館) vs 松﨑いたる(板橋区議)の裁判の判決が出た!
http://samakita.hatenablog.com/entry/2018/04/02/095212

 判決から「被告の調査等」を抜き出して紹介しておこう。

 コピーからOCRしたので誤字があるかもしれない。誤認識を直したつもりだが未だ残っているかも知れない。(公表されている判決と比べて直したつもり。残っていたら教えてほしい。)

 読みにくいと思うので強調したいところを適当にぼくの文責で赤字太字にしておく。

 

ア 被告は,平成26年2月3日,ホタル館存続の取組に熱心だった同僚区議から,本件生息調査が行われたこと,原告不在の技き打ち調査として始まり,途中で原告も来たものの,原告を支援するボランティアが区に抗議し,パトカー等が来る混乱があったことなどを聞いた。被告は,元来ホタル館存続のための政策作りができればと考えていたが,少なくとも調査に原告がいないのはおかしいと思い,環境課長を呼び出したところ,代わりに環境部長が説明に来た。同人は,本件生息調査の切っ掛けはホタル持ち込み疑惑の解明であること調査の結果,幼虫が2匹しか見付からず,推計値でも23匹にしかならないこと,警察にも相談していること,調査後に原告をホタル館から本庁に異動させたこと等を説明した(乙46)。


イ 被告は,平成26年2月,ホタル館の生息調査の再調査を求めて陳情に来た駒野から名刺を受け取ったが,同名刺は,ホタル館の住所及び電話番号や「阿部組」のロゴが記載されたものであった(乙46)。

 

ウ 被告は,上記(1)スの委員会には出席しなかったが,同会に出席した区議から,ホタル館で飼育していたハチが販売されていた事実が明らかになった等の報告を受けた(乙46)。


エ 被告は,平成26年2月24日の幹事長会において,超党派でホタル館問題を解明するための100条委員会の設置を提案し,同年3月3日,ホタル飼育の実態(実際に数万匹のホタルが飼育されていたのか否か,「成虫持ち込み」証言が真実か否か等),福島県いわき市のホタルプロジェクト,ホタル館における本件ハチの飼育,原告が主張するナノ銀による放射能除染等を調査項目案として提出したが,同月24日の幹事長会では消極論が多数を占め,設置に至らなかった(乙46)。
 被告は,同月5日,ホタル館を視察調査に訪れ,小船からホタル館宛にカワニナが発送されていた伝票を発見し,カワニナもホタル館で飼育しているとの従前の原告の報告が嘘だったと感じた。また,本件センターの職員から,水槽の管理がほとんどされておらず,カメが皮膚病にかかっていたなどと聞き,昆虫施設であるにもかかわらず大量の蚊取り線香や虫よけスプレーの在庫があることなどを見て,飼育業務が適切に行われていなかったと思った(乙46,49)。
 被告は,同月7日の疲橋区議会本会議において,原告が著書やブログ等で,ホタル館では全国23か所のホタルを預かり,遺伝子が交雑しないように飼育しているなどと説明していることを指摘した上,板橋区ではそのような説明を事実と認めているのかと質問したのに対し,区長は,ホタル館は他自治体や団体のホタルの幼虫を預かり,その方たちに代わって飼育する施設ではないと答弁した(乙35)。

 

キ 被告は,同月8日,むし企画前代表の小船を訪ねたが,同人は既に死亡していた。小船宅は,水槽が捨ててあったり酸素ボンベが倒れていたりしていて,何かの生き物を飼っていた形跡は見られたが空き家であり,被告が電話帳で親戚を調べて尋ねたところ,小船は生前ホタルを飼育していたとの話があった(乙46,被告本人)。

 

ク 被告は,同月13日,小船からむし企画を引き継いだ高久を訪れ,話を聞いたが,高久は,仕事は現場と原告に任せているなどと話したことなどから,ホタル館やホタル飼育について知識がないと感じた。被告は,当初はホタルを秘密裏にホタル館に持ち込むことは不可能であると考えていたが,上記オのホタル館視察,上記キの小船宅訪問及び高久との上記面談等により,むし企画を通じてであればホタルを秘密裏に持ち込むことが可能だと考えるようになった.(乙46)。


ケ 被告は,原告の著書「ホタルよ,福島にふたたび」(以下「原告著書」という。)を読み,本件特許について,原告は使用ごとに報酬を受けているのに,「私は公務員ですから,もちろん給料以外の報酬はありません」とある等,事実と違うことが多く書かれていると思った(乙46)。


コ 被告は,上記(5)ェの平成26年6月6日付け朝日新聞を読み,「訴状では『区の決定を受けずに業者とクロマルハナバチの飼育で業務提携した』とする区の処分理由について,この業者の設立は2010年夏で,阿部さんが業者と契約書を結んだと区が説明する09年7月にはこの業者は存在しない,などと主張した。阿部さんはこの日の会見で『区の主張はすべて事実に基づかないため,提訴した』と話した。」と記載されていため,記者から渡された配付資料中の21年契約書を確認したところ,その作成日付は平成21年7月1日であったので,板橋区の説明には矛盾がないと考えた(乙46)。

 

サ 平成26年7月15日,被告は原告と面談し,原告は,被告に対し,ホタル館で3万や4万のホタルを飼育することは不可能に近い,本件生息調査の際にホタルの死骸が見つからなかったのは,ホタルにバクテリアがついて溶けてしまうためである,などと述べた(甲205)。


シ 被告は,同年8月4日,上記面談で質問できなかった点について原告に質問状を送ったが,原告から返事はなかった(乙46)。


ス 被告は,同年9月5日に放映された上記(1)ツのテレビ番組を視聴し,原告が嘘を認めたのだと思った(甲1,乙46)。

 

セ 能登町議会は,平成28年5月12日,被告からの照会に対し,本件3者契約1条に記載された「日本在来マルハナバチ類の繁殖供給飼育方法」が特許庁により平成23年6月1日付けで拒絶理由通知書が出され,同年10月5日に拒絶査定を受けた事実及び同契約の契約書に添付されたイノリー企画と原告との21年契約書が虚偽であった事実は,いずれも認識していなかったと回答した(乙33)。